県内屈指の進学校が考える
コンテストの価値
時代が本当に必要とする
英語力を養える機会
~第16回(2024年度)団体部門奨励賞、
個人部門特別賞受賞~

PROFILE
田中 航祐先生
Kosuke Tanaka
県立千葉高等学校主幹教諭。専門科目は英語。長期的視点で必要な英語力を育てることを信念に、大学受験だけでなく、その先の人生を見据えた英語指導を行う
渡邉 衣さん
Kinu Watanabe
県立千葉高等学校3年。障がいを持つ従姉妹とのコミュニケーションについて執筆したエッセイ『What my little cousin with a disability taught me』で、第16回特別賞を受賞。小児科医を目指し、2025年4月より医学部に進学
受験を控える夏に3年生全員が挑戦した理由
県立千葉高等学校は、3年生のほぼ全員、約250名が本コンテストに参加。受験を控える夏の時期に、英語の授業の3時間分を使って取り組んでくださったとうかがいました。
田中 航祐先生(以下、田中)
高校生が500 ~700語という長い英文を書く機会は、授業や受験勉強の中ではそうあるものではありません。しかし、グローバル時代における生徒の未来を考えると、自分の考えを世界中の人々が理解できる形で伝える力は必要不可欠。大学に進学してから、社会に出てから、近い将来に必ず「高校時代にやっておいて良かった」と思える経験になると考え、参加を決めました。
渡邉 衣さん(以下、渡邉)
帰国子女でもなく留学経験もない私は、英語は正直苦手で「受験科目」の1つという認識でしたが、今回エッセイを書いてみて、「そもそも英語って『科目』じゃなくて、人と繫がるための『手段』なんだ」と捉え直すことができました。英語への向き合い方がポジティブになる、大切な気付きだと感じています。
田中
もちろん「大学入試の英語に繫がらない」わけでもありません。入試でも100語以上の英文を書くテストは多くありますし、自分が英文を書くことで、他人が書いた英文を読解する力が養われる側面もある。このエッセイコンテストへの参加は、総合的な英語力を高める機会になると考えています。
自分の体験を、素直な言葉で誰もが参加できるコンテスト
「つながる心、広がる世界 ~コミュニケーションを通じた響きあい~」というテーマについてはいかがでしたか?
