デンソーの高い技術力を支える技能系社員のグローバル人財育成とは?
売上高7.1兆円、従業員数約16万人が活躍するグローバル企業株式会社デンソー。(以下、デンソー)同社の高い技術力の一端を担っているのが、企業内訓練校であるデンソー工業学園です。これまでに約6,000名を超える技能者を輩出しており、その卒業生の中には技能五輪国際大会でメダルを獲得したり、海外拠点で活躍したりする人財を育成するまさにデンソーにおける人財育成の要といえます。
そんな同社が現在注力しているのが英語学習。ビジネスのグローバル化はもちろん、技能修練のためにも英語力は不可欠なのです。社員の英語力強化のためにTOEIC Bridge Speaking Test※を導入したデンソー。なぜ本テストを選んだのか。どのように活用しているのか。デンソー社員の皆さんにお聞きしました。
※公開テストではTOEIC Bridge Speaking & Writing Testsを実施しています。団体特別受験制度(IP:Institutional Program、以下IPテスト)ではTOEIC Bridge Speaking Testのみの受験が可能です。
目 次
- Profile -
デンソー技能⼈財養成部
人財養成推進室 企画・統括課
伴⼸美⼦さん
- Profile -
デンソー技能⼈財養成部
卓越技能修練室 技能開発2課
最上拓さん
- Profile -
デンソー技能⼈財養成部
卓越技能修練室 技能開発1課
坂元裕⼆郎さん
- Profile -
デンソー技能⼈財養成部
卓越技能修練室 技能開発1課
岩本亮さん
- Profile -
デンソー技能⼈財養成部
デンソー⼯業学園 訓練・指導1課
(高専課程)
井⽥結⽉さん
売上高7.1兆円、従業員数約16万人のグローバル企業
まずはデンソーについてご紹介をお願いします。
伴さん:デンソーは先進的な自動車技術、システム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカーです。1949年に設立され、連結子会社は193社、売上高は連結7兆1,447億円、従業員は連結16万人超に上ります。お客様のニーズに応えるため、日本以外にも北米や欧州、アジアなど世界各地に支社および子会社を設立しており、お客様の近くで生産を行っています。
また、弊社の特徴の一つとして人財育成に力を入れています。例えば1954年からデンソー工業学園を運営しており、これまでに約6,000名の卒業生を輩出してきました。デンソー工業学園の学園生はデンソー社員という扱いになりますので、手当や賞与、福利厚生等を受けながらモノづくりの第一線で活躍するための技能や知識を修得できます。卒業後はデンソーの技能者として、各工場や開発現場などに配属され、技術者と共創しモノづくりをしています。
最上さん:弊社はトヨタ自動車から分離、独立した自動車部品メーカーとして設立されました。製品をつくるにはやはり人が大事ということで、人財育成機関であるデンソー工業学園が誕生したのです。企業内認定職業訓練校を持っている会社は日本ではそう多くありません。
- デンソーは先進的な技術力で自動車部品関連のシステムや製品を提供するグローバル企業
- 人財育成に注力しており企業内に認定職業訓練校「デンソー工業学園」を持ち、第一線で活躍するための技能や知識を修得できる
- 卒業生の中には、技能五輪で数多くのメダリストを輩出している
国内外を問わず英語を使う場面は多い
そもそも御社はグローバルに事業を展開されている企業ですから、英語力を必要とされる部署や業務も多岐にわたりそうですね。
伴さん:国内では海外の顧客、サプライヤー、海外拠点の従業員とのやり取りで英語を使用します。また海外拠点に出張、出向する際にも、社内外で英語でのコミュニケーションの必要性が出てきます。
最上さん:我々技能者も英語を使う機会はあります。例えば製品を製造・量産する場合、工場が海外にあることも多く、技能者が現地の作業者とコミュニケーションをとりながら進めていくことになります。中には会社から「来週から海外に飛んでくれ」と指示を受ける社員もいますし、2〜3年といった長いスパンで海外に出向する社員もいます。
