海外駐在だより 暮らしてわかるその都市の素顔

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今回は

上海(中華人民共和国)

名前:N・A(男性・40歳) 駐在地:上海(中華人民共和国) 勤務先:バイクメーカー 現地での職務:営業マネージャー 家族構成(同居者の有無):あり 駐在開始時期:2010年6月 趣味:テニス、バイク、旅行

生活編

市内の至るところで見られる高層マンション群

 国際空港に降り立っても、英語ですべて片がつくと思ったら大間違い。引越し荷物の通関手続きをとるため、どこに記入フォームがあるか空港スタッフに英語で尋ねたのですが、ぜんぜん通じません。ここでは中国語でなければ用をなさないのです。

 中国(中華人民共和国)最大の都市である上海は高層ビルが林立し、道路が非常に広く、東京の首都高と同じように高速道路網が発達していて、車がひっきりなしに走っています。前の駐在地のベトナムと比べても、スケールが違います。空港から乗ったタクシーもここぞとばかりに飛ばすので、家族の誰もがハラハラ、ドキドキのしどおしでした。
 仕事柄、バイクが多く走っているようだなと思ってよく見たら、これがバイクではなくて電動自転車。これだと免許は要らないし、価格も安いので、ここでバイクの営業をするのは大変かもと思いました(笑)。

 上海の空はいつも霞がかかっているような感じで、お世辞にもきれいとは言えませんが、気にしすぎても仕方がないので、ランニングなどは普段どおりにやっています。ただし、PM指数が高い日の子どもの外出は、できるだけ控えさせるようにしています。

 街の公園の朝夕は、高齢者を中心とした人たちによる太極拳やエアロビクス、バドミントン、ウォーキングなどで大賑わいとなります。上海の平均寿命は男女とも80歳を超えているので、健康志向が強くなっているのかもしれません。
 また、日中の公園は、卓上ゲームやトランプなどによる賭け事で熱気を帯びています。プレイヤーを取り囲んだ二重、三重の人垣から「その手は違う」とか、「あっちだ」「こっちだ」とかの声がしょっちゅう掛かってやかましいのですが、逆にそれだけ楽しそうでもあるのです。

 食事に関しては、上海はとにかく「何でもあり」の街で、飽きることがありません。日本食レストランにしても、おいしい食事を提供してくれる店や、そこそこのおいしさの店、高価なメニューの店からリーズナブルな店まで、自由に選ぶことができます。しかも、お好み焼き、うなぎ、もつ鍋、浜松餃子などなど、1つの料理に特化した日本食レストランがこれほどそろっているのも、おそらく上海ぐらいではないかと思います。

上海といえば…近未来的なテレビ塔の夜景

 街を移動するにも地下鉄網が発達していますし、何よりもタクシーがリーズナブルに利用できるので助かります。街の中であれば、タクシー代が1000円を超えることは、まずありません。
 そのタクシーに乗って料金を支払うとき、銀行のATMから下ろしたばかりのお金が「偽札だ」と、運転手に突き返されてびっくりしたことがあります。駐在員であれば、たいてい一、二度は経験するほど日常化していることらしいのですが、その銀行に訴えてみたものの、結局、ラチが明きませんでした。上海を旅行するときなどは、気をつけたほうがよいです。

 私の住むマンション内にはテニスコートやプール、ジムなどがありますが、街には日本人のテニスサークルもたくさんあるので、スポーツを楽しむ、特にテニス好きの私にはとてもいい生活環境です。スポーツの後のビールがまた、実にうまいし、安いのです。500ml缶1本がスーパーで100円以下で買えますから。
 生活上の唯一ともいえる不満は、日本の本や雑誌がなかなか手に入らないこと。たまに販売していても、日本での価格の2~3倍もするのが実状です。
 一般に中国というと、「反日感情」が根強くあって生活しづらいのではないかと思われるかもしれませんが、普段の生活でも仕事上でも、一度も感じたことはありません。むしろ、親切な人も多く、老齢の私の母親や赤ん坊を抱いた妻が地下鉄やバスに乗ると、たいてい誰かが席を譲ってくれますし、子どもがレストランで騒ぎ出しても、店員が遊び相手になってくれるなど、老齢者や子どもへの気遣いは日本以上かもしれません。

 中国国内の各地には出張でよく行きますが、チベットだけは機会がなくて、まだ一度も足を踏み入れていません。標高4000mを走る高原列車や、巡教の人々の列など、赴任中にぜひ訪れてみたいと思っています。

仕事編

 全般に中国人はそうなのかもしれませんが、商売に対する考え方が短期志向であり、目の前の物や話に興味を示すといった現実志向のようです。ですから、3年先より今年、今年より今月のことを重視し、CS(顧客満足)やブランドがどうのこうのといった考えよりは、その商品がどれだけ売れるのか、それによってどれほど儲かるのかという話に即座に反応して乗ってきます。
 現実的という点でいえば、役職がモノをいう感じがすごくします。仕事上、または個人的にどんなに親しくなっても、相手を○○部長とか、○○課長とか、必ず役職名で呼びます。
 そういうわけですから、上司に何かしらの異論を唱えたり、もちろんタテ突いたりするようなスタッフは滅多にいません。日本とはちょっと違うなと(苦笑)。
 また、話が食い違ったりしたときなどは、どちらが正しいかという解決方法ではダメです。どうバランスを取りながら話を収斂させていくか、その手腕が問われるわけで、学ぶところも多々あります。

 これはどこでも同じことですが、海外で働くことになったら、まずその国を好きになること。上海で働くなら中国に愛着を感じ、何よりも中国語をちゃんと使って、彼らとともに苦労を味わうことです。
 その結果として、達成感、または挫折感が共有できたら、そこで初めて1つのチームになります。あとは中国も「宴会文化」のお国柄なので、“ノミニケーション”によって彼らの本音を聞き出し、こちらも本音で応えて結束を強めていきます。
 ただし、52度というアルコール度数の白酒でノミニケーションが続くと、間違いなく体にこたえます(笑)。

 中国に限らず、どこの国でもいいのですが、バイクの新たなブランドを一から作り上げ、その国で愛されるようなメーカーになるのが私の目標であり、夢でもあります。ぜひチャレンジしたいと思っています。

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