Why TOEIC® Speaking & Writing Tests?
英語で「話す」「書く」力を測るTOEIC S&W。デビューはまだ早いと感じていませんか?
TOEIC L&Rと併せて学ぶことのメリットや効果について、IIBC調査研究課の職員が解説します。
※TOEIC L&R:TOEIC Listening & Reading Test、TOEIC S&W:TOEIC Speaking & Writing Tests
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英語で「話す」「書く」学習に取り組むメリットは?
「聞く」「読む」学習と並行すると、英語学習の効果が高まり、習得のスピードも上がる可能性があります。

プロフィール
一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)
マーケティング部 調査研究課
小松 玲子
アウトリーチのスペシャリスト。言語教育・テスティング分野の調査報告レポートやアウトリーチ記事の執筆に携わる。英語学習者向けの教材開発にも従事。
1.「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能はつながっている
英語で「話す」「書く」力を身に付ければ国内外で活躍の場が広がり、キャリアにおけるメリットがあることは、多くの方がイメージできると思います。では、英語で「話す」「書く」を学ぶこと自体には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
それは、TOEIC L&Rで培った「聞く」「読む」力を土台に、「話す」「書く」の学習を進めると英語学習の効果が高まり、それぞれの習得のスピードも上がる可能性があるということです。なぜそのような効果が期待できるのでしょうか。その理由を知るために、まずは「聞く」「読む」「話す」「書く」という4技能とは何か、そして「4技能の相互補完性」という考え方について、少し専門的な視点からご紹介します。
英語学習に関する学問の中で、第二言語習得論や、言語能力を測定・評価する方法を研究する「言語テスティング」という分野があります。これらの分野では一般的に、第二言語能力は“分けることのできない一つの能力”ではなく、相互に関連する知識や技能が集まった“集合体”として捉えられています。その“集合体”を構成する重要な柱が、「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能です。これらは、実際の生活やビジネスで活用できる総合的な英語コミュニケーション能力の基本と考えられています(図1)。
(図1)「総合的な英語コミュニケーション能力」のイメージ
〈参考文献(Norris et al., 2024)よりIIBC作成〉
4技能はそれぞれ異なる技能ですが、互いに密接につながっています。「聞く」「読む」は情報を受け取る受信力(インプット)、「話す」「書く」は情報を伝える発信力(アウトプット)です。また、「聞く」「話す」はいずれも話し言葉、「読む」「書く」はいずれも書き言葉です。さらに、4技能は共通の基礎力を土台としています(図1の下部参照)。
「基礎力」とは具体的には、語彙・文法・発音に加え、文章や会話の構成を理解したり、筋道立てて構成したりする力(ディスコース能力)や、相手の意図をくんだり、場面に応じて言葉を使い分けたりする力(プラグマティック能力)などです。つまり、4技能は相互につながりながら、同じ土台の上で走っていると言えます。そのため、一つの技能で身に付けた力が、他の技能にも生かされる関係にあります。
このような特性を「4技能の相互補完性」といいます。例えば、「話す」ために発音を練習すると、その経験が「聞く」力の向上につながることがあります。具体的には、学習者は「話す」力を伸ばすために、英語の細かな音声変化やイントネーションに注意深く耳を傾けて特徴を捉え、再現できるようになろうと発話練習を重ねます。そのプロセス自体に、精度高く「聞く」練習が含まれているのです。さらに、相手に伝わらなかった際には、自らの発話内容だけでなく、発話音声についても振り返ることになります。
こうしたプロセスが、これまで意味の理解に集中していた「聞き方」を1歩・2歩と前進させ、あいまいになっていた音声や捉えきれなかった細部への注意を促し、「聞き取る」力の底上げにつながっていきます。こうして、一つの技能の学習が、別の技能にもプラスの効果をもたらします。
つまり、4技能の相互補完性を生かして学習することで、「聞く」「読む」「書く」「話す」がそれぞれに寄与し合い、学習の“複利効果”を生むのです。そして、土台となる言語知識や基礎スキルもより確実に定着していきます。こうした4技能習得の“複利効果のループ”が形成できれば、総合的な英語コミュニケーション能力の習得スピードが加速していくでしょう。
2.実際の英語コミュニケーションと地続きの4技能学習

