特集インタビュー

商品とサービスを通じて、東南アジアの子ども達に夢と遊びと感動を届けること。その究極のミッションを引っさげて、ジャカルタを拠点に奔走するバンダイナムコインドネシア社長の大之木鉄平さん。現地法人の設立で、製造から販売までの流れを一貫して担える体制は整った。インドネシアを足がかりに、ASEAN全域にまで歩を進めたい。現地に密着してこそ愛される「真のグローバル化」を標榜する挑戦が始まっている。

1975年生まれ。1997年バンダイ入社。ホビー事業部営業課に配属され、ガンダムのプラモデルを中心に国内営業。2001年、グローバル事業統括部への異動で、アジア担当となる。2003年より、ホビー事業部海外マーケティングチーム所属。2004年~2009年台湾の萬代玩具娯楽有限公司(現 BANDAI NAMCO (TAIWAN) CO., LTD.)、2010年~2014年香港のBANDAI(H.K.)CO.,LTD.(現 BANDAI NAMCO ASIA CO.,LTD.)勤務。2014年8月、インドネシ

目次

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  • ダイバーシティ

インドネシアはASEAN巨大市場への進出拠点

インドネシアは活気に溢れ、街を歩くだけでも成長を実感すると語る大之木さん。

 大之木鉄平さん率いる PT. BANDAI NAMCO INDONESIA(以下、バンダイナムコインドネシア)は、バンダイナムコのアジア事業強化戦略の一環として、2014年10月にジャカルタに設立された。
 ASEANの国々では今、中間所得層が急速に増加している。1人当たりのGDPが3000ドルを超えると、自宅に白物家電が揃い、趣味や余暇にもお金が使えるようになってくるといわれるが、ASEANの1人当たりGDPは、すでに3500ドルを超えた。10年後の2025年には、6000ドルを突破すると推測される。
 大之木さんは言う。
 「なかでもインドネシアは2億5000万人規模の一大市場で、しかも国民の平均年齢は29歳前後と若いのです。この国では年におよそ400万人の赤ちゃんが誕生していますが、シンガポールの人口が約500万人ですから、新しいシンガポールが毎年出現しているようなものです。どこへ行っても子どもの姿があり、活気に溢れ、ちょっと街を歩いただけで、この国は本当に成長しているんだと実感します。15歳から64歳の生産労働人口も、2020年には70%くらいにまで伸び、その後も2030年頃までは増え続けるでしょう。インドネシアは、これからぐんぐん成長する、大きな可能性を秘めたマーケットだと思います」
 もともとインドネシアオフィス設立前は、香港と日本からの輸出によって、インドネシアの代理店に商品を供給していた。しかし高い関税のおかげで、商品の店頭売価は日本の2倍以上に跳ね上がり、庶民には同社の玩具は手が出しづらい高根の花だった。流通チャネルも、百貨店や高級ショッピングモール内の玩具チェーンなどに限られ、一部の富裕層を除いては、買ってもらいにくかったのだ。
 しかしこうした環境は、インドネシア法人ができたことで変わりつつある。まず現地での委託生産と、ディストリビューターへの直接販売が可能となった。いわば自社製品の地産地消だ。輸入の必要がなくなったので関税がなくなり、下は150円からの価格帯が実現。毛細血管の隅々に血液が流れていくように、中間所得者層が利用する量販店、ハイパーマーケット、コンビニなどにも商品を届けられるようになった。インドネシアの一般家庭の子ども達が、誰でもバンダイのオモチャを手にできるようになったのだ。
 「10年後、ASEANは巨大経済圏となるでしょう。そこに真っ先にクサビを打っておく必要があります。中国、台湾、香港の中華圏とASEANとでは、文化背景がまったく違いますから、域内のインドネシアを足がかりに、ASEANへの展開を着実に進めていきたいと考えています」
 現地生産を拡大し、インドネシアをASEAN全域への輸出拠点へと育てることが、バンダイナムコの次なる目標だ。

日本のお馴染みキャラに加え、インドネシア発のヒーローキャラも!

店頭の大きなコーナーで販売される「ビマ」の商品。

 ではそのインドネシアの玩具市場について、バンダイナムコとしてはどのような手応えを感じているのだろう。
 インドネシアでも日本のアニメやヒーローものがテレビ放映されているため、ウルトラマンやパワーレンジャーといったキャラクターは、子ども達の間によく浸透しているという。
 「下は4歳くらいを対象とした商品から、上は30代、40代のハイターゲット向けコレクター商材のようなものまで、バンダイナムコはアジアでも広く展開しています。このうちハイターゲット商品は、どの国も好みが似ています。大人の顧客層なので、世界中どこにいても、ネットなどを使ってオンタイムの情報収集ができるためです。
 これに対して子ども達の情報源は、主に地元のテレビ番組です。どんな番組が流れているかは地域によって違いますから、低年齢向けにどういった商品が売れるのか、実際にその土地に行ってみないと、分からない部分が大きいのです」
 インドネシアでは2013年に、日本とインドネシア合作の子ども向け特撮番組、「ビマ・サトリア・ガルーダ」が放映され大ヒットした。第2シリーズもこの夏まで、1年間にわたって放送されている。バンダイナムコインドネシアでは、現地の放送局、並びに日系商社とのタイアップで、ビマの変身グッズやプラモデルなども発売。現地の小さなお客さん達に、大いに喜ばれている。
 「バンダイナムコグループのミッションは、当社の商品とサービスを通じて、夢・遊び・感動を世界中の人々に提供することです。ビマの例も含めて、現地のみなさんの趣味趣向に合った商品を届けることができるのは、まさにインドネシアに拠点をもった強みだと思っています」
 単に海外法人がある、海外でも商品が流通しているというだけでなく、地域に密着して愛される、名実ともに世界のトップを目指すというビジョンを「真のグローバル化」という言葉で共有している。

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