また、技能五輪国際大会でも英語は必須です。例えば私や坂元、岩本は技能五輪のエキスパートを務めています。エキスパートとは、大会のルールの制定などに関わる運営側の立場。それだけに、各国のエキスパートや審判とコミュニケーションを取る場面は多いですね。
選手時代から高い英語力が求められるのでしょうか。
坂元さん:はい。技能五輪の公用語は英語とフランス語で、多くの選手は英語でコミュニケーションを取っています。私は選手時代に英語力が不足していて悔しい思いをしました。私はもともとおしゃべりなタイプなのですが、大会時に各国の選手が集まり、英語が飛び交うなかで自分だけがついていけなくて。本当は各国の選手ともっと話したかったです。国際大会で人間関係を築くにはやはり英語は必要ですね。
岩本さん:大会では通訳者を付けていただけるのですが、時間差なくスムーズなコミュニケーションを取るためには、自分たちでも話せるようになることを目指していきたいですね。
社員に求める英語力はどの程度でしょうか。
伴さん:国内拠点でも海外出身者が増えていて、日本語が苦手な従業員もいますし、上司が外国人というケースもあります。会社として必要な英語レベルを定めているわけではありませんが、グローバル化は今後もっと進んでいくでしょうから、英語力の重要性は増していくと考えています。
- 国内でも英語を使う場面があり、海外ではもちろん英語を利用するケースは多い
- 技能五輪国際大会でのコミュニケーションで英語は必須
- 今後、更なるグローバル化が進むため英語力の重要性は高まる
実用的かつ英語学習初心者でも取り組みやすいTOEIC Bridge Speaking Test
デンソー工業学園など、御社は人財育成にかなり力を入れておられます。育成制度について、より詳しく教えていただけますか。
最上さん:私は技能五輪の大会に出場する選手の育成担当をしています。自身のスキルを後進に伝えるだけでなく、国際大会に向けて英語学習の強化担当も務めています。教える内容はだいたい1週間単位になっており、知識や技能が身についたかどうかを毎週金曜日にテストし、その達成度に応じて評価していくという流れです。カリキュラム自体も毎年進化しています。同じことをやっていても通用しませんから。私たち指導員も一緒に学びながら成長しています。
伴さん:社員が学ぶための補助は会社として手厚く行っています。例えば英語学習であれば、学習サービス利用補助やTOEIC Listening & Reading IPテスト(オンライン)の機会提供があります。
坂元さん:補助を受けながら、勉強できる環境にとても感謝しています。
伴さん:最も重要なのは本人のやる気だと思います。デンソーでは社内ニュースで頑張っている社員の紹介をしたり、上司との面談でやる気を出してもらうための呼びかけをしたりと、さまざまな働きかけを行っています。社員同士がやる気を高め合っていく雰囲気が醸成されてきたと感じています。
それはすごいですね。
最上さん:そうしたなかで教育制度の一環として今年から弊部で導入させていただいたのが「TOEIC Bridge Speaking Test」です。
TOEIC Bridge Speaking Test導入の経緯を教えてください。
最上さん:TOEIC Programは点数による評価の仕組みが確立されており公平ですし、点数ではっきり英語力がわかるので社員のモチベーションアップにもつながります。会社の中で目標値を設定し、社会一般の英語力に対してどう比較するかを考えたとき、やはり英語教育試験サービスの第一人者であるTOEIC Programだろうと考えたのです。
伴さん:実は昔、英会話の先生にレッスンをお願いしていたこともあったのですが、それだとどれくらい身についたのかがわかりにくいんですね。今回は国際大会に出場して英語でコミュニケーションを取るためにも、スピーキングに注力したいと考えたので、より客観的な判断基準のTOEIC Bridge Speaking Testを導入したというわけです。TOEIC Programは実用的な表現が効率よく学べるため安心感があります。
