TOEIC Testsを活用してキャリアを切り拓き、“伝える力”を磨く

IIBC AWARD OF EXCELLENCE※を受賞された方にお話を伺うインタビューシリーズ。今回は、「伝える力」としての英語の価値に気付いたことをきっかけに自主学習を始め、TOEIC L&Rで800点台を突破、TOEIC S&Wでも着実にスコアを伸ばし実践力を培ってきた川邉峻さんです。現在は海外営業として、輸出入業務や取引先との交渉、出張先での打ち合わせまで、日常的に英語を活用しながら活躍されています。

※TOEIC TestsはTOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)、TOEIC Speaking & Writing Tests(TOEIC S&W)の総称です。
※IIBC AWARD OF EXCELLENCE(IIBC AWARD)は、毎年1月~12月までに英語で「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を測定するTOEIC L&R・TOEIC S&W・TOEIC Speakingで基準のスコアを取得した方を表彰する制度です。

川邉 峻さん

川邉 峻さん/サンワ産業株式会社
2024年IIBC AWARD OF EXCELLENCE受賞者

苦手だった英語が、実務で使えるスキルへと変わるまで

英語学習を始めたきっかけを教えてください。

中学・高校時代、英語は得意科目とは言えず、文法の細かいルールに苦手意識がありました。大学入学後も、しばらくは自主的に英語学習に取り組むことはありませんでした。ただ、趣味の分野の情報を翻訳しながら読むことで、自然と英語に触れていました。

TOEIC Testsとの出会いについて教えてください。

TOEIC L&Rの初受験は大学入学時。スコアは600点くらいで、試験の終盤には集中力が切れていました。2回目は大学2年生時で、短期の海外留学から帰国後に「力試し」として臨み、スコアは700点台前半でした。

留学では初めてネイティブの方々と会話し、「思ったより通じる」「苦手に思う必要はないのかも」と実感しました。細かい文法ではなく伝わることが評価された実体験から、英語への抵抗感が自然となくなっていきました。

そのため、帰国後には英語コミュニケーション授業の上級編を履修。出席している学生はほぼ私一人だったため、先生を“独占”する形で集中的に取り組むことができ、伝える力の向上につながりました。


社会人になってからのTOEIC Testsとの関わりは?

社会人経験を積み、転職を考え始めた際、「キャリアアップの材料にできるのでは」と思い、7~8年ぶりに3回目のTOEIC L&Rに挑戦しました。

このときのスコアは800点を超え、英語を活かせる職に就くことができました。入社試験では英語ニュースの翻訳課題が出されましたが、一定のスコアを取得していた自信もあり、緊張せずに取り組むことができました。

現在は製造業で使われる加工設備や、自動車部品の販売・輸出入に関わっています。英語を用いたやり取りも日常的で、納期や仕様確認など急ぎの連絡が必要な場合は電話で、重要な案件に関しては年に数回、海外へ出張し現地での打ち合わせに参加することもあります。

 

TOEIC L&Rでは語彙力の穴を埋めるために単語力を強化

転職に向けたTOEIC L&Rの受験では、英語学習にどのように取り組まれてきましたか?

携帯型ゲーム機のTOEIC L&R対応ゲームを使ったり、学生時代のテキストを引っ張り出して読み返したりしました。文法書などもさらっと目を通しましたが、あまり面白くないというのが素直な感想でした。その中でも興味をもって取り組めたのが簡単な英語を瞬時に声に出して作るという内容の教材で、和文を英文に素早く訳す訓練を行い、自分の表現と模範解答を比較しながらニュアンスの違いを楽しむなど、自然と学習が継続できるよう工夫しました。

特に効果を感じた学習法はありますか?

語彙力に課題を感じていたため、単語帳を活用して重点的に強化を図りました。弱点が直接補われていく実感があり、当時の私にとって最も効果的な学習法だったと感じています。

TOEIC Testsの好きなところは?

