「内容と単語も日常生活やグローバルビジネスに対応しているTOEIC® Testsは学生だけではなく教員にも最適なテストです」

松田春東さんの写真

松田春東さん/高校英語科教員
2021年IIBC AWARD OF EXCELLENCE受賞者

IIBC AWARD OF EXCELLENCEを受賞したお気持ちは?

英語科の教員として、この賞を受賞できたことに嬉しさを感じるよりも安堵しています。生徒や保護者の皆様に向けた英語力の証明になると思います。

現在は高校の英語科の教員ということですが、これまでのキャリアと英語教師になられた理由を教えてください。

今年度から勤務する学校が変わり、女子校に勤務し、高校3年生のコミュニケーション英語を担当しています。SDGsを授業に組み込み、CLIL(内容言語統合型学習)やTBLT(タスクベースの教授法)を用い、先進的な取り組みをしております。高校教師になる前は、学習塾で英語を含む主要5教科の授業を受け持っていました。学生時代に1年間イギリスへ留学していた際は幼稚園で日本語を英語で教えるボランティア活動をしていたこともあり、教えることには、長年興味がありました。英語教師になったのは、英語を話すことのメリットを多くの若者に伝えたいと思ったからです。英語を話すことができれば、他言語も習得しやすく、世界観が広がり、自分の将来の仕事の選択肢も増えるというメリットがあります。その素晴らしさを将来希望に満ち溢れた生徒の皆さんに伝えていくことが自分の使命だと感じ、英語科の教員を志望するようになりました。

初めてTOEIC® Testsを受験されたのはいつですか?

TOEIC Listening&Reading Test(以下、TOEIC L&R)は高校生の頃です。これは学校で受けました。TOEIC Speaking &Writing Tests(以下、TOEIC S&W)は2019年です。実はそれまでの私はスピーキングに自信がありませんでした。2016年まで勤めていた学校では、リスニングとリーディングのみを教えていました。そんな中2017年に着任した学校で、英語は実技教科である、というお考えの先生に出会い、英語のスピーキングに対する意識が変わりました。授業の中でも「話す」ことを取り上げることが多くなり、同時に私自身も英語を話すことを避けてはいけないと思うようになりました。たまたま職員室で自分の席の近くにいる方々がネイティブスピーカーだったので、世間話も英語でするようになり、徐々にスピーキングにも自信がついてきたので、実力確認のためTOEIC S&Wを受験しました。

英語教師として、TOEIC® Testsの効果的な学習方法を教えていただきたいのですが、まずは、リスニングとリーディングについて教えてください。

リスニングはどの言語においても一番大事な能力だと思います。なぜなら、相手の話すことを理解できなければコミュニケーションが成り立たないからです。TOEIC L&Rのリスニングセクションの主な学習方法は、通勤時間などで公式問題集の音声を聞くことです。音楽再生機器で1.1倍から1.25倍の速度で聞くと良いと思います。聞き慣れると、テスト本番ではゆっくりと感じられます。また、TOEIC L&Rリスニングセクションの発音は国や地域ごとに違うので、米英豪加の発音が比較できる教材を買って聞き流しを行うことで、多様な国の発音に慣れる努力をしました。

リーディングは、マルチプルパッセージ(複数の文書)の練習を徹底的に行うのが効果的な学習方法の一つだと思います。普段から難易度の高いものに慣れておけば、シングルパッセージ(1つの文書)も読みやすくなるからです。これも通勤時間に公式問題集を読んでいました。リーディングセクションの学習で一番大事なのは単語を多く覚えることだと思います。一つの英文の中で98%の単語がわかっていれば残り2%の意味は推測しやすいといわれています。TOEIC L&Rにはビジネスで使われる英単語も含まれているので、『TOEIC Listening & Reading公式ボキャブラリーブック』は全て覚えた方がいいです。私は同ボキャブラリーブックを購入し、公式問題集を含め、知らない単語はルーズリーフや単語帳に書きだして覚えました。時間の間隔を徐々に空けて覚えていくと効果的です。

