英語が話せるようになるには?インプットとアウトプット、そしてインテイクが重要!

公開日:2026年9月30日

英語が話せるようになる3つのカギ インプット・インテイク・アウトプットとは

「読むことも聞くこともある程度できるのに、いざ話そうとすると言葉が出てこない」。英語学習を続けている社会人の方から、最も多く聞かれる悩みの一つです。英語が話せるようになるためのアプローチは様々ですが、その一つとして、具体的な目標を設定した上で、インプット(聞く・読む)とアウトプット(話す・書く)をバランスよく重ね、その間に「インテイク(取り込む)」の段階を挟むという考え方があります。

この記事では、第二言語習得研究の知見と、TOEIC Tests※の受験者データから見えてきた「受信力」と「発信力」の関係をもとに、英語が話せるようになるための道筋を解説します。併せて、英語教育を専門とする文教大学の阿野幸一先生からのアドバイスも紹介します。

※TOEIC Testsとは、TOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)、TOEIC Speaking & Writing Tests(以下、TOEIC S&W)の総称です。公開テストでは、TOEIC Speaking Test(以下、TOEIC Speaking)のみの受験も可能です。

この記事でわかること

  • 英語が話せるようになるには、適切な目標設定とインプット・アウトプットをバランスよく行うことが大切
  • インプット、インテイク、アウトプットに繰り返し取り組むことで成長を早められる
  • アウトプットはゴールとなる「人との会話」のために、「ひとり言」や「AI英会話」を組み合わせると取り組みやすい
阿野幸一先生_maru

プロフィール
監修:阿野 幸一 先生

文教大学国際学部国際理解学科教授、同大学院国際学研究科教授。専門は英語教育、応用言語学。2025年度ケースウェスタンリザーブ大学客員研究員。

NHKラジオ講座『基礎英語3』(2008-2012年度)、『基礎英語2』(2013-2015年度)講師、NHKテレビ高校講座『英語コミュニケーションⅠ』(2017年度-)英語監修・講師、TOKYO FM『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』[誰かに話したくなる英会話。](2020年-)出演。著書に、文部科学省中学校検定教科書『NEW HORIZON English Course 1,2,3』(編集代表、東京書籍)、『フェイバリット英和辞典 第4版』(編集委員、東京書籍)、『英語が聞ける!話せる!単語力・文法力が身につく!6ステップ音読』(共著、NHK出版)など多数。

英語が話せるようになるために必要なこと

英語を「話せる」状態に近づくために、まず押さえておきたいことが二つあります。一つは目標を設定すること、もう一つはインプットとアウトプットの関係を理解することです。この二つが曖昧なままでは、学習量を増やしても手応えを得にくくなってしまいます。

目標を設定する

「英語が話せるようになりたい」という願いは、そのままでは学習計画に落とし込めません。ゴールが曖昧だとモチベーションが続かず、選ぶべき教材や学習法も定まらないためです。まずは「海外旅行先で困らない日常会話ができる」「社内会議で自分の意見を英語で述べられる」「海外の取引先と交渉ができる」など、自分がどのレベルを目指すのかを具体化することが第一歩になります。

また、英語学習では成果が出るまでに時間がかかります。だからこそ、最終ゴールだけでなく、途中で達成感を得られる中間目標を置いておくことが、学習を続ける上で重要になります。

インプットとアウトプットの関係を理解する

英語が話せるようになるプロセスを考える上で、英語を理解する力と、英語を発信する力の関係を理解することがとても重要です。当協会では、この関係を実際の受験者データから分析しました。

TOEIC L&RスコアとTOEIC Speakingスコアの関連性について

分析の対象としたのは、TOEIC L&RとTOEIC S&W(またはTOEIC Speaking Test)を半年以内に両方受験した8,460名に絞ったデータです。グラフは、縦軸がTOEIC Speakingのスコア、横軸がTOEIC L&Rのスコアになっています。

結果は明確な右肩上がりで、相関係数は約0.78。統計的に「強い正の相関」があるといえる数値でした。つまり、受信力が高い人ほど、発信力も高い傾向があるということです。同じ「英語力」の一部である以上、当然といえば当然の結果ですが、データとして裏づけられた点に意味があります。なお、TOEIC Writingについても同様の傾向が確認されています。

