違いをなくすのでなく、
違いを超えたい
~第16回(2024年度)最優秀賞受賞~

古賀杏奈さん

PROFILE

古賀 杏奈さん

Anna Koga

さいたま市立大宮国際中等教育学校5年。小学生時代は英語は話せなかったが、国際的なプログラムの多い現在の中高一貫校に入学したことで英語力が一気に飛躍。総合学習の授業の中で「文化の違い」を研究中。

 

「空港で名残惜しんでくれなかった……!」
アメリカの友人に対する小さな違和感

古賀さんは、ホームステイ先のアメリカから帰るときに、空港で別れを惜しんでくれないアメリカの友人に対する「なんで!?」というモヤモヤと向き合い、エッセイを執筆。

「募集要項を見てすぐに、このエピソードが思い浮かびました(笑)。違いに悩まされたあと、それを乗り越えることで本当の意味で心と心が繫がって、一気に世界が広がる。まさに『つながる心、広がる世界』を体験したばかりだったので『私の感じたこと、そのものだ!』と。ただ、このエピソードはテーマに対しスケールが小さすぎるかも……と悩みもしました。文化の違いによって起こる戦争や差別のような大きな問題について書くべきではないかと。でも正直、今の自分はその問題に直結する個人的な経験や強い感情を持っていないため、『私の等身大のエピソードだって、文化の違いによって生まれる大きな問題とどこかで繫がっているはず』と思い直しました」

「17歳の私の考え」をありのままに

エッセイの執筆で大切にしたことは?

「読んだ方が私の思考を追体験できるような形にできたらと思いました。何が起こって、どこに違和感を覚え、どんなリサーチをした結果、その気づきに至ったのか。『ネットで検索したらこんな意見が出てきた』という、自分以外の声も含めて丁寧に書くことで、私の悩みや葛藤をリアルに表現できたらと考えました。『これは17歳の今の私が出した答えで、数年後には考えが変わるかもしれない』というようなニュアンスまで含めて、ありのままの想いが伝えられていたら嬉しいです」

文章表現でこだわった点は?

「過去に英語のスピーチコンテストにも出たことがあり、その台本を書く際に学んだことがあって。それは、日本語の作文では風景描写や会話文を入れると物語っぽくなりすぎるため避けがちだけど、英語の作文においてはそこをあまり気にしなくて良いということ。今回も、風景描写や会話文を取り入れて、英語の表現の豊かさを活かそうと思いました」

結果、330作品の頂点に。

「受賞を知った日は家族で驚きながら、夜も先生にチャットをして『本当なの?』と確認したりしていました(笑)。やはり扱ったトピックが小さいことで『自分では納得できるエッセイだけど、受賞には向いていないかも』と思っていたので、信じられない気持ちでした。ただ、受賞できずとも、自分の体験と向き合い、言葉にできたことの満足感もあったので、書いて良かったと感じていたと思います」

今後の展望を教えてください。

「文化を研究できる大学に進学して、その後は英語や第二外国語を使って文章を書く仕事に就けたらと想像しています。国ごと、地域ごと、家族ごとの様々な文化に触れながら、あらゆる違いに納得できるマインドセットを持つことが、人生を通した目標です」

 
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