審査員 東京国際大学 松本先生

―審査をする際に大切にしているポイントを教えてください。

松本先生:一番は構成です。英語の語彙や文法などももちろん大切ですが、それよりもエッセイ全体の流れに注目しています。文脈に違和感がなく、ストンと落ちる内容になっているか。
オリジナリティがあり、心に響くポイントがあるかどうか。オリジナリティといっても、何も特別な体験が必要なわけではありません。一般的な出来事であっても、そこに新しい解釈を見い出して提示してくれたら良いのです。みんなが“当たり前”だと思って過ごしていることを、“当たり前ではない”として提起する。それは面白い試みです。そういった独自性が、読む人の心を打つのだと思います。

―応募作品をさらに良くするためのアドバイスがあれば教えてください。

松本先生:1回読んだだけで何を主張したいかがわかる論理構成になっているということが、まず最低限のルールです。そこに、独自のエッセンスがちりばめられているということ。エッセイは、基本的には論証文です。ですから構成は、「序論」「本論」「結論」の流れで進めないといけません。まず、このエッセイにおいて何を主張するのかを述べ、次にその理由を書く。その中でサポートのマテリアルを入れ、結論で締めるというのが基本的な流れになります。この流れで構成されていないと、結局何が言いたいのかわからない文章になってしまいます。半ばまで読んでも意味が分からないようでは、エッセイとしては成り立っていません。具体的には、まず“こう思う”という主張・結論を先に述べ、最初のパラグラフを読んだ時点で、ある程度その後の予測がつく構成にしましょう。次に自分の体験だけではなく、一般的な例をリサーチして盛り込みます。テーマが社会的な問題であればデータや専門家の意見を引用するなど、客観的なデータがあると説得力が増します。エッセイでは、論理と感情のバランスが大切で、心が強くなりすぎてはいけません。もちろん、バラエティに富んだエピソードがあった方が面白いかもしれませんが、メインは論理を作ることです。結婚式などの特別な場面では“感動”が必要であることもありますが、エッセイでそれをする必要はありません。論理がまっすぐに流れるように書いてください。

―高校生がエッセイを書くことや英語で書くことの意義を教えてください。

松本先生:論理的なエッセイの書き方が身につけば、大学入試や大学の講義でも十分力を発揮出来るはずです。大学入試での作文は長くても100ワードくらいの出題ですが、その評価項目も論理がきちんと流れているかがメインになります。また、社会に出たときに求められるのは論理的視点ですから、大学でもそこを重要視しています。そういった意味で、高校生がエッセイを書くことは非常に有意義であると思います。次に英語で書くことについてですが、英文を書くということは、英語を話す訓練に繋がります。実際に書いてみると、スペリングが分からなかったり、接続詞で迷ったりしてその都度調べるようになるので、英語の正確さもアップしていきます。しかし、もともとある和文を英文に書き直す作業だけを繰り返しても、一向に自分の考えを表現できるようになりません。ですから、毎日自分の意見を英語で書くと良いと思います。40~50ワード程度の短いもので構いません。毎週テーマをもって、例えば「スポーツ」であれば、1週間毎日違うスポーツについて書く。そこで構成力も養われますし、書き続けていけばスピードも速くなってきます。もちろん最初は全く書けないかもしれませんが、それで良いのです。“書きたいことが書けない”という体験をすると、自分には何が足りないのかということに注目するようになり、学習時の意識が変わっていきます。

―身につけた英語をどう活用してほしいですか?

松本先生:最近では法律・会計事務所などでも英語を必要としていますし、新人研修の講師が全員外国人ということもあるようです。今後、英語が出来る人と出来ない人の差はますます開いてしまうでしょう。そういう時代ですから、逆に言えば英語が出来るというだけで、大きなチャンスを掴めます。どんな仕事においても、確実に可能性が広がりますから、目指す分野に関係なく英語を身につけ、自分の将来にうまく活かしていって欲しいと思います。

―エッセイコンテストに参加する高校生にメッセージをお願いします。

松本先生:どんな「異文化」を体験したことがあるのかな。その「体験」を通して相手や周りの人々とのコミュニケーション(関係性)にどんな変化が生じたのかな。そして、自分はどう変わったのかな。こんなことを考えてトピックを探してみてください。そのうえで、一連の異文化体験のことと、その体験から得た「気づき」をなぜ読み手と共有したいのかを考えながらエッセイを書いてください。あなたのエッセイを読むことを楽しみにしています!

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