ただし、ここで注目したいのはスコアの「ばらつき」です。例えば、TOEIC L&Rスコアが同じ600点であっても、中にはTOEIC Speakingスコアが150点前後の人もいれば、50点前後にとどまる人もいるなど、その差は100点近く開くことがあります。「TOEICのスコアが高くても話せない」と言われることがあるのは、このばらつきが関係していると考えられます。

このばらつきに関連がありそうな要素として、受験時のアンケート項目「日常生活の上で英語を使用する割合はどのくらいですか?」(なし/1%〜10%/11%〜20%/21%〜50%/51%〜100%の5択)に着目。あまり英語を使わない層(10%以下、n=5,600)と、頻繁に使う層(51%以上、n=211)を比較したところ、使用頻度が高い層のほうがTOEIC Speakingの平均点が高いという結果が得られました。

つまり同じ受信力であれば、英語の使用頻度が高いほうが、発信力が高い傾向があるといえます。そのため、受信力を伸ばしながらアウトプットの練習を重ねることが、遠回りに見えて確実な道筋だといえるでしょう。

※2024年度にTOEIC L&Rを受験し、その前後半年以内にTOEIC S&W(またはTOEIC Speaking)も受験した8,460名のデータ(いずれも団体特別受験制度)。英語使用頻度別の比較はサンプル数が異なるため、あくまで参考値としてご覧ください。

point

阿野先生からのアドバイス

コップに水を注ぎ続けると、あるとき溢れ出します。この溢れた分がアウトプットであり、水を溜めなければこぼれることはありません。小さな子どもも、生まれた瞬間から話せるわけではなく、親の言葉をずっと聞いて溜まったものが、ある時期になって言葉として出てきます。

第二言語習得研究の世界でも、インプットが大切ではないという研究者はまずいません。「聞く・読む」という行為は、「話す・書く」ための絶対的な前提条件なのです。

「話せるようになる」の基準を知る

「どのくらいできれば話せると言えるのか」の基準については、一般社団法人大学英語教育学会(JACET)と当協会が共同で調査研究(「2022年調査」) を実施した結果が一つの参考になります。

この共同研究は、「ビジネスにおける英語コミュニケーション上の問題点と、国際的な業務に携わるビジネスパーソンとしての成長要因を解明する」ことを目的としたもので、国際的業務に携わり、業務で英語を使用している2,686名へのアンケート調査と、15名へのインタビュー調査から構成されています。調査の結果、英語を使って業務を行うビジネスパーソンは、ある一定のレベルで共通して英語業務に困難を感じていることが判明しました。

その「壁」が現れるのは、ジュニア層(一般社員・係長)とシニア層(課長・部長)の間でした。背景にあるのは、担当する英語での業務内容の違いです。

 

【担当する業務】
ジュニア層(一般社員・係長) シニア層(課長・部長)
  • 特定業務の伝達や確認が中心
  • 事前に準備できる場面が多い
  • 部署や会社をまたいだ交渉や関係構築が増える
  • 事前準備だけでは対応できない場面が増える
ジュニア層(一般社員・係長)
  • 特定業務の伝達や確認が中心
  • 事前に準備できる場面が多い
シニア層(課長・部長)
  • 部署や会社をまたいだ交渉や関係構築が増える
  • 事前準備だけでは対応できない場面が増える

つまりここでいう困難とは、単に「英語で話せない」ということではありません。あらかじめ内容を準備できる場面は乗り切れても、事前準備が効かない場面になると対応できなくなる、という質の違いです。例えば、原稿を用意したプレゼンテーションや、想定していた範囲の簡単な質疑応答であれば問題なくこなせる。しかし、その場で飛んでくる想定外の質問への対応や、複数の関係者が入り交じる議論、条件を詰めていく交渉になると、途端に言葉に詰まってしまう。こうした場面で求められる力を十分に発揮できないことが、シニア層以降の壁になっているということです。

