英文メール強化塾 相手を動かすライティング戦略

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Lesson 50

A higher price for lower quality?? We’ll lose our shirt!

目的

「実行を求める」「問題の指摘」

サプライヤーに値上げを諦めさせること

状況

【低品質のものに高値?我々を破産させる気ですか!】

貿易商社AGJトレーディング社に勤務するカトウさんの業務のひとつは、干し草などの家畜飼料を輸入することだ。干し草の価格は、穀物年度や雨などの環境条件によって変動する。乾いた干し草は濡れたものより価値が高く、そして、新しい干し草は古いものより高値で取引される。

カナダ在住のMary Jonesさんは、AGJトレーディング社のエージェントとして、干し草のサプライヤーであるSmith & Co.社との取引を担っており、新年度分の収穫物が出回る前の時期に、昨年度分の干し草の出荷について商談を行っている。その過程でどうやらSmith & Co.社が事前の同意価格より高値を要求してきていることが分かった。近ごろの雨量のせいで、古い干し草でも乾燥草の市場価格が上昇傾向にあるとのことだ。しかしながら日本国内の顧客からは、古い干し草の劣化した色合いと風味について、これまでにも苦情が来ており、国内市場ではむしろ価格の下落が見られる。そのため抱えている在庫をカトウさんは原価もしくは原価割れ価格で、日本の畜産農家に売らなくてはならない状況にある。

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力関係

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戦略

まずは、干し草の品質低下を挙げ、そのため国内市場価格にも影響が出ていることを説明します。現在の価格でさえ採算のとれない商品であることを伝え、サプライヤーが現行価格を継続すべき理由を示します。そして最後に、新年度の収穫物が出る時期には、新価格の協議を行う意思が十分にある姿勢を見せます。


表現の強さ

Level4

ポイント
  1. 商品の問題点をはっきりと提示する
  2. 相手の値上げ要求は、現在の市場動向ではあり得ないと示す
  3. 将来的に、新たに交渉する意思を見せる

e-mail

強化メールの解説

1.難しい事柄を示す前に一呼吸入れる

Thank you for your report on
相手にとって意外・難儀な事柄を知らせるときに役立つ表現です。“Regarding Smith & Co.’s request . . . ”でメールを始めると、唐突で無愛想すぎると感じるならば、この“Thank you for your report on . . . ”の表現で一呼吸入れると少しやわらかく伝えることができます。

2.選択肢があることを装う

We would appreciate your assistance in persuading . . .
相手に行動する/しないの選択肢があることを示唆する、丁寧かつ礼儀正しい表現です。実際相手に「行動しない」という選択肢はありませんが、このように表現することで相手への礼儀を示します。 カトウさんが自身の権威を使って相手に、より直接指示をしたければ次のように書きます。
“We need you to get them to hold to the current price.”

3.論理的関係性が明らかな場合にはbecauseを使わない

because
論理的に、“We are asking for X action because Y problem occurred.”(我々はXアクションを頼んでいます、なぜならY問題が発生したからです。)という構成に問題はありません。しかし、「結論+理由」がもつ論理力の結果として、読み手はbecauseを使わなくても結論の次に理由が来ることは理解できます。
このようにbecauseを使わず長文を2文に分けることができます。
長い文章:
We would appreciate your assistance in persuading them to hold to the current agreed price for the old crop because we have already had several problems with customers for the old crop, and a price increase will make the situation worse.

4.親切さを強調する

even though
書き手の心の声:「あなたの商品が粗悪だったにもかかわらず、我々はペナルティを支払うよう要求しなかったではないか!」
このeven thoughで、相手に対応を求めてもおかしくない明らかな問題(商品の深刻な品質問題)があったにもかかわらず、カトウさんらは罰則措置(賠償金の要求)を控えたことを強調します。

5.Could you pleaseは質問ではなく命令であると示す

この文の最後にピリオドを使う
“Could you please . . .”は丁寧な依頼表現です。通常文末にはクエスチョンマークを使いますが、この表現のようにピリオドで終わらせることで、命令に近い性質の依頼であることを強調できます。もちろん相手がこの点に気がつかない可能性もあります。
また、この文ではひとつのピリオドがCompanyの省略と文の終わりのふたつの役割を担っています。ピリオドをふたつ打つ必要はありません。
間違いの例:from Smith & Co..

6.相手が思うより状況が深刻であることを強調する

we have even had to . . .
この文でevenを加えないとAGJトレーディング社が品質劣化に伴う賠償を、複数の顧客に支払ったことを単に報告するメールになってしまいます。evenを加えることで、カトウさんらがこの事態の尻拭いをしなければならないことは、理不尽かつ不当だと感じていることを伝えています。

7.常識ある判断を促す

as you can see
カトウさんは、Jonesさんが指示どおりに実行してくれることを頼みにしています。また、その指示内容は、Smith & Co.社の価格スタンスを変えるという簡単ではない事柄です。そこでカトウさんの頼みが彼女にも当たり前と感じてもらえるように動機づけをします。as you can seeが、その効果を発揮します。

8.サプライヤーにやさしくアプローチする

we would appreciate Smith & Co.’s understanding
この表現は、サプライヤーであるSmith & Co.社の自主性(自らの決断権をもつ)を尊重する丁寧な依頼表現のひとつです。もしカトウさんが、顧客としての権威を示したければ、“we need to get Smith & Co. to understand . . . ”とJonesさんに指示することもできます。

9.協力的な気持ちを加える

Please assure them that we are ready to open price discussions again
Please assure themで、カトウさん個人の約束を相手に伝えるようJonesさんに依頼します。

10.結びの挨拶と組み合わせて最後の一押しをする

I look forward to hearing from you soon regarding . . .
このメールのように書き手の目的を結びの挨拶と組み合わせることで、ダメ押しができます。 同じことをよりカジュアルかつフレンドリーに伝えたければ、~ing形を使います。
“I’m looking forward to hearing from you regarding . . . ”

Thank you so much!
This is the 50th and final article in the series 英文メール強化塾. I would like to give my sincere thanks and gratitude to the IIBC staff for all your very kind support over the twelve years that we have been producing this series. Special thanks also to all of you readers who have been supporting this column. Finally, my personal warm appreciation to Ms. Kaori Sasaki for her great work in translating this column from the beginning.

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