活用事例

信州大学

成績や大学院入試にもTOEIC Listening & Reading Testのスコアを活用
繊維学部からスタートし、今では理系4学部へと導入拡大

理工系企業や博士課程で必須となる英語力を育成するため、繊維学部全1、2年生を対象にTOEIC L&Rを導入。成績に反映したり、大学院入試に活用したりすることで、学生の英語学修に対するモチベーションの向上と自学学修の確立につながっています。本学の取り組みのポイントは「学習」ではなく、学生が自ら学びを修める「学修」です。

繊維学部 国際交流推進室長 平林 公男教授

導入概要

導入目的
  • グローバル化が進む理工系企業への就職を見据えた英語力の修得
活用方法
  • 繊維学部1、2年生全員にTOEIC L&Rの年2回受験を義務付け
  • TOEIC L&R IPテストスコアとe-learningによる学修履歴を成績に反映
導入効果
  • 英語学修に対するモチベーションが向上
  • 自学自修の習慣が定着
  • 大学院入試にも活用することで3年生以降も学修を継続
  • 理工系4学部の全1年生にTOEIC L&Rの受験を拡大

日本で唯一の「繊維学部」
グローバル化に対応した英語力が必須に

信州大学の「繊維学部」は学内で長い歴史をもつと同時に、日本で唯一の学部です。一般的に「繊維」というと「衣服」がイメージされますが、本学部は衣料以外にも食物繊維や光ファイバー、DNA、ジオテキスタイルなど「細くて長い形態を有する材料」全てが対象で、工学、理学、農学、医学を融合した総合工学となっています。さらに次世代の「国際的ファイバー工学教育研究拠点」を目指し、アジアを中心に世界各国の大学や機関等と学部間交流協定も締結しています。

そのため、繊維学部の卒業生のほとんどは理工系企業に就職します。急速に進む昨今のグローバル化の中で企業が生き残っていくためには、諸外国との取引、諸外国の技術情報の収集が不可欠です。そこで、学生に必要な英語力を身に付けさせて社会に送り出すことは本学部の重要な責務であると考え、学部の英語教育改革に着手しました。

繊維学部全1、2年生に年2回のTOEIC Listening & Reading Test受験を義務付け
e-learningで授業1時間+自学自修2時間を確保

繊維学部4年間の英語カリキュラムは、グローバルな商取引や情報収集など「インターネットを駆使できる技術者」の育成という視点から、英語4技能の必要度を考え構築しました。1、2年の共通教育ではまず基礎となる「聞く」「読む」を重視し、その後、「話す」「書く」といった発信型英語力の育成へと移行していきます。

さらに、学修成果を測るために全1、2年生に6月と12月の年2回、TOEIC L&R IPテストの受験を義務付けました。TOEIC L&Rを採用した理由は、客観性やグローバル性、受験者数、就職後の有用性などからです。入学時のスコアを全国の理系学部生の平均450点と想定し、卒業時の目標を600~650点以上としました。

しかし、英語は週1、2回の授業に出席するだけで身に付くものではありません。そこで、授業1時間に対し2時間の自学自修を確保するため、独自のe-learningシステムを導入しました。このシステムの特徴は、いつでもどこでもインターネット経由で利用でき、自分のレベルに適した教材を使って、ゲーム感覚で楽しみながら学修できる点にあります。さらに、e-learningによる学修を授業に組み込み、単位の実質化を図りました。学生の取り組み状況は、毎週、授業の冒頭5分間に実施する小テストでモニタリングし、学生と担当教員にフィードバックをしています。

TOEIC Listening & Reading Testスコアと自学自修履歴を成績に反映
学生の英語学修へのモチベーションが向上

繊維学部では、TOEIC L&R IPテストのスコアと小テストの結果は、成績評価にも反映されます。スコアや自学自修の成果を成績に反映することにより、学生の学修に対するモチベーションが向上しました。

さらに、最高スコアを獲得した学生と最もスコアの伸びが大きかった学生を対象とした学部長表彰、高学年向けのスピーキング・ライティング能力養成講座や発信力修得支援のための英語サロンの開催、TOEIC L&Rのスコアを基に掘り起こした候補者への海外留学支援など、学生の学修意欲を持続させ、一層力を伸ばすための仕掛けも用意しました。円滑な運営・実施のため、学生だけでなく学内の教職員への広報や理解促進にも力を入れてきました。

大学院入試にもTOEIC Listening & Reading Testスコアを活用
理系4学部全1年生が受験へ

2018年度入学生からは大学院の入試にもTOEIC L&Rのスコアを活用し始めました。各分野で扱いは異なりますが、3年生以降の英語学修に対するモチベーションの維持と大学院の英語試験問題の作成労力の軽減にもつながっています。

TOEIC L&Rの受験を義務付け、スコアを成績に反映するといった取り組みは当初、繊維学部のみで行っていました。しかし、学部から大学院博士課程までの9年間を考えた時、英語で論文の読み書きやプレゼンテーションができるレベルに博士課程で到達しているためには、学部1、2年生の共通教育の英語が極めて重要だという点は、どの理系学部においても共通の課題でした。

そこで、理・農・工・繊維学部の4理系学部の学部長による「信州大学理系学部英語教育改善ワーキング」が立ち上がりました。各学部の学部長補佐、副学部長クラスによる構成メンバーにより、TOEIC L&Rを利用した英語教育プログラムを提案。「使える英語」「道具としての英語」を身に付けさせるという各学部の方針の下、授業担当教員らに協力を仰ぎました。2015年度以降、繊維学部を含む4学部の全1年生がTOEIC L&R IPテストを年1回以上受験しています。導入拡大に向けた学生・教職員等への説明の際などには、IIBCスタッフの方々にもご協力いただきました。

その後、TOEIC L&R導入の動きは文系学部にも広がり、本学全体の受験者数は年々増加しています。そこで、本学は2017年度からIIBCの賛助会員となりました。本学では学生が受験料を全て自己負担しているため、賛助会員になったことで学生の負担軽減にもつながりました。

私は常々、学生に「あなたは卒業したら何になりたいの?」と聞くようにしています。これからは、どの職業でも英語はツールとして必要であり、明確な夢や目標があることは学修に対する一番のモチベーションとなります。スコアはあくまで一つの指標であり、良いスコアを取ることが本来の目的ではありませんが、学生にとってはスタンダードとなるツールがあることで、目標を持って半期なり1年間なりの学修に臨めているようです。スコアを含め、学生の成長はいかに自分で勉強する「自学自修」が習慣付いているかによります。本学では、その習慣を1、2年のうちに英語という科目を通じて身に付けさせたいと考えます。共通教育の段階でしっかり習慣付けば、その後も主体的に学修に取り組むようになります。そのような学生が今後さらに増えていくことを期待しています。

(2018年8月取材)

(テスト名称を含め掲載情報は取材当時のものです)

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