では、その壁はどのくらいの英語力の水準にあるのでしょうか。共同研究では、この困難を感じるレベルの境目が、CEFRでいうB1とB2の間にあることが示されました。

CEFR(Common European Framework of Reference for Languages/ヨーロッパ言語共通参照枠)とは、外国語学習者の習熟度をA1〜C2の6段階で示す国際的なガイドラインです。

B1:日常的・職業的な場面で基本的なやり取りができる
B2:専門的な話題も理解でき、まとまった内容を自分の言葉で組み立てられる

事前準備の効かない交渉や議論に対応できるかどうかの分かれ目が、ちょうどこのB1とB2の間にあるのです。

CEFR B1からB2に達するときに越えなければいけない壁

≪参考文献≫
内藤 永, 寺内 一 (監修), 山中 司, 石川 希美, マスワナ 紗矢子 (編), 一般社団法人大学英語教育学会産学連携事業成果出版特別委員会, 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 (著): 『ビジネスコミュニケーションのための英語力 英語の壁を打ち破ったビジネスパーソンの成長要因』, 東京都, 朝日出版社, 2024, pp.27–87.

Hajime Terauchi and Hisashi Naito (Authors): “Re-envisioning Language Education for Communication: Insights from the Japanese Business Sector,” Akira Tajino (Ed.): English Language Teaching: Current Issues and Future Prospects I: Voices of Practitioner Researchers in Japan, Singapore, Springer Nature Singapore, 2026, pp. 21–34.

 

当協会が公開しているCEFRとTOEIC Testsの各テストスコアとの対照表において、上記の共同研究で一つの目安として示されたB2レベルは、以下のスコア帯に相当します。

  1. TOEIC L&R:785点以上(Listening:400点以上・Reading:385点以上)
  2. TOEIC Speaking:160点以上
  3. TOEIC Writing:150点以上

ただし、この水準を超えれば十分というわけではありません。あくまで即興性を伴うやり取りの中で、ある程度のことができるようになる目安です。対面をはじめとするリアルタイムのコミュニケーションを最終的なゴールに据えるのであれば、一つの目安として設定してみるとよいでしょう。

英語が話せるようになるには?具体的な勉強方法と手順

受信力と発信力の関係が見えてきたところで、実際の学習手順に落とし込んでいきましょう。第二言語習得研究の基本形は、「インプット → インテイク → アウトプット → 継続」の4ステップです。多くの学習者が見落としがちなのが2番目の「インテイク(取り込む)」で、この段階を踏めるかどうかが習得のスピードを大きく左右します。

1.まずはインプット .2 インテイクで取り込む 3.アウトプットで定着させる 4.継続するための仕組みを作る

STEP 1:まずはインプット

「聞く・読む」の量を確保することが、すべての土台になります。聞く力を伸ばすためにはたくさん聞く、読む力を伸ばすためにはたくさん読む。当たり前のようでいて、自分の学習を振り返ると「聞いている量に比べて読んでいる量が圧倒的に少ない」といった偏りが見つかることは少なくありません。

ここで注意したいのが、インプットの定義です。単語だけを単独で暗記する行為は、本当の意味でのインプットには当たりません。内容が伴ったものを聞いたり読んだりして、「ああ、そういうことか」と意味が理解できてはじめてインプットになります。単語帳を使った学習(意図的学習)は短時間で効率的に覚えられる反面、忘れやすいことが指摘されています。逆に、英文の中で単語に出会う学習(偶発的学習)は時間がかかりますが、記憶に残りやすいという特徴があります。

point

阿野先生からのアドバイス

通勤中に音楽を聴いていると、いつの間にか歌詞とメロディーが頭に残っていて、ふと口ずさんでしまうことがあります。溜まったものが自然とこぼれ出している状態です。英語も同じで、聞き続けていれば、その言葉がある日ふと口から出てくるようになります。まずは「溜める」こと。単語や文法の知識も、単独で覚えるのではなく、内容のある英文の中で出会うことを意識してみてください。