では、実際の英語コミュニケーションでは、4技能はそれぞれどのように使われているのでしょうか。実は、一つの技能だけを使い続ける場面はほとんどありません。私たちは目的や状況に応じて、「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を自然に組み合わせながら、コミュニケーションを行っています。
例えば、英語で行われる会議では、事前に送られた資料やメールを「読み」、会議が始まれば参加者の発言を「聞いて」内容を理解します。その内容を踏まえて自分の意見を「話し」、重要な情報をメモに「書く」。会議後には議事録を確認したり、決定事項をメールで共有したりします。あるいは、海外顧客に向けたプレゼンテーションでも同様です。事前に発表スライドを作成し、口頭で発表し、参加者からの質問を聞き取り、回答します。長めの質問がチャットに飛んでくれば、速読も必要です。
このように、実際の仕事では「リーディングの時間」「スピーキングの時間」と技能が明確に分かれておらず、複数の技能を組み合わせながら、必要な情報を受け取り、自分の意図を相手に伝えています。
もちろん、講演を聞くことや資料を読み込むことが中心となる場面もあります。しかし、多くのビジネスシーンでは、4技能を組み合わせながらコミュニケーションを図っています。そのため、実際に求められるのは、それらを状況に応じて組み合わせて活用する能力です。だからこそ、4技能を並行して学習することは、実践的な英語コミュニケーション能力を養うことにつながると考えられます。
3.TOEIC® Testsが、学習の質とモチベーションを高める
※TOEIC Tests:TOEIC L&RとTOEIC S&Wの総称
ここまで、「話す」「書く」力、そして4技能を並行して学ぶ意義について見てきましたが、それらの学習効果を高めるために活用したいのが、4技能を個別に測ることができるTOEIC Testsです。
実は、4技能は互いに密接につながってはいるものの、その相関性は完全ではなく、中程度であるとの見方が、いくつかのリサーチで示唆されています。つまり、「聞く力が高ければ、話す力も同じように高い」とは限らないのです。
例えば、相手の話やメール文を理解できても、自分の言葉としてすぐに話したり書いたりすることができない場合もあります。「知っている単語なのに、とっさに出てこない」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。これはその語彙が「受信」のモードではアクティブであるものの、「発信」のモードではまだアクティブでない状態を表しています。言い換えれば、「語彙力の全体像」の中で、ある部分が未開拓である(ここでは「発信」)、という状態です。
では、学習者自らが、自分の英語力のどういった部分が“未開拓”なのかを知るためには、どうしたら良いのでしょう。まず必要なのが、4技能を測定し、それぞれの技能の状態を詳細に把握することです。例えば、TOEIC Testsの4技能を全て受験したAさんという方が、「語彙」に着目しながら、自分のスコアと、「4技能のスコアレンジ別評価(図2)」とを見比べた場合を想定してみましょう。Aさんとしては、「語彙を使う力には課題がある(スピーキング・ライティング)が、語彙知識そのものは備わっている(リスニング・リーディング)」といった解釈をすることができます。

(図2)4技能のスコアレンジ別評価に基づいた課題把握の例
〈以下出典よりIIBC作成〉
(出典)TOEIC Listening & Reading Test・TOEIC Speaking & Writing Testsスコアレンジ別評価一覧表
https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/guide04/guide04_02/score_descriptor.html
https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/guide04/score01/descriptor.html
つまり、Aさんのケースでは、語彙力の課題(発信練習が足りない)が可視化されたわけです。こうした気付きを得たAさんは、語彙の発信練習に取り組む中で、語彙を“使える”状態にするには、語彙だけでなく、構文を組み立てる力や、相手の意図をくんだ言葉選びなどの必要性にも気付いていくはずです。こうして言語使用の多様な側面を踏まえた学習へと意識が向かっていきます。
いかがでしょうか?Aさんのケースのように、まずは4技能それぞれの状態を詳細に把握し、その上で自分の英語力の全体像を俯瞰する。これにより、自分の強みや課題を具体的に把握することができ、それが学習の質を高めてくれます。小さな成長も実感しやすくなるため、継続的な学習へのモチベーション維持にもつながるでしょう。
4.英語力を伸ばしたいビジネスパーソンへ
最後にお伝えしたいことがあります。それは、ここまでのお話と矛盾して聞こえるかもしれませんが、英語学習に唯一の「正解」はないということです。英語を「聞く」「読む」学習に特化して英語力を伸ばすこともできますし、「話す」「書く」を含めた4技能をバランスよく伸ばすという選択肢もあります。大切なのは、「自分は英語を、どのような場面で、何のために使いたいのか」を明確にすることです。
例えば、「海外との会議で自分の意見を伝えたい」「英語でメールを書けるようになりたい」「海外出張や留学で困らない英語力を身に付けたい」など、目指す姿によって、優先して取り組むべき技能は変わってきます。
そのうえで、どのような学習法を選ぶ場合でも、語彙や文法、発音などの共通する言語知識や基礎スキルが土台となります。また、実際の英語コミュニケーションでは、「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を組み合わせて使う場面が少なくないことは、ここまで見てきた通りです。
「話す」「書く」を含めた4技能を相互に関連付けて学ぶことは、「聞く」「読む」で培った力を生かしながら、英語学習をより効果的かつ効率的に進めるための一つのアプローチです。英語を実際に使う場面を見据え、より実践的な英語コミュニケーション能力を身に付けたいと考える方は、「話す」「書く」の学習も取り入れてみてはいかがでしょうか。
(参考文献)
Norris, J. M., Schmidgall, J., Oh, S., Cid, J., Tannenbaum, R. J., Yu, F., & Komatsu, R. (2024). Quality perspectives of the TOEIC® Program. The Institute for International Business Communication.
Liao, C.-W., Qu, Y., & Morgan, R. (2010). The Relationships of test scores measured by the TOEIC® Listening and Reading Test and TOEIC® Speaking and Writing Tests. TOEIC® Compendium (1st ed., pp. 13.1-13.15). ETS.
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