GM特別企画

日本を元気に輝かせるために!世界でプレゼンスを発揮する日本人のつくり方 小田康之 氏(Vital Japan代表)

グローバル・マネジャーに必要なスキルは、英語力だけではない。さまざまな文化や習慣が交差する国際社会のなかで、日本人がプレゼンスを高め、確かなコミュニケーションを通じて対等に渡り合うためには、ビジネスや政策の場を動かす専門知識やプロフェッショナリズムが求められる。その力を身につけ、磨きをかけるために発足した「Vital Japan」の創設者、小田康之氏に、日本人が国際社会のなかで活躍するための心得を聞いた。

プロフィール
小田 康之(おだ・やすゆき)
上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業。同学大学院外国語学研究科修了。高校時代に米国オハイオ州の高校に、大学在学中にはマドリード大学に留学。三井物産、アーサーアンダーセン勤務を経て、米国系IT企業のマーケティング部長や役員を歴任。その後、国内外の企業へのコンサルティングを行うオスペラ株式会社代表取締役社長として現在に至る。2002年、世界で通用するビジネスや政策のプロフェッショナルの育成、および情報交換の場を目指し「Vital Japan」を立ち上げ、精力的に活動している。

目次

  • 英語学習の方法
  • 想い・情熱

「Vital Japan」-日本を活性化するための人づくり

おだやすゆきしの写真

国際社会における日本の弱体化がVital Japan立ち上げのきっかけになったと語る小田さん。ビジネスと公共政策を二本柱とする勉強会を開き、意識の高い若手プロフェッショナルの育成に励んでいる。
Vital Japanウェブサイト

 土曜日の夕方、都内のあるビルに続々と人が集まってきた。館内の広い講堂にはぎっしりと机が並び、それぞれの机の周りに、およそ200人の人々が6人くらいずつのグループに分かれて、椅子と椅子がぶつかりそうになりながら着席している。プログラムが始まる前から、会場は熱気でいっぱいだ。
 これから始まるのは、月に一度開催される、若手ビジネスパーソン向けの勉強会。内容はきわめてハイレベルで中身が濃い。
 約2時間のプログラムは、すべて英語で行われる。ビジネス、公共政策、異文化コミュニケーションを中心に、毎回旬のテーマを設定し、第一線の専門家がプレゼンテーションをするのだが、その後、全体討論やグループディスカッションを通して、参加者全員が英語で議論に加わる。
 勉強会を運営しているのは、国際プロフェッショナルのネットワーク「Vital Japan」。代表の小田康之さんは、現役の企業経営者でもある。若いころから国際社会に身を投じ活動してきたなかで、日本の将来を牽引するグローバル人材育成の必要性を痛感し、15年前にVital Japanを立ち上げた。

 「私は高校時代に1年間、オハイオ州の高校に留学した経験があります。1987年のことでしたが、当時の日本は強い経済力に支えられ、世界のなかで存在感を発揮していました。ところがその後、日本経済は長い低迷の時代に入り、日本は国際社会での輝きも失ってしまいました。
 日本は、このまま世界から忘れ去られ、存在感のない国になってしまうのだろうか?どうすれば日本のプレゼンスを取り戻せるのだろう?
 行きついた答えが、日本の企業が変われば、日本全体も変わるということでした」

 そのためには、企業で働く20代、30代の若手が、もっと力を発揮できるようになる必要がある。マーケティングでもファイナンスでも何でもいい、彼らがそれぞれの専門分野で本物の「プロフェッショナル」になれば、その力が日本企業の変革のエンジンになると小田さんは思ったのだ。

 「さらに日本全体に目を向けると、公共政策の分野にもパワフルな人材が必要です。そこでビジネスと公共政策を二本柱とする勉強会を開き、意識の高い若手プロフェッショナルのネットワークをつくろうと思い立ちました」

 Vital Japanが目指すのは、文字どおり日本をリバイタライズ(活性化)すること。初めから営利は考えなかったという。
 勉強会は、世界で通用する英語で行うことにした。英語で普通に議論できるようになること自体が、国際社会で活躍する第一歩でもあるからだ。勉強会で十分な収穫が得られるよう、英検1級あるいはTOEIC Listening & Reading Testで900点程度の英語力を、参加の要件としている。
 こうして2002年に始まったVital Japanの活動は、すでに150回を数える。参加者の8割が、20代から40代の前半。職業も、会社員、経営者、医師、弁護士、会計士、教員、学生、国会議員、官公庁職員、コンサルタント、会議通訳者、翻訳者、メディア関係者と幅広い。日本人に加え、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど、外国人の参加者も増えているという。

参加者の要望で始まった英語勉強会「Vital English」

Vital Englishの勉強会の様子の写真

Vital Englishの勉強会の様子。Vital Japan同様、インタラクティブで全員参加型なので、たくさん話せてたくさん学ぶことができる。

 Vital Japanの参加者はもともと英語力が高い。なかには、勉強会に参加して英語力不足を感じたなど、Vital Japanの前段階としての英語勉強会を切望する声が日増しに高まっていった。こうした声に応える形で、小田さんは英語勉強会「Vital English」を、2007年にスタートさせている。英語コミュニケーション編、ビジネス英語編、時事英語編の3分野があり、対象は中級から上級レベル。英語力に自信がなくてVital Japanへの参加が不安な人は、Vital Englishから勉強を始められるという仕組みだ。月に2~3回程度開催し、1回およそ3時間のプログラムとなっている。

 「Vital Englishは英語の講義を聴く会でも、脈絡なくただ英語を話すだけの会でもありません。私やネイティブスピーカーが講師になり、毎回テーマに沿った素材を準備して、4~6人のグループ単位で、ロールプレイを行います。200人もの参加者が、一堂に会して行う英語の勉強会というと、よく驚かれるのですが、Vital Japanと同じく、インタラクティブで全員参加型なので、たくさん話せてたくさん学べるのです」

 このプログラムも、専門分野と一定の英語力をもつ人が集まるため、レベルは総じて高めだ。
 小田さんの目から見て、外国語を学ぶうえで、何かコツはあるのだろうか?

 「言葉を学ぶとき、最も大事なことは目的意識です。なんとなく英語ができるようになりたいと思っている人は、一生できるようにはなりません。留学したい、英語を身につけてこういう仕事がしたいなど、目標が明確になれば、そこに到達するための道のりを細分化し、具体的な手段を決めて進むことができます」

 コミュニケーションにおいては、相手の文化を理解することも大切だと、よくいわれる。

 「私は日本語と英語とスペイン語を話しますが、日本人に挨拶をするときは、自然とお辞儀をしています。しかしアメリカ人と握手するときは、けっしてお辞儀をしたりはしません。スペイン人の場合、男性は基本的に女性の両頬にキスする習慣があります。言葉だけでなく、言葉をめぐる文化の違いも、知っておく必要がありますね」

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