TOEIC Testsは実施回数が多く、自分のタイミングで受験できる点が魅力で、学習の継続にも役立っています。さらに、出題される内容は実際のビジネスシーンに近く、実務に活かせる語彙や表現の学習に集中できる点が、TOEIC Testsの実用性と学習効率につながっていると思います。

私はTOEIC Testsのスコアが自分の実力としっかりリンクしていると感じていて、学習成果を客観的に確認できる指標として信頼しています。パート別正答率などももらえるので、次に何を伸ばせばいいかがわかりやすく、いつも参考にしています。

こうしたTOEIC Testsの特長は、社内の後輩にも伝えています。特に海外駐在などを目指している人にとっては、継続的に受験することが強みになると思います。

 

TOEIC S&Wへの挑戦と学習、そして成果

TOEIC S&Wを目指したきっかけは?

TOEIC L&Rの試験会場で配布されていたIIBC AWARDのパンフレットがきっかけでした。TOEIC公式YouTubeチャンネルの動画で他の受験者のインタビューを見たとき、「少し努力すれば手が届くかもしれない」と感じたことに加え、業務でも英語での発話力が求められる場面が増えていたためです。出張先でのプレゼンや打ち合わせは事前に準備ができるため落ち着いて対応できるようになってきましたが、打ち合わせの合間や会食時の雑談では即興性が求められ、言葉が出ずにもどかしさを感じることがありました。

TOEIC L&Rの学習ではインプット中心になりがちで、リアルタイムのアウトプット力が十分に鍛えられていなかったことから、即興的なコミュニケーション力の重要性を実感しました。そこから、TOEIC S&Wを通じて、実用的な表現力の強化に取り組むことにしました。

初受験に向けた学習方法や心境は?

初回は完全に「力試し」のつもりだったので、公式サイトのサンプル問題をざっと確認したくらいで、特別な対策はせずに臨みました。実際のテストでは教育や健康といった日常的なテーマに関する語彙に不慣れだったため、自分の考えを話そうとしても言葉が詰まってしまい、語彙力の偏りを痛感しました。結果的に業務で使う専門的な語彙力はあっても雑談が苦手ということを改めて痛感させられました。

結果を受け止めることで、自分の英語力を客観的に見直しました。試験後にスコアと一緒に送られる講評を読んで、早口や途切れがちな話し方を改善し、業務でも落ち着いてゆっくり話すことで伝わりやすくなっていることを実感しました。

初受験後はどのように学習を進めましたか?

以下3つのアプローチを行いました。

1. 頻出表現・接続詞などの暗記
試験特性に合わせてテンプレート的な表現を覚えました。

2.  TOEIC L&R スコア500〜600点向けの単語帳を用いた音声学習
日常会話で使う語彙をきちんと使いこなせるようになることが大事だと痛感したため、「知っている単語」を「使える単語」にすることを目指しました。そのため、現在のスコアより少し平易なTOEIC L&Rスコア500〜600点を目指す人向けの単語帳を繰り返して、語彙力を強化しました。

具体的には、英単語の音声教材アプリで、例文をリピーティング、慣れてきたら日本語を聞いた瞬間に英語を口にする訓練を行いました。TOEIC S&Wの学習を通じて、語彙力を実用レベルに引き上げられたという手応えを感じています。

3. TOEIC S&W公式問題集の分析と模範解答の確認
公式問題集の模範解答を見ることで、評価のポイントをつかみました。受験英語とは違って「間違いがない英語」よりも「伝達力」を重視しているということが理解でき、英語学習に対する大きな収穫となりました。

また、ライティングでは業務上の英語のメール対応で、見慣れない表現に出会ったら都度調べて、自分の語彙や表現力を磨いています。さらに、ネイティブの人が実際に使ってきたフレーズなら「間違いないだろう」と、それを借用してみたり、AIに自分の英文を添削してもらったりして、実務に活きる英語力の向上を図っています。

こうした積み重ねによって、自分でも以前より「海外の相手から来るメールの雰囲気に近い文章が書けるようになった」と感じられるようになってきました。

英語学習への意識の変化はありましたか?

