導入事例

デンソーテクノ株式会社

社内グローバル化の実現に向けTOEIC Listening & Reading Testのスコアを昇格要件化

英語学習を促進する外的動機付けとして、2019年1月からTOEIC Listening & Readingスコアを昇格要件化しました。要件化に合わせて、社員の主体的な学習を支援するきめ細やかなサポートも充実させています。

人材開発部 部長 石堂 好範さん

導入概要

導入目的
  • グローバルビジネスに対応するため、社内全体の英語力の底上げが必要に
  • 社員の英語4技能を測定するツールとして
活用方法
  • TOEIC L&R IPテストを年4回実施し、スコアを昇格要件に設定
  • 語学研修の前後にTOEIC S&Wスコアを実施
  • TOEIC L&Rに苦手意識のある社員や、若手社員にはTOEIC Bridge Testを試行
導入効果
  • グローバル人材登録者やTOEIC L&Rスコア保有者が増加
  • 約6年半で800名以上の社員が100点以上スコアアップ

世界のカーメーカーを相手に、世界一のシェアを誇る自動車部品メーカー

当社は、自動車部品の設計・開発や設計技術の要素研究をしている会社です。親会社のデンソーが世界初の技術や製品の研究・開発を生業としているのに対し、当社は数年後に実際の車両に搭載される部品を設計・開発し、世界一のシェアを維持し続けることを目標としています。

世界中のカーメーカーが取引相手となるため、グローバル展開の拠点として2005年にフィリピンに子会社を設立しました。日本からも約20名が出向しています。海外出向以外にも年間400回を超える海外出張があります。また近年は、テレビ会議等の普及により、日本国内でも英語を使う機会が一層増えてきています。

英語教育における指標を明確にし、現状に基づく目標スコアを設定

2,808名の従業員のうち、約94%が技術系社員です。そして、彼らのほとんどが英語に苦手意識を抱いています。

そこで、2012年度に「グローバル人材登録制度」を導入し、語学や英語学習に意欲のある社員を会社が支援する仕組みを作りました。

続けて、2014年度には、英語学習における指標と目標を定めました。 “モノサシ”として活用したのはCEFRのCan-Doリストです。4技能ごとに各レベルの「できること」が明示されているので、学習到達目標を設定するのにとても役立ちました。“測定”ツールには、4技能を網羅し、英語力の伸びを細かく数値で測定できるTOEIC Programを採用しています。

さらに、全事業部の部長を対象にニーズ調査し、CEFRに基づくスキル・レベル別の必要人数を算出しました。その結果、5年後には4技能すべてにおいて1,000人規模の人材が必要で、求めるレベルも、A2からB1以上にレベルアップさせなくてはならないことがわかりました。

しかし、TOEIC L&Rスコア上位1,000名のうち、目標とするB1レベル(TOEIC L&Rスコア550点)に達していたのはわずか200名弱で、現状と現場のニーズに大きなギャップがありました。

外発的動機付けとして、TOEIC® Listening & Readingスコアを昇格要件化

そこで2015年3月、海外業務の拡大予測に基づき、英語を習得する意欲の向上を図ることを狙いとして、TOEIC L&Rスコアの昇格要件化を通知しました。

最も苦労したのは、スコアの設定です。海外赴任候補者の基本スコアが650点、各事業部の部長が求めるスコアが550点であることを踏まえ、現実として到達可能なスコアを模索しました。その結果、係長格は400点以上、課長格は500点以上とし、2019年1月昇格者から適用しています。

また、「私には関係がない」「勉強しなくてもなんとかなるだろう」と考える社員が出ないよう、既に管理職に昇格した社員などには、役員からの声掛けを徹底しました。「600点は、あくまでグローバル人材としての入口ですよ」と、ミニマムとしての指標であることを伝え、意識の切り替えを促しました。上司が懸命に学習する姿は、部下への良い刺激にもなっています。

内発的動機付けとして、きめ細やかな学習支援を展開

昇格要件化に合わせて、英語学習をサポートする体制も整えました。当社の特徴は、その細やかさにあります。

まず、学習ツールとしてe-learningを導入しました。このe-learningは、学習努力を評価することによって昇格時のアセスメントの対象とする、救済措置の意味合いもあります。

TOEIC L&R IPテストは、年4回実施し、毎回約500~800人が受験しています。

2016年度からは、部署ごとにまとめたIPテストスコアの保有率と平均点の公開を始めました。他部署の状況を知ることで競争意識が刺激され、個人の学習意欲が高まることを狙いとしていたのですが、これに最も慌てたのは各部署のマネージャーたちでした。

また、社内で実施する語学研修や1週間の自己学習の成果を記録し、提出するシートには、毎回講師や人材開発部がコメントを書き添えて返却しています。

ポイントは、手書きであることと、些細なことでもとにかく褒めることです。交換日記のようにコメントのやり取りを繰り返すことで心の距離が近づき、信頼関係の向上だけでなく、学習者のモチベーションアップにもつながりました。

約6年半で約800人のTOEIC Listening & Readingスコアが100点以上アップ

これらの取り組みにより、グローバル人材登録者数とTOEIC L&R IPテストスコア保有者数は、毎年増加しています。グローバル人材登録率は、導入初年度の37%から2017年度は71%まで上昇しました。スコア保有率も、昇格要件化を通知した2015年度を機に急増し、2017年度は93%に達しています。

また、2012年2月から2018年9月までの約6年半の間にスコアが100点以上アップした社員は、805名に上りました。TOEIC L&Rスコア上位1,000名のベストスコアも、CEFR B1レベル以上が405名と2014年度の約2倍に増え、2014年度に最も多かった最下層ゾーンは0名になりました。

このことから、TOEIC L&Rスコアの「昇格要件化」は、当社の社員の心に「火をつける」上で極めて高い即効性があったと考えられます。

TOEIC Speaking & Writing TestsやTOEIC Bridge Testも活用し、社内全体でさらなる英語力向上を目指す

TOEIC L&Rに加え、2014年度からは語学研修の成果測定ツールとしてTOEIC S&Wも導入し始めました。

研修開始時と修了時にTOEIC S&Wを実施しているのですが、単年受講ではスピーキング、ライティングともに研修前後でそれほど大きなスコア変化はありませんでした。ところが、複数年継続して受講した場合は、いずれもスコアが大きく伸びていました。アウトプットの強化には、やはり継続的な学習が必要だと再確認しました。

今後は、話す、書くといったより実践的な英語学習への足がかりとして、TOEIC L&Rの昇格要件スコア達成者などを中心に、TOEIC S&Wの受験対象者を研修参加者以外にも拡大して実施することを検討しています。

一方、TOEIC L&Rに苦手意識のある社員や昇格に猶予のある若手社員には、英語学習を始めるきっかけづくりとして2018年度からTOEIC Bridge Testを試験的に導入しています。

自主的な学習の継続を促し、会社全体の英語力を底上げしていくことも課題です。身に付けた英語を活かすことができる部署への変更やTOEIC S&Wの活用なども検討しながら、社員が生き生きと働ける職場づくりを目指していきたいと考えています。

「テストの種類」「実施方法」「実施時の注意事項」など、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。