ブリット・アンドレアッタ博士のブログから Blog Post 8
学びの文化を創り出す

気づいているか否かに関わらず、組織には学びの文化が既に存在します。人を雇うということは、職場で毎日学びが起きるということです。なぜなら私たちは皆、生物学的に、学ぶようにできているからです。それを止めることは出来ません。

大事な問題は、良い学びの文化を後押しして組織の成功を増進するのか、それとも適合性を重視して停滞を引き起こすのか、なのです。

貧弱な学びの文化を持つ組織は、優秀な人材を流出させ、顧客を失い、さまざまな分野で競合企業に後れを取ってしまいます。少しの間は見かけ上は利益が上がるように見えるかもしれませんが、人間的要因によるコストが追い付いてしまい、最終的には失敗します。

ひとときの成功でなく繁栄を続ける組織では、前向きな学びの文化が後押しされています。その方法をいくつか示しましょう:

絶えず存在する学びの本質を支持しましょう

学びは組織において毎日発生しています。人は自ら、経験や探索を通じて学んでいます。また、他者を見て、どのような行動が報いを受け、どのような行動が見向きもされないかを見いだし、学びます。

人は、アドバイスや指導やコーチングのちょっとした時間を通じて、お互いに学び合います。学びは、ある特定のイベントに限られたものではなく、どこか一つの部署が独占するものでもありません。人材育成を担当する部署は、そうした対話を促し、学びが尊ばれ支持される文化や環境を創る役割を果たすべきでしょう。

熟達につながるものとしての学びの尊重が大切です

学びのプロセスには、好奇心、探索、リスクを取ること、そして最も大事なものとして、失敗することがあります。誰しも重要なつまずきなくして、熟達には至らないのです。これはつまり、リスクを取ったり失敗したりすることを安心して行える文化を創る必要があるということです。研修の場だけでなく、どの部署においても、です。これはまた、業績や成功を尊ぶだけでなく、「アハ」体験(なるほど!と思う瞬間)も尊ぶということです。

マネジャー達をコーチに変えましょう

この文化を創る上で鍵となるのは、マネジャー達が効果的なコーチング方法を知っていることです。コーチングは従業員の能力と自信を構築する助けをし、学びのプロセスにおける強力なツールとなります。マネジャー達はスキルを上達させるためのコーチング(skills coaching)と、目的や行動を明確にさせるためのコーチング(clarity coaching)を正しく配合する方法を知っておくべきです。私はアプリシエイティブ・インクワイアリー(appreciative inquiry;人や組織の強みや、うまくいっていることを見つけるために問いかけを行う手法)の大ファンでもあります。なぜなら従業員の最高のパフォーマンスを生かして、それを毎日発生させられるようにする助けとなるからです。

成長と改善を評価システムにおいて重視しましょう

人がどのように成果を上げたかだけを評価していると、前向きな学びの文化を後押しする機会を逸してしまうことになります。殆どの評価システムは成果に基づいており、努力には基づいていません。しかし、幾つもの研究によると、人は成長と改善に基づいて測られると、さらに力が入り、より成長することがわかっています。

私たちは皆、トップの成績を上げてはいるけれど、成長したり改善したりはしない人がいるのを知っています。彼らは、現時点で保有しているスキルにうまく合った仕事にありついたのです。そして、彼らは良い仕事をしてはいますが、自らのフルポテンシャルを目指してはいないのです。

私は、全ての従業員について、「成長」も評価することを推奨します。これは、学びに注ぎ込んだ努力や、測定可能なスキルの上達、そして成長への情熱を見ることで測ることができます。これは評価全体の1/4から1/3を占めるべきもので、そうすることで、トップの成果を上げた人も報われる一方、トップの学びを得た人も報われることになるのです。良い学びの文化は、全ての成長と改善を認識し、それに報いるものなのです。

学びを容易にアクセス可能にしましょう

これは極めて重要です。必要なときにオンデマンド学習ができれば、従業員は自ら答えを求め発見することが可能になります。脳科学者達によれば、こうした種類の学びは、単にどうしろと一方的に指示された場合と比べてずっと長く保持されるもので、成人学習理論のベストプラクティスにも合致するものです。

答えが必要なのに、例えば今から3週間後に開催され、4時間かけて聴講しないと必要な情報が得られないような研修は、あまり自分の助けにはなりません。1日24時間、週7日、いつでもどのデバイスからでもアクセス可能な短いビデオを見ること以上に簡単なものがあるでしょうか?私がLinkedIn Learningや、私の新たな研修プラットフォームのようなマイクロラーニング(1回5分程の動画や、細分化されたWebコンテンツなどの教材を使って学ぶ方法)を好むのはそのためです。困った時には、素早く答えが欲しいものです。

多種多様な教材に従業員がアクセスしやすくすることが可能です。学習戦略を考える上で、テクノロジーは極めて重要なものです。

ブレンド型学習を活用し、選択肢を最大化しましょう

人や状況によって、効果のある研修の種類は異なります。選択肢を最大化するためにブレンド型学習を活用する必要があるのはそのためです。

例えば、対面であれば、組織の文脈に沿った研修を実施することができ、実際の職務への応用や協業の機会が生まれます。オンラインは、自分のペースで取り組む学習や、対面でのイベントの準備段階の学習にぴったりです。

VR(仮想現実)を活用する新たな方法

仮想現実は、医療の現場で神経を回復させるのに重要な役割を果たしていますが、その発展はそれだけに留まりません。仮想現実は、私たちの体に備わっている一人称の視点(編注:リアルに体験している実感)を再現するため、とても強力なものとなっているのです。完璧とは言えませんが、体に生物学的反応を生じさせるには十分に現実的です。

様々な企業が従業員の研修を仮想的に行っており、それは場所やスキルについて本物に近い記憶をもたらしています。例えばある石油会社は深海の掘削装置を撮影し、従業員が実際にそこに足を下ろす前に、その危険な職務環境に慣れることを可能にしています。また、ある航空機のメーカーは、VRを使って新入社員に胴体部品をリベットで留める経験をさせています。優秀な従業員のビデオをVRにより記録することで、研修生が下を向けば、「自分の」体がその仕事を正しく行う姿を見ることができます。当然ながら、VRが実際の行動を代替してくれるわけではないのですが、従業員の学習と技能開発において、良いスタートが切れることは明らかです。

いいですか、あなたは未開拓の金山の上に座っているのです。あなたの会社の従業員は、あなたの組織を新たな高みへと導くポテンシャルを持っています。良い学びの文化を創り出せれば、学びがもたらす多くの便益を自然に刈り取り、組織を成功に導くことができるでしょう。

この記事は、Britt Andreatta博士のブログに2019年7月3日に掲載されたものです。原文(英語)はこちら別ウィンドウで開く/Open the link in a new windowからご覧いただけます。


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