活用事例
龍谷大学

なぜ経済学部で英語が求められるのか
-学部独自にTOEIC® L&R IPテストを実施-

経済学部 経済学部長 小峯 敦氏

浄土真宗の教えを汲む総合大学

本学は1639年に西本願寺の境内に設けられた教育施設「学寮」が始まりです。1922年に大学設置し、進取の気風を伝統として教育体制の充実を図ってきました。建学の精神はそのまま浄土真宗の精神に通じ、「真実を求め、真実に生き、真実を顕かにする」ことのできる人材の育成を目指し、これを実現する心として平等、自立、内省、感謝、平和の5項目で表しています。また、長い歴史を通じて広く社会から寄せられた貴重な資料を多く所蔵し、高度な教育・研究に活用しています。京都・滋賀に3キャンパス10学部1短期大学部を有し、2万名余の学生が在籍しています。

経済学部7つのプログラムと支援制度

経済学部は、1960年に深草キャンパスとともに開設しました。 論理的な分析、多様性の理解、課題の発見と解決という3点の修得が大目標だと考えます。現代経済学科と国際経済学科の2学科に、計7つのプログラム(経済理論・応用政策・産業経済・経済データサイエンス・開発経済・経済史・国際経済)を設置し、理論から応用・実務まで、現代から過去・未来まで、地域・日本から世界までを網羅する科目を用意しています。

なかでも経済データサイエンスは新しい試みで、データ分析の基礎やデータ収集のノウハウを修得しつつ、経済におけるデータ解析の意義を学ぶ機会となっています。これらを幅広く学ぶことができるのが学部の特徴で、近畿圏では珍しく入学時には学科に所属せず2年次前半に選択し、学科選択後でも学科の枠を越えて科目を履修することも可能です。

学部独自で3つの支援制度があります。1つ目は教員と1年生の間に立って支援する、上級生「ピア・サポーター」が配置されています。 学習はもちろん、生活の支えとなりうる制度です。2つ目は国際ビジネスの現場で活躍する人材の育成を目指し、生きた経済に親しむ独自科目です。途上国へのスタディーツアーやグアムでの英語・実地の研修、留学前後に役立つBusiness Englishという専門科目やTOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)の団体特別受験制度(IP:Institutional Program、以下IPテスト)も実施しています。最後に、ことばを通じて世界の社会・文化・歴史を学ぶ3つの言語(「自然英語」、「人工言語」、「会計言語」)を通し、これからの社会に必要な思考を鍛える機会を提供しています。

経済学部独自にTOEIC® L&Rをレベルチェックとキャリア支援として実施

本学経済学部では、グローバル化する経済・社会において、実践的な英語能力を培い、国際ビジネスの現場で活躍できる人材を育成するために、学生たちの英語力の把握と向上を図る機会の一つとしてTOEIC L&R IPテストを実施しています。2011年度に経済学部独自の取り組みとして導入し、受験料全額補助で年2回の実施を継続しています。対象は希望者で、入学時から卒業まで在学中は何度でも受験が可能です。

経済学部で英語が求められる理由

経済学部に英語が必要とされる理由は主に3つあります。 1つ目は、日本における経済学のルーツのひとつが英語圏あるいはヨーロッパにあることから、英語を理解することが経済学を理解するうえで役に立つということです。

経済という言葉自体のルーツとしては、エコノミーと経世済民という2つの系統がありますが、このうちのエコノミーの方は、古代ギリシャまでさかのぼって、オイコス(家計)とノモス(法)からなるオイコノモス(家計の管理・運営)という合成語が語源とされます。その後の経済の発展としても、イギリスの産業革命に代表されるように、同様に英語圏あるいはヨーロッパが中心です。明治時代以降に輸入したエコノミーという系統の経済学を理解しようとするときに、ヨーロッパの考えや発想が学問としてもコンセプトになっていますから、英語の知識があるとつかみやすいというのが私の考えです。

2つ目は、最新のトレンドであるデータサイエンスをキャッチアップするためです。データサイエンスは統計学に加えて、プログラミングが大変役立ちます。プログラミングのコードはほとんどの場合英語ですから、プログラミングを学ぶのに英語を知っていないとハードルが高いように感じます。