公式教材を徹底的に活用しました

次に、スピーキングとライティングの学習方法について教えてください。

スピーキングはアウトプットの活動です。アウトプットを可能にするためには、まず膨大なインプット(リスニング、リーディング)量が必要です。なぜならアウトプットは、インプットしたものからできているからです。まずは日頃からインプット活動に励むことをお勧めします。その上で、TOEIC Speaking Testについては、少し前の公式問題集になるのですが、『TOEICスピーキングテスト/ライティングテスト公式ガイド』の採点スケール3・2・1の各評価の答えを聞いて、評価が高い表現の分析をしました。更に、問題ごとに細かい分析も行いました。例えば、音読の問題では、アクセントや音の連結(リエゾン)、抑揚には特に注意して解答することを心がけています。テストでは、解答前に準備時間が45秒ある問題もあります。その際は、初めの30秒は英文をカタカナ読みで良いので、口を動かす練習をします。残りの15秒はどの部分を強く読めばいいのか、この文章は誰が読むものなのか、読みづらそうな単語はどれなのかを特定して、音読する準備をするとリラックスして問題に取り組むことができます。スピーキングの場合、同じ問題に対する解答でも、日によって自分が話す内容に違いが出るため、反復練習は非常に効果的だと思います。時間を空けて同じ問題に何度も取り組んでみるのも良いかと思います。

ライティングについては、高校レベルの文法力や単語力はもちろん大切です。ただ同時に心がけておくことは、誰に、どのような目的で、どんな形式で書くのかを理解することです。例えば、ビジネスメールを書く際に相手が取引先であった場合、平易な表現を使い、口語的に書くことは不適切であり、ビジネスの場面にふさわしい丁寧な表現で書くことが求められます。TOEIC Writing Testの問題も同じです。Question 6-7は、Eメール作成問題になりますが、シチュエーションを意識しながら、解答を作成する思考力が大切になってくるかと思います。TOEIC Writing Testの具体的な学習方法の一つとしては、公式問題集の模範解答を読み、模写すること。自分の解答と模範解答を比較し、類似点を見つけるのも良いかと思います。私は、効果的な表現や構成を一覧でまとめたりして対策しました。最後に、なるべく多く書くことが大切です。まずはどんどん書きましょう。慣れてきたら、次は時間をかけて書いて、ネットや辞書で直せるものは自分で修正をいれ、可能ならば、英語が堪能な方に添削してもらうと尚良いでしょう。書く練習をすることで、決められた時間の中でも英文を仕上げることができるようになります。目標としては10分間で100語、15分間で150語程度が理想です。

公式問題集を活用してくださっていますが、使い方のコツはありますか?

TOEIC L&Rの実施時間は、午前と午後に2時間と決まっているため、それと同じ時間帯で2時間通して公式問題集を解いてみます。そうすると、どの辺りで自分は時間切れになるのか、スタミナ切れになるのか等がわかってくるので、改善策を考えやすくなるからです。

TOEIC® Testsの良いところはどのような点だと思われますか?

TOEIC Testsはビジネスの場面と日常の英語を使う場面が出題されていて、一般的な単語が使用されています。また、大学入学共通テストの構成がTOEIC Testsに似ていると感じることも多く、教員はもちろんのこと、大学入試を見据えた高校生にとっても、非常に役立つテストだと思います。TOEIC S&Wに関しては、一次試験通過などの条件がなく、誰でも受験できるところが大きな魅力です。英語を教えるプロ、またはプロを目指す人は積極的に受験してほしいです。一度受験すれば自分の実力や弱点がわかります。TOEIC S&Wは良い波及効果もあり、普段の英語学習のモチベーションにもなります。今後、企業もTOEIC S&Wのスコアを社員に求める条件として組み込めば、日本人全体の英語力の底上げになると思います。

最後に、松田さんの今後の目標や夢を教えてください。

大きな目標として、いつか学校の教員向けに英語のテストの作り方に関する本を制作したいと考えています。私の専門分野はテスティングという学問です。良いテストというのは信頼性(何度測っても同じ基準に基づいた結果になるか)、妥当性(測りたい能力を測定できているか)、実用性(確保できる時間や費用、労力の面でテストが作成・実施・採点・解釈しやすいか)を備えたテストのことをいいます。TOEIC Testsはテスティングの分野において、これらすべての条件を満たしており、非常に効果的なテストだと言えます。現在4技能を伸ばすように授業改革が推進されているにもかかわらず、実情は、学校で行う英語の定期テストは従来のものと変わっていない印象を受けます。大学入試や先生方が過去に受けてきた定期試験をもとに作成されている定期試験が大半を占めているからだと思います。大学時代に英語のテストの作り方を学んだ先生はごくわずかしかいません。テストの作成の仕方を知れば教材作成にも応用が利き、教材が良くなれば授業の進め方も良くなり、きっと英語教育が良い方向に行き、生徒の基礎学力定着に有益になると考えています。近い将来、テスティング理論をもとに誰でもその日から実践できるようなテスト作成に関する本を執筆し、微力ながら英語教育に貢献したいです。

 

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