STEP 2:インテイクで「取り込む」

インプットとアウトプットの間には、インプットした英語を自分のものにする「インテイク(intake=take in/取り込む)」の段階が必要です。日本で生活していると、日常的に英語を使う機会は限られます。だからこそ、この段階を意識的に学習へ組み込むことが重要になります。

インテイクの代表的な方法が音読です。耳で聞いたり目で読んだりしたものを声に出すことで、視覚と聴覚の両方から英語が頭の中に蓄積されていきます。音読を通して、英語の思考回路が作られ、文脈とともに単語の意味と使い方が残り、規則として覚えていた文法が定着し自然に活用できるようになります。

point

阿野先生からのアドバイス

音読は、ただ声に出すだけでは効果が薄くなります。野球の素振りも「ボールが飛んできたらこう打つ」というイメージを持って振るからこそ軌道が体に入るのと同じで、音読も意味と場面をイメージしながら、実際の英語使用を見据えた練習として取り組むことが大切です。併せて、覚えたい単語や文法的に難しいと感じた箇所に付箋を貼り、その場面で使われる日本語を書き添えた上で音読すると、ただのリピートと違って自分で頭に負荷をかけられるため、単語も表現も定着しやすくなります。

なお、オーバーラッピング(文字を見ながら音声に重ねる)は間の取り方や強勢・イントネーションの再現に、シャドーイング(文字を見ずに追いかける)は文字に引きずられない音の習得に向いています。どちらが良い・悪いではなく、得たいメリットで使い分けてください。

STEP 3:アウトプットで「定着」させる

取り込んだ英語は、実際に使うことではじめて定着します。第二言語習得研究では、アウトプットには大きく3つの機能があるとされています。

  1. 明示的知識を暗示的知識に変える……説明されて理解した「頭で考えて使う知識」を、直感的に使える知識に転換する
  2. 気づき(noticing the gap)……自分が英語で表現できること・できないことに気づける
  3. 仮説検証(hypothesis testing)……相手の反応から、自分の表現が通じたかどうかを検証できる

「明示的知識」と「暗示的知識」の違いは、日本語で考えるとわかりやすくなります。「今日はもう遅いので帰りましょう」は自然でも、「今日はもう遅いので出かけましょう」には違和感があります。理由を上手く説明できなくても、直感的に良し悪しが判断できる――これが暗示的知識です。中学・高校で学んできた文法や単語の知識は決して無駄ではなく、アウトプットを繰り返すことで、実際のコミュニケーションで使える暗示的知識へと変えていくことができます。

単語についても同じことがいえます。語彙には、聞いたり読んだりすれば文脈から意味がわかる「受容語彙」と、自分から使える「発信語彙」があり、その間には壁があります。アウトプットは、この壁を越える橋渡しの役割を果たします。

「インプットだけでは話せるようにならない」ことを示す研究として、阿野先生はカナダのイマージョン教育の事例を挙げています。英語を母語とする子どもたちが、算数や理科など様々な教科をフランス語で学ぶプログラムです。追跡調査の結果、聞く力・読む力は相当なレベルまで伸びる一方で、自分で話すと語順などの文法がかなり崩れることがわかりました。意味処理はできても統語(文法)処理が難しい、という状態です。教師がフランス語をどれだけ使っても、子ども自身が使わなければ、活用できる力にはなりにくいことを示す結果といえます。

point

阿野先生からのアドバイス

英語は、使ってみてはじめて気づくことがたくさんあります。聞いたり読んだりしているだけだと、なんとなくできる気になってしまいますが、いざ話そうとすると「あれ、これは何と言うんだろう」と詰まる。この体験こそが、自分に何ができて何ができないのかを知る手がかりになります。

例えば、“I appreciate your kindness.” と言われれば感謝されているとわかっても、自分からは “Thank you for your kindness.” までしか出てこない、ということが起こります。さらに、相手がいる場面で話してみて「何を言っているのだろう」という顔をされたら、通じていないと気づいて別の言い方を試すことができます。この繰り返しが、使える英語へとつながっていきます。

STEP 4:継続するための「仕組み」を作る

英語力は、一度身につけても永久に保たれるものではありません。しかし一旦英語力がつけば、そこから急になくなることもありません。例えば英語での簡単な自己紹介は、一度できるようになればしばらく使わなくても口から出てきます。だからこそ、短期間で結果を求めるより、やり続ける仕組みを作ることが重要です。