3つ目は、多様な視点を知るのに英語が役に立つということです。多様な視点や多様性の理解というものは現在、経済学で掲げられる目標の一つでもありますが、日本語の言語空間だけに留まらない全く違う視点や情報を得るのに、英語を知っている人であれば、第一義的に知ることができます。 また現在、所属する組織問わず国際的な感覚が必須です。原油価格もそうですが経済の問題は海外に依存しますし、ローカルな事業であっても需要を海外に見出していくという道筋もあるでしょう。

今はAI翻訳があるから英語は必要ではないという議論もありますが、翻訳の正確性を担保するために、不適切な機械翻訳を見抜く英語力や文化的な常識、倫理観といった総合力も持ち合わせておかなければなりません。つまり言葉だけでなく英語圏の考え方を理解することが求められるのです。学生たちには、これらを自らの経済的な基盤を確立するための第一歩と捉えてもらいたいです。

なぜTOEIC® L&Rなのか

TOEIC L&Rの経済学部での導入当時、私は教務主任として導入する試験選定の議論に加わりました。TOEIC L&Rを選んだ理由を振り返ると、非常にポピュラーな資格であるというのが絶対に外せません。広くビジネス界においては指標として活用されていますし、留学するにしてもTOEIC L&Rは汎用性があります。

IPテストによる受験のしやすさもメリットに感じました。試験日や場所を学部独自で設定することができ、試験官業務(有料サービス)を利用することで、経済学部単体であっても手軽に団体受験を実施できます。この他、TOEIC L&Rはしっかりと標準化されたスコアが出ますから、自らの力を経年比較で正確に測ることができます。こうした特性が学生たちの学習意欲の喚起や活性化を図るうえでも有効だと考えました。

経済学部の目指すところとして、コミュニケーション能力を駆使して世界の人々と協力しながら問題解決を図ることができる人材の育成というものがあり、その中で企業でのデファクトスタンダードであるTOEIC Programを本学部内で学生が受験できることは非常に有効と言えます。

受験にはオリエンテーション参加が必須

TOEIC L&R IPテストの導入時から盛り込んだ工夫として、受験を希望する学生にはオリエンテーション参加を必須としています。このオリエンテーションは、受験募集期間前の昼休みを利用して経済学部の英語担当教員が実施しているもので、TOEIC L&Rのテスト概要、その意義、英語の必要性、効果的な学習方法について周知を図ります。

具体的には、国際的な場面で英語を用いて意思疎通できるかどうかという実践的な英語力を測るものであること、合否ではなく10点から990点のスコアで評価されることから始まり、リーディングとリスニング各100問の問題形式についてもサンプル問題に触れながら確認を促します。

こうした基本概要に加え、学生たちが自分事として捉えられるように、英語力の正確な測定が可能である点や、自身のキャリア形成を有利にするといった受験の意義も伝え、特に就職活動での効果は絶大である点も強調しています。

成績優秀者を表彰し、他学生のモチベーション向上

入口でこうしたオリエンテーションを実施しているのに加え、出口のところでは学部長奨励賞を設け、成績優秀者を教授会などで表彰しています。本奨励賞の対象となる英語資格は、TOEIC L&Rのみで、表彰の基準は730点です。一度表彰を受けた人でも再度受験し、基準スコアを越えた場合は表彰対象としており、何度でもチャレンジしてもらえるようにしています。

表彰者は、英語に関する他の研修などさまざまな機会にも登壇してもらうことがあります。これまでに、他の学生たちの英語学習に対する意欲向上を図るため、30、40名ほどの学生たちを前に、高スコア獲得のコツや、英語学習に対するモチベーションを保つ秘訣などをスピーチしてもらったこともありました。

他学部への波及

経済学部独自で導入したTOEIC L&R IPテストの取り組みが好事例として他学部からも評価され、導入が進んでいます。現在、政策学部、農学部、先端理工学部へ波及しており、いずれも経済学部と同様にオリエンテーションの実施と学部長奨励賞の顕彰を行っています。

こうして本学の中でTOEIC L&R導入が広まることは、高校生や保護者に対して大学選びに際しての良いアピールとなっており、今後も歓迎していきたいと考えています。

(2023年8月取材)

(テスト名称を含め掲載情報は取材当時のものです)

「テストの種類」「実施方法」「実施時の注意事項」など、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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