英文メール強化塾 相手を動かすライティング戦略

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Lesson 35

Don’t touch that!

目的

問題の指摘・改善を求める

デジタル・コントロール・ユニット(デジタル制御装置)に対するこちらの監督権を相手に認めさせること

状況

【勝手にいじらないで!】

日本の製造会社AGJ社に勤務するカトウさんは、海外のパートナー企業ABC社との調整役として、相手国内での機械組立作業について話し合いの最中だ。AGJ社の工作機械であるXY-123をABC社が組み立てるプロジェクトについて協議を進めてきたが、自社の技術に自負があるABC社は、XY-123のデジタル制御装置のコンポーネントにABC社製の部品を代用したいと言ってきた。

しかし、デジタル制御装置は、AGJ社の完全管理のもとデザインから製造まで行われなければならず、いかなるパートナー企業も少しの変更も施してはならない。このAGJ社のポリシーは、世界中で一貫した品質を保証するためにある。

イメージ

力関係

戦略

AGJ社が提示するXY-123についての方針に従えば、AGJ社が技術仕様の管理をすることになります。しかしABC社は、この分野において長年の経験があり、自社の技術にかなり自負があるので、ABC社がAGJ社より劣っているというニュアンスを含むいかなる示唆に対しても敏感に反応するだろうと、カトウさんは分かっています。
そこで、このAGJ社の方針がABC社にとってできるだけ受け入れやすいように工夫します。工作機器XY-123に対する広範囲の役割を相手に与えることで、カトウさんらの誠意を示し、ABC社のプライドを傷つけることを避けます。

表現の強さ

ポイント
  1. ABC社への敬意を示す
  2. このプロジェクトに参加してほしいという真摯な気持ちを伝える
  3. デジタル制御装置に対する制限への埋め合わせをする

e-mail

強化メールの解説

1.相手のステータスを認める

kind cooperation
“kind”を加えることで、ABC社にとってAGJ社とのプロジェクトはAGJ社からの要求としてではなく、ABC社の協力によって実現するものと表現します。この表現は、AGJ社のカトウさんがABC社の平等なステータスを受け入れることを含意しています。

2.相手の選択権を認める

agreeable to you
このメールの後半でAGJ社の条件と要求が説明されていますが、ここでは、ABC社が参加するかしないかについての決定権をもつという相手のステータスが認められています。

3.最初に重要なオファーをする

assemble the entire XY-123
カトウさんはこの表現で、AGJ社はABC社の製造能力を高く評価し敬意をもっているとABC社に示すことを意図しています。“entire”という表現で、XY-123を構成するどのパーツも例外なく組立作業に含まれると意味します。

4.厳しい条件を提示する前に、譲歩する

attachment of the digital control unit
制御装置の変更禁止についてはすぐ次の文で出てきますが、少なくとも、組立に関与する範囲において、ABC社が行う組立作業には、とても重要なパーツ(デジタル制御装置)が含まれることで、AGJ社のABC社に対する信頼と高い評価を示します。

5.制限をあらかじめ示す

must respectfully request
この表現の“must”は、相手にとって喜ばしくない何かを頼むことへのためらいを表します。「通常であれば、このようなことの承諾を依頼するのを躊躇しますが、いまの状況では依頼しなくてはならないのです」といったニュアンスですね。別の表現で、“We have to ask your kind understanding in accepting this restriction”と書くなら、“have/has to”が同じ役割をもちます。

6.厳しい条件を示す

without any modification
これまでにも、この条件についてAGJ社とABC社の間で話し合われているので、相手にとって驚くニュースではありません。しかし、カトウさんの戦略として、ABC社を褒めたり、プロジェクトにおいて重要な技術的役割を与えたりと慎重に対応しています。

7.説得力のある制限理由を説明する

maintain consistent specs worldwide
この理由はプライドの高いエンジニアにも大いに説得力があり、ABC社の技術的自負を尊重するにいたるだけの譲歩策を与えているとカトウさんは判断しています。

8.書く内容に気をつける

in engineering and materials
“engineering and materials”は技術的な仕様であり、AGJ社としてその技術の一貫性を保ちたいということはもっともですが、その変更修正を禁止することはABC社への批判ではありません。もしカトウさんが“consistent quality”(一貫した品質)の必要性について書いたとすれば、ABC社の能力に対する侮辱として受け取ったかもしれません。

9.確実であることを確かめる

undertaking
“undertaking”は、何かを実行することの約束です。たとえ、それが厄介なことでも、難しいことであってもです。

10.条件を強化する

no modification on site
もしカトウさんが、“absolutely no modifications on site whatsoever”と書くことを選んだとしても実際意味するところは変わりません。しかし、異なるのは、AGJ社はABC社が条件を了承し約束を守ると信頼していないことを示唆するニュアンスを含むことです。ですから、カトウさんは、もっとシンプルな表現を選択しています。

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