英文メール強化塾 相手を動かすライティング戦略

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Lesson 29

Betty’s markup, OMG!

目的

本社が相手・解決策の提示

小さいけれど面倒な問題を解決すること

状況

【Bettyの利益操作・・・?!そんなバカな!】

外資系日本法人の営業部門の会計課で働くカトウさんは、海外本社の財務部門との間に問題を抱えている。本社の同部門でマネジャーを務めるMary Smithは、日本からの会計報告が遅いと不満を抱えているが、実のところ、カトウさんらにすれば、問題のタネはBettyというMaryのアシスタントなのだ。彼女が作成する書類こそが日本の営業部門スタッフに混乱をもたらしており、そのせいで場合によって会計報告も遅れてしまう。

カトウさんらは、日本支社が国内販売向けに輸入している製品の請求書をBettyから受け取っているが、これらの国内販売にかかわる請求書には値入れ率を含んでおり、昨年、この値入れ率が10%から8%に引き下げられた。しかし、Bettyが作成する請求書の値入れ率は、いまだに古い数値で算出されている。このことが日本の営業スタッフに混乱を招き、結果として、Maryがカトウさんに文句を言うように、営業部からの会計報告がしばしば遅れたり不完全だったりする。

この問題を正すことはそう難しいはずもなく、単純なミスにもかかわらず、なぜいまだに訂正されていないのかがカトウさんには理解できない。そこで、Mary Smithにもう一度助けを求める。

イメージ

力関係

戦略

カトウさん個人としてはBettyが問題のタネだと思っていますが、彼女はカトウさんの部下ではないですし、わざわざ敵に回しても何の得にもならないでしょう。そこで、文書作成におけるBettyの間違いには言及しますが、その修正をMaryに依頼するときにBettyを責めることはしません。

表現の強さ

ポイント
  1. こちらの求めることを率直に頼む
  2. 問題を起こしている張本人から問題を切り離す
  3. 相手がこちらの問題を解決すれば、相手の抱える問題(日本からの会計報告の遅れ)を解消することにもつながると示す

e-mail

強化メールの解説

1.特に、細やかな気遣いをしたいときには…

Request on . . .
何かの問題を提起したいときに謙虚かつ控えめな態度を示す場合、相手を怒らせたり怖がらせて遠ざけないように、“Request on . . . ”を使うことができます。もっと直接的に伝えたいなら、“Request on markup problem”や、さらに“Request for correction of markup”と表現してもよいかもしれません。

2.謙虚さと切迫感を兼ね備える

I really need to ask for your help
カトウさんはMaryより確かに立場が下なので、Maryの地位を認めるような丁寧な依頼表現が必要となります。しかし、このような丁寧な依頼でも、カトウさんが至急の対応を必要としていることを表現できます。
“I really need to”で切迫感を伝え、“ask for your help”で相手の地位に対して必要とされる礼儀正しさを表現しています。

3.Bettyこそが問題の原因だという断定をしない

the attached invoices from Betty-san
この文で、Bettyが問題の請求書を送付する人物として特定しますが、彼女自身が間違った内容を作成したかどうかについては言及しません。この判断はMaryに委ねます。

4.正式な形にする

Japan Finance would really appreciate it
もしあなたの立場では相手を動かすに足らないと感じるなら、代わりにあなたの組織の公式な力を使うことができます。ただし、もし依頼内容がルーティンで容易なものならば、普通はもっと個人的に頼むかもしれません。e.g. “I would really appreciate it . . . ”

5.誰の過失なのかをMaryに決めさせる(たとえそれが彼女自身の誤りであっても)

the person responsible
衝突を防ぎ、誰か(今回のケース:Betty)に責めを負わせることを防ぐための代表的なテクニックとして、“the person responsible”という表現を代用し、その人物が誰なのかを相手に決めてもらう方法があります。
今回のケースでは、メールの読み手であるMary本人に落ち度があった可能性もあります。おそらく、Bettyに値入れ率の変更を指示し忘れたのでしょう。もしそうだとしたら、Maryが面目を失うことなく、誤りを修正させることができる点がカトウさんの意図するところです。

6.問題解決に向けたこれまでの努力を思い出させる

. . . we have asked for it to be corrected
この表現で、値入れ率の問題が以前にも提起されていると伝えつつ、問題を無視した人物には言及しないことで対立を防ぎます。
もしあなたが、個人の責任を明確にするほうが有益だと感じるなら、次のように書くこともできます。
“although we asked you last month to correct this problem, . . ”
“although we have mentioned this problem to Betty in the past, . . . ”

7.もし自分が正しいと自信があるなら

This continuing mistake
自分が正しく、相手のデータが間違っていることが確かなら、「相手の間違い」と記しているこの表現を使えます。そしてそれとともに、間違いが修正されるだろうという期待をもてます。
しかし、もし相手のほうが立場が上ならば、次のようなもっと社交辞令的な表現を使ってもよいでしょう。
“this misunderstanding has caused us some problems”
“this situation causes us a lot of problems” (←完全にニュートラルな表現)

8.相手の悩みを分かち合う

. . . this causes confusion to us here in Japan Finance also
カトウさん側とMary側の間で対立が生じているため、相手の立場に対する理解と同情を示すため、いくつか共通の土台を提示してもよいでしょう。この表現では、日本支社から遅滞なく報告書を受け取りたいという相手の要望に対してカトウさんの理解と同意を示すことで、対立の最中であるにもかかわらず、相手をこちらに近づけることに役立ちます。

9.重要なイベントを締め切りとして使う

before the next reporting period if possible
文化の異なるメール相手に対しては、こちらの締め切りが妥当であることを説得するほうが賢いかもしれません。しかし、相手がすでに重要だと思っているイベントを締め切りとして使うなら、そのイベントの重要性がすでに認識されているので、締め切りの重要性も相手が受け入れるとみなすことができます。
締め切りを強調または明確にするために、次のような情報を追加することもひとつです。
e.g. before the next reporting period, at the beginning of April

10.“Quid pro quo” 交換条件を暗示する

On our side, I will press the staff concerned to be on time with their reports
“Quid pro quo”とは、「相手がこちらの頼みを聞けば、こちらも相手の望みをかなえる」という暗黙の約束です。今回のケースでは、Maryが値入れ率の問題を解決してくれれば、“quid pro quo”、つまり交換条件として、カトウさんは営業部スタッフに遅滞なく会計報告を行うようにプレッシャーをかけると暗に伝えています。
カトウさんが、「あなたが問題を解決しなければ、こちらの報告遅延にも対応しませんよ!」と言っていないように、大抵の場合、直接的な要求のかたちでは表現しません。この“quid pro quo”でカトウさんが意図するところは、Maryが%を正してくれることが、営業部スタッフの報告遅延の解消につながると伝えている点にあります。

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