もう一つ受け入れておきたいのが、習ったことがすぐには使えるようにならない「時差」の存在です。学んだ瞬間に使えるようになるなら学習は苦労しません。実際には、間違える→修正する→頭の中で整理する、というサイクルを何度も繰り返す中で知識が再構築され、ある時点から自然に使えるようになっていきます。「なかなかできるようにならない」と感じるのは、失敗ではなく、時差の途中にいるということです。

point

阿野先生からのアドバイス

英語力は、下りのエスカレーターを歩いて上っているようなものです。歩き続けていれば必ず上へ進みますが、途中で止まれば、そのまま下に流されてしまいます。ただ、一旦1階から2階へ上がりきってしまえば、そこから急に落ちることはありません。

また、習ったことがすぐに使えるようになるわけでもありません。過去形を教えた翌日でも、子どもたちは “Yesterday I go to ~”と言います。それでも一定の期間、何度も間違えるうちに、だんだん使えるようになっていきます。これは大人の学習でもまったく同じです。「昨日教えたじゃない」は禁物。自分に対しても「昨日覚えたのに」と責めないことが、継続のコツになります。

話せるようになるための具体的なアウトプット法

「アウトプットが大事なのはわかったけれど、話す相手がいない」「いきなり人と話すのは恥ずかしい」――これは多くの学習者に共通する悩みです。おすすめは、「ひとり言 ⇔ AI ⇔ 人」と段階を踏むこと。ハードルの低いところから始めれば、挫折しにくくなります。

STEP 1:ひとり言(リハーサル法)

ひとり言によるリハーサル法は、間違いを恐れることなく何度でも気軽に練習できます。日本人がスピーキングで伸び悩む一因は「間違えたら恥ずかしい」という心理的なブレーキです。ひとり言なら気兼ねなく練習を積めます。やり方は単純で、通勤中に見た景色や家事をしながら感じたことなど、日常の一場面を頭の中で英語にしていくだけです。トレーニングを続けることで、会話で言葉に詰まらない瞬発力を養います。

point

阿野先生からのアドバイス

日常的に行っていることを英語で表現する場は、実はいくらでもあります。例えば帰り道の30分だけ、日本語で思ったことをすべて英語にしてみてください。すると「これは何と言うのだろう」とわからないものが必ず出てきますから、家に帰ってからそれを調べてみる。1日1個で十分です。この小さな積み重ねが、話すための引き出しを増やしていきます。

STEP 2:AI英会話でキャッチボールに慣れる

ひとり言に慣れてきたら、次は「相手のいるやり取り」に進みます。とはいえ、人を前にすると話せなくなる方は少なくありません。第二言語習得研究では、これを情意フィルター(アフェクティブフィルター)と呼びます。話そうと思っているのに、相手がいると心理的な壁ができてしまう状態です。

そこでワンクッションとして活用したいのがAI英会話です。AIとの言葉のキャッチボールなら、何度でも、気兼ねなく練習できます。ただし特徴を理解しておくことが大切です。AIは間違いの指摘が得意で、話せば話すほど次々と指摘が返ってきます。ショックを受ける必要はまったくなく、一つでも二つでも改善できればよい、という姿勢で臨みましょう。一方で、「できているところ」を評価するのは人のほうが得意です。TOEIC S&Wのように人が採点するテストは、その点で補完的な役割を果たします。

point

阿野先生からのアドバイス

AIと会話することがゴールではありません。目指すのは、あくまで人と人とをつなぐコミュニケーションの手段としての英語力です。バッティングセンターで打てるようになることがゴールではなく、試合に出られるようになることがゴールであるのと同じで、AIは人と上手くコミュニケーションをとるための練習台として、とても有効に活用できます。

STEP 3:人と話す機会を作る

最終的なゴールは、あくまで人と人とのコミュニケーションです。AIである程度の自信がついたら、実際に人と話す場に出かけてみましょう。オンライン英会話、英会話カフェ、職場の英語会議、社外の勉強会など、選択肢は様々です。