TOEIC S&Wを通じて、「難しい構文を正確に使う」ことよりも「簡潔で誤解のない表現」が重要であると再認識しました。業務でも、相手が非ネイティブの方だと難しい構文のメールは「よくわからない」と返されることがあったため、できるだけ平易な表現で確実に伝えることを優先しています。

ただし、“伝わればそれでよい”という考え方に甘えず、TPOに合った丁寧な表現や語彙選びには引き続き注意しています。難解な表現に頼るのではなく、これからもシンプルだけど洗練された言い回しに磨きをかけていきたいです。

 

IIBC AWARD OF EXCELLENCE受賞はスコア以上の価値を証明する英語力の“保証書”

受賞したときのお気持ちは?

率直にとても嬉しかったです。英語力は日々の業務で使えれば十分と思っていましたが、自分の英語力に“お墨付き”をもらえたような感覚があり、自信も高まりました。加えて、大人になってから何か目標に向かって取り組むことが少なくなっていた中で、「自分で立てた目標をきちんと達成できた」ことへの純粋な喜びがありました。

受賞によるメリットは感じますか?

「客観的な評価に裏打ちされた英語力」として、周囲に伝えやすくなる場面は多々あると思います。例えば、取引先から英語勉強会の講師をやってもらえないかといった相談を受けたことがあり、英語力に対する信頼感につながっていると感じます。

また、取引先との会話で、上司が私のTOEIC L&Rスコアを先方に伝えても、あまり業務上の信頼感に直結していない雰囲気を感じたことがあります。ところが、IIBC AWARDの受賞を添えたところ、「それはすごいですね」といった反応に変わり、英語力の質や背景をより具体的に理解してもらいやすくなったと感じています。

IIBC AWARD受賞はキャリアに有効だと思いますか?

はい、非常にそう思います。今は英文メールのやり取り程度なら生成AIでも精度の高い文章が作れてしまいますが、ハルシネーションが発生しうる生成物に対して、それが正しいかどうか、自分が伝えたいニュアンスが反映されているかどうか、自ら判断する能力として4技能を鍛える必要があることは変わっていないと思います。だからこそ、それを“客観的な形で証明できるIIBC AWARD”の価値は、今後ますます高まると思っています。

また、自身が採用に関与する立場であるならば、IIBC AWARD受賞者は優先的に評価すると言い切れます。逆に、TOEIC L&Rが高スコアでもTOEIC S&Wを受験されていない場合、当社業務に関して言えば「業務上の英語でのコミュニケーション能力について念のため確認」することは欠かせないと思います。
※ハルシネーション:生成AIが事実に基づかない情報を、あたかも正確であるかのようにもっともらしく生成してしまう現象。

 

英語学習の原動力はモチベーションに頼らない“日常化”

英語学習のモチベーションが下がった時期はありましたか?

仕事が忙しかったり、体調が優れなかったりして、学習が思うように続けられないこともありましたが、幸いにしてこれまで、伸び悩みから来るような停滞感はありませんでした。

生成AIの登場で「英語を学ぶ意味が薄れるのでは」と思ったこともありますが、AI技術を実際に活用する過程で、“英語はAIと共存できるスキル”と理解できたため学習意欲は保たれました。

モチベーション維持の秘訣は?

特にありません。むしろ“モチベーションありき”で学習を組み立てないことを意識しています。やる気がある日だけ勉強して、ない日は手が止まってしまう。その不安定さが継続を阻むと思うからです。

私にとってモチベーションはあくまで“スタートのための力”。学習そのものを動かす推進力はモチベ―ションではなく習慣化だと思っています。自分では「ほとんど勉強していない」と思っていても、家族から「あなたはいつも勉強している」と言われ、習慣化されていたことに気付かされました。勉強が日常になっている状態を理想としているのかもしれません。

 

スピーキング学習がリスニング力を変えた——学習の相乗効果

TOEIC S&Wの学習が具体的に業務に役立ったエピソードはありますか?