坂元さん:難易度も無理のないレベルで良いと思います。英語に慣れていない社員でも、アレルギーを起こさずにファーストステップとして取り組めます。少しずつ英語に対して慣れていって、国際大会では英語でコミュニケーションが取れるようになってくれると嬉しいですね。
岩本さん:TOEIC Bridge Speaking Testは英語が苦手でも聞き取りやすく、英語が苦手な人でもとっつきやすいと感じます。
最上さん:私は特に英語学習をすることなく国際大会に出場したのですが、コミュニケーションが上手くとれず苦労しました。その経験から、私はスピーキングに注目しました。今は私の経験を基に、選手に英語学習の重要性を伝えています。
- TOEIC Bridge Speaking Testは英語力がスコア化され評価の仕組みも確立されているため英語学習者のモチベーション維持に役に立つ
- 英語に慣れていない人でも無理のない難易度のためおすすめ
英語力の強化でグローバル化への対応と技能五輪でのメダル獲得を目指す
皆さんが日々どのように英語学習に取り組んでいるか教えてください。
最上さん:私は英語学習アプリで学習したり、シャドーイングをしたりしています。英語は継続が大事なので、お昼休みのちょっとした時間を活用しています。
坂元さん:私は通勤時間を活用しています。好きな洋楽を聴いたりして楽しみながら学習しています。また、妻が英語を話せて子どもに英語教育をしているので、私も一緒に英語のYouTubeなどを見ています。
岩本さん:私も定期的に英語学習アプリを使用したり、ポッドキャストで英語のニュースを聴いたりしています。ニュースも等倍速ではなく、0.5倍速くらいにスピードを落とすと理解しやすいです。
井田さん:私も通勤時間を活用していますが、皆さんのように車ではなくバスや電車なので、声を出して練習することはできません。そこでスマホに英語学習アプリを入れて単語の勉強をしたり、書店で英語学習の本を買って読んだりしています。また、休日はシャドーイングにも取り組んでいます。
キャリア形成の観点から英語力の重要性をどう考えておられますか。
最上さん:将来的には海外の人と同じ立場で仕事をしてみたいという想いを持っています。デンソーは本人の努力次第でチャンスが得られる会社なので、頑張りたいです。また、2028年には技能五輪国際大会が日本で開催されます。海外からも多くのお客様がいらっしゃるので、それまでに英語力を身につけてコミュニケーションできるようになりたいです。
坂元さん:同じく2028年の日本での技能五輪国際大会がひとつの目標です。デンソーの海外拠点からも社員が出場する可能性があるので、連携をはかっていくために英語力を身に付けて活かしていきたいと考えています。
岩本さん:私も今後の国際大会に関わることを目標にして、英語力を高めることでしっかりと英語でコミュニケーションを取りたいです。
井田さん:私はまだ国際大会に出場したことがないのですが、国際大会を目指して技能向上も英語学習も頑張りたいです。
会社として社員の皆さんに期待していることや、今後の展望について教えてください。
最上さん:昔とは比べ物にならないほどのスピードでグローバル化が進んでいますから、いかに効率よく英語を学べるかは非常に重要です。どうしても日本人の中だけに留まっていると、視野も広がりにくいと感じます。英語というコミュニケーションツールを身につけることで、海外のメンバーとも一緒に仕事をしたり、違う考え方をインプットしたりして、自分の能力や可能性を広げられるのではないかと期待しています。
伴さん:今日ここにいるメンバーの展望としては、技能五輪国際大会です。会社だけでなく、日本という国の看板も背負って出場します。今後の国際大会においても培った技能、語学力を活かしていただければと思います。
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加速するグローバル化の中で技術力を伸ばし続けるデンソー。背景には社員の視野と価値観を広げることがキーワードのようです。若手ビジネスパーソンにとってグローバル化は自分のキャリアの可能性を広げるチャンスといえるためTOEIC Programを活用し英語力の強化を図ってみてはいかがでしょうか。