このとき、相手はネイティブスピーカーである必要はありません。日本人同士でもまったく構いません。大切なのは相手の反応から学べること。「あれ?」という表情をされたら、相手に伝わる言い方ができていなかったのかもしれない、と気づける。これが前述の仮説検証(hypothesis testing)です。大人と子どもで話し方や言葉を換えるように、「この人にはこう話せばいいのか」という感覚も、実際のやり取りの中で育っていきます。

英語学習に関する3つの思い込み

実は、英語学習が続かない・伸びない人の多くには、共通する3つの思い込みがあります。ここでは代表的な3つを取り上げます。

思い込み1:間違えてはいけない

間違いは悪ではなく、話せるようになるための大切なステップです。英語で話してみてはじめて、自分の理解が曖昧な部分や、まだ身についていない表現に気づけます。恥ずかしさから発言を避けると、大事な気づきの機会を失い上達しにくくなります。

第二言語習得の研究では、間違いを「うっかりミス(mistake)」と「理解不足による誤り(error)」に分類するのが一般的です。子どもに「昨日教えたじゃない」と責めても定着しないように、大人の学習も繰り返すたびに少しずつ精度が上がっていくため、間違いを重ねながら前に進むことで上達していきます。

  1. mistake:わかっているのに言い間違えるミスは、繰り返すうちに自然と減っていく
  2. error:ルール自体を誤解しているため直す必要がある

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阿野先生からのアドバイス

英語でも “Don't be afraid of making mistakes.” とはよく言いますが、“Don't be afraid of making errors.” とはあまり言いません。ルールの理解不足による error は直していく必要がありますが、うっかりの mistake は恐れなくてよいということです。間違えながら使ってみることが、正確に話せるようになるための近道になります。

思い込み2:歳をとってからでは遅い

「子どものころに始めないと身につかない」というイメージは根強いものですが、第二言語習得研究では ”Younger is better, older is faster.” と言われています。子どもは発音を含めてあまり考えなくても自然に習得できる(better)一方、大人は習得のスピードが速い(faster)。大人には、自分で学習をコントロールできる、頭で整理して理解できるという強みがあるためです。

やり方は年齢によって変わりますが、年齢が上がったからダメ、ということはまったくありません。退職後に学習を始めてTOEIC Testsで高いスコアを取得したり、英語が使えるようになったりする方も数多くいます。

point

阿野先生からのアドバイス

子どもは小さいほど、あまり考えなくても発音を含めて自然に習得していきます。では年齢を重ねたらどうかというと、今度は習得のスピードが速くなります。自分で学習をコントロールでき、頭で整理しながら理解できるからです。実際、退職後に学習を始めてTOEICで高いスコアを取ったり、英語が使えるようになった方はたくさんいらっしゃいます。年齢によって向いているやり方が変わるだけで、遅すぎるということはありません。

思い込み3:もっと上手くなってからテストを受けるべき

「もう少し勉強してから受けます」「もうちょっとできるようになったら受けます」。TOEIC Testsなどの英語テストについて、こうした声はよく聞かれます。しかしテストは、いまの自分がどのくらいできるのかを客観的に測るためのものです。結果が出てはじめて、どの技能が弱いのか、次に何を伸ばせばよいのかが判断できます。「もっとできるようになったら」と先延ばしにしていると、その日はいつまでもやってきません。まずは現在地を知り、そこから学習を組み立てていきましょう。

一方で、「テストを受けるなら、まず問題集で対策すべきでは?」と考える方もいるかもしれません。テストの評価基準や出題内容を理解することで、自分に足りない力や今後伸ばすべき力も見えやすくなるため、テスト対策にも意味はあります。また、問題形式に慣れれば、限られた時間内で効率よく解答できるようになります。

point

阿野先生からのアドバイス

健康診断の視力検査を、「目が良くなってから受けます」と言う人はいませんよね。視力検査は、いま自分がどのくらい見えているのかを測り、その結果に合わせて眼鏡やコンタクトレンズを作るためのものです。水泳も同じで、プールサイドで泳ぎ方の本をどれだけ熱心に読んでも、それだけで泳げるようにはなりません。「泳げるようになってから泳ぐ」のではなく、「泳げるようになるために泳ぐ」。英語のテストも、上手くなってから受けるものではなく、上達するために受けるものなのです。

