TOEIC® Programの理念 -TOEIC® Programの歴史-

TOEIC® Program開発の背景

1970年代、円が変動相場制に移行し、日本経済が世界経済という枠に組み込まれました。それを契機に、製造業を中心として日本企業の海外進出が急速に進んでいったのです。そこには、コストや効率という経営的側面に加えて、先進国との間に生じた貿易摩擦を緩和する目的もありました。つまり、人と人、国と国との理解を深めていかなければ、日本は将来立ち行かなくなるという危機意識です。そのためには、もっと多くの日本人が英語によるコミュニケーション能力を磨く必要がある。そのための実効性のあるプログラムを開発しよう。そのような発想を元に日本人の手によってTOEIC L&Rの開発プロジェクトが動き出したのです。

その中心となった一人は、当時のことをこう振り返っています。「ビジネスは人が相手です。単にモノを売るだけではなく、コミュニケーションによってお互いを知り、信頼関係を築くことが第一です。そのためには、知識としての英語ではなく、円滑なコミュニケーションが行える、スキルとしての英語能力を身に付ける必要があります。また、それは国際ビジネスの最前線にいるビジネスパーソンだけではなく、海外への行き来がごく普通のことになるであろう将来、より多くの日本人が英語コミュニケーション能力を求められる時代がやってくると感じました」。実際のコミュニケーションに必要な能力を客観的に評価し、併せてその評価を目標設定にできる世界共通のモノサシをオリジナルで開発すること。それがTOEIC L&R開発の命題でした。

TOEIC L&R誕生と現在に至るまで

ETS(Educational Testing Service)は米国ニュージャージー州プリンストンに本部があり、設立されたのは1947年。世界最大の非営利テスト開発機関として知られ、アメリカの大学への留学に課せられるTOEFLをはじめ、アメリカの公共機関や学校関係のテストの大半を開発・制作するという実績を持っていました。そのような理由からプロジェクトメンバーは、「テスト開発に豊富なノウハウを有し、開発を依頼するのに最も相応しい」と考えたのです。1977年9月から折衝を開始し、2年の研究開発を経てTOEIC L&Rが実現しました。

そして、1979年、TOEIC運営委員会が設置され、12月に第一回テストが、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡で実施されました。第一回テストの受験者は、わずか3,000人あまり。しかし毎年、着実に受験者数を伸ばし、1985年度に88,000人だった受験者は1990年度には332,000人に達しました。さらに2000年度には100万人の大台をも突破。この要因となったのは、経済のボーダレス化やIT化の進展により、企業活動のグローバル化が一気に加速したことです。目標スコアを設定して英語研修を行ったり、人員採用や海外部門要因の選定、さらには昇進・昇格の要件として活用したりというように、TOEIC L&Rを採用する企業が急増。現在、日本では個人による受験に加え、約3,400の企業・団体・学校が採用し、年間約240万人が受験しています(2014年度)。

また、TOEIC Programの運営機関は、東南アジアやヨーロッパ、中南米を中心とした非英語圏にも設置され、TOEIC L&R、TOEIC Bridge Test、TOEIC S&W合わせて世界約150カ国で年間約700万人が受験するほどの規模に広がりを見せています。日本で発案されたTOEIC Programが、まさにグローバル・スタンダードとなったのです。