一番簡単な言葉が、
一番いい言葉
~第16回(2024年度)最優良賞受賞~

野中 茂壮さん

PROFILE

野中 茂壮さん

Shigeo Nonaka

聖学院高等学校1年。家族の転勤により幼少期からベトナムへ。その後、ミャンマーで暮らし始めるが、クーデターにより帰国。「クーデターが起こる前のミャンマーの魅力」を伝えるため、グローバルユース国連大使など様々な活動に励む。

 

人生のターニングポイントをエッセイのトピックに

下半身がつながって生まれた、ベトナムの双子「ベトちゃんドクちゃん」。日本でも教科書や絵本を通して知られていますが、野中さんは大人になった「ドクさん」にベトナムで偶然出会い、その経験を題材にエッセイを執筆されました。

「中学時代から参加したいと思っていたこのコンテストで、僕の人生のターニングポイントについて振り返りたいと考えました。小学生のときに彼と出会えて僕は大きな影響を受けたのに、高校生になるまでその経験を言葉にして整理する時間がつくれませんでした。だからエッセイを書くことで、僕が彼とのコミュニケーションを通して受けたとったものを言語化できたらと。溢れ出てくる想いをまとめることで、自分の原点を確認する機会になりました」

タイトル『Just a Man』に込めた想いは?

「このタイトルは、エッセイを書き始める前から決まっていました。ドクさんは世の中では『結合双生児の弟』『障がい者』として認知されているかもしれませんが、僕にとっては『ドクさん』という名前をもつ、“ただのひとりの人間”でしかない。それを一番強調したいと思いました。ドクさんは片足がないけど、助けてもらったのは僕。きっと人は誰しもが何かしら足りない部分があって、だからこそ助け合える。今回のエッセイを書き切って、そういうことにも気づくことができました」

構成や文章表現でこだわった点を教えてください。

「実は今回の執筆をするにあたり、エッセイのセオリーや審査員の方々の視点などは意識しませんでした。エッセイというよりは『ドクさんへの手紙』を書こうというつもりで、個人に向けて素直な気持ちを、かっこつけない言葉で綴りました。英語という制約があったからこそ、余計な表現やボキャブラリーを使わず、ストレートに書けた面もあると思います。一番簡単な言葉が、一番いい言葉になることもあるのかなと今は感じています」

ベトナム大使館経由で本人からも連絡が!

受賞を知ったときの気持ちは?

「まずはドクさんとの出会いに対する感謝。そして応募するに当たって手続きなどをサポートしてくださった先生たちへの感謝の気持ちが込み上げました。受賞の報告はドクさんに最初にしたいと思い、ベトナム大使館を通して連絡したところ、ドクさんからお返事と当時の写真もいただきました。覚えてもらえていたこともとても嬉しかったです」

今後の展望を教えてください。

「英語の魅力は、世界中の多くの人にメッセージを届けられることです。現在、僕は小学生時代を過ごしたミャンマーの魅力を国内外に伝える活動をしています。また、『障壁の中で人々が施し合いながら生きていく方法』について学びたいと考えています。今後も英語を活かして様々なことに取り組んでいきたいです」

 
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