自分の現在地を知ることが上達の第一歩!
TOEIC® S&Wを「英語力ドック」として活用しよう

学習の方向を決めるには、まず自分の現在地を正確に知る必要があります。人間ドックを受けると、全体としては健康でも「ここは気をつけたほうがいい」という項目が見えてきます。英語も同じです。TOEIC S&Wを、いまの英語力を客観的に診断する「英語力ドック」として活用してみてください。 英語力ドックとしての強みは、人間ドックが臓器ごとに数値を出すように、英語力を技能ごとに分解して把握できることです。「スピーキングが苦手」という漠然とした感覚のままでは、何をすればよいのかがわかりません。TOEIC S&Wでは、次のような力を問題ごとに測定しています。

 

TOEIC Speaking Test
内容 評価基準
音読問題
  • 発音
  • イントネーション、アクセント
写真描写問題 上記の事柄すべてに加えて
  • 文法
  • 語彙
  • 一貫性
応答問題 上記の事柄すべてに加えて
  • 内容の妥当性
  • 内容の完成度
提示された情報に基づく応答問題 上記の事柄すべて
意見を述べる問題 上記の事柄すべて

計11問 約20分

TOEIC Writing Test
内容 評価基準
写真描写問題
  • 文法
  • 写真と文章の関連性
Eメール作成問題
  • 文章の質と多様性
  • 語彙
  • 構成
意見を記述する問題
  • 理由や例を挙げて意見を述べているか
  • 文法
  • 語彙
  • 構成

計8問 約60分

関連コンテンツ TOEIC S&Wの詳細

どこが強く、どこが弱いのかが具体的に見えれば、次に取り組むべき学習も自ずと決まります。そして、テストは苦手を知るためだけのものではありません。「ここは自分の強みだから、もっと伸ばそう」と前向きに捉えることも同じくらい大切です。点数に一喜一憂するのではなく、重点を決めて学習方法を改善していく。そうすることで、4技能の英語力が補完的にバランスよく伸びていきます。

point

阿野先生からのアドバイス

TOEIC L&Rのスコアが一定の水準にあるということは、それだけの発信力を身につけられる「下地」がすでにあるということでもあります。TOEIC L&Rで十分なスコアを取ってから、ではなく、TOEIC S&Wにも併せて取り組むことで相乗効果が生まれます。

英語学習に関するよくある質問

英語を話せるようになるには何をすればいいですか?

英語を話せるようになるには、まず目標を具体的に設定した上で、「インプット → インテイク → アウトプット」のサイクルを回すことです。まず「聞く・読む」で英語に大量に触れ、音読などで英語を取り込み、ひとり言や会話で使ってみましょう。この3つを行き来しながら、4技能をバランスよく学習することが近道です。

英語を話せるようになるには何年かかりますか?

学習に必要な期間は、目指すレベルや学習量によって大きく異なるため、一概には言えません。ただし、習ったことがすぐに使えるようになるわけではなく、習得までには「時差」があることは知っておいてください。阿野先生が大学生を対象に行った検証では、1日20〜30分の音読を約3カ月続けただけでTOEIC L&Rスコアが平均約80点アップし、発話語数はほぼ倍になりました。英語力は下りエスカレーターを歩いて上るようなもので、止まれば下がりますが、歩き続ければ必ず次の階にたどり着きます。

英語初心者が話せるようになるには何から始めるべきですか?

まずはインプットの量を確保することから始めましょう。単語だけを単独で暗記するのではなく、内容のある英文を「聞く・読む」ことが大切です。その上で、聞いた英語・読んだ英語を声に出す音読を取り入れてください。アウトプットは、相手のいらないひとり言(リハーサル法)で十分です。また、早い段階でテストを受けて現在地を知っておくと、自分の強みと弱みが具体的に見えてくるため、次にやるべきことが定まります。

 

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