発信力への自信がつきました。実務においても、表情が見えない電話越しの英語対応への心理的ハードルが大きく下がったことが大きな成果です。

スピーキングとライティングの力を磨くことは、自分がビジネスパーソンとして活躍する幅を広げるのにも役立っています。特に、事前の準備が難しい会食での雑談や、取引先からの急な相談など、ラフなコミュニケーションがスムーズだと取引先との信頼を築きやすいと感じます。

スピーキングとライティングの力を磨くことは、自分がビジネスパーソンとして活躍する幅を広げるのに役立っています。特に、事前の準備が難しい会食での雑談や、取引先からの急な相談など、ラフなコミュニケーションがスムーズだと信頼を築きやすいと感じます。

また今思えば、TOEIC L&Rで700点を超えた頃から、TOEIC S&Wの学習も並行していれば、リスニングとスピーキングが相互に補完し合い、より効果的な学習につながったのではと感じています。特にスピーキングの練習がリンキング(音のつながり)による聞き取りづらさの克服に直結し、リスニング力にも好影響がありました。

 

「目標TOEIC L&R スコア900点」は他にはない価値を生み出すための通過点

今後の目標や展望についてお聞かせください。

自分にしかできない役割や仕事に挑戦したいと思っています。そのためには、専門性を磨くことが不可欠だと考え、日々幅広い分野の学びに力を入れています。現在はAI分野の学習に加えて、3つ目の言語としてベトナム語の学習を始めました。

一つの分野で圧倒的なトップになるのは難しいですが、複数の分野にまたがるスキルを組み合わせることで独自の価値を生み出せると考えています。幅広い学びを通じて、他の人にはない強みを築いていきたいです。

英語力に関しては、海外取引先との会話で、自然で流暢な英語表現ができるようになることが、今後の大きな目標です。取引先には東南アジアの企業が多く、先方担当者様もほとんどが非ネイティブであることから、相手に合った伝わる英語の使い分けを目指しています。感覚的にですが、TOEIC L&Rで900点が目安になるかなと感じています。

何かに秀でていて、そのうえで英語“も”できる──そんな人こそが、社会の中で魅力的で信頼される人材になると、私は信じています。仕事やキャリアを意識するならば、英語を使って“何をするか”がより重要になると思うので、そういう視点で幅広い学習に取り組むことが、結果として大きな力になると思います。

 

シンプルに、確実に──伝わる英語力が実務での武器になる

これからIIBC AWARD受賞を目指す方や、英語学習に力を入れようとしている方々へのメッセージをお願いします。

私が業務で英語を使用する場面では、取引先の半数以上が非ネイティブスピーカーです。コミュニケーションの目的は「相手に伝えること」であり、そのためにはシンプルで誤解のない表現こそが最も重要なのだと、日々の業務を通じて実感するようになりました。人それぞれではありますが、“ネイティブらしさ”を追求しすぎると、かえって意思疎通を難しくする場合もあると感じています。

また、TOEIC L&Rで高スコアを取れても、発話力が不十分では会議などの場での貢献度に限界があると感じています。だからこそ、TOEIC S&Wを英語の“実践力”を支える重要な柱として取り組み、ぜひIIBC AWARD受賞を目指してほしいと思います。

TOEIC S&Wの学習は、限られた時間の中で考えを組み立てて伝える訓練になるため、思考力と表現力が自然に鍛えられます。また、英語に限らず、身近な物事に対して自分なりの視点を持つ習慣も育まれます。さらに、リスニング・リーディング力の底上げにもつながります。4技能のバランスが整うことで、一方通行だったコミュニケーションが対話として成立し、実践的な英語力を実感できるようになるはずです。

最近ではAIとの英会話など多様な学習手段も登場し、TOEIC S&Wに向けた学習環境も広がっています。私のようにいきなり受験をしてもいいと思いますが、はじめの一歩として基本が凝縮された公式教材を手に取ってみることもおすすめです。シンプルでも確実に伝えられる英語力を目指して、楽しみながら挑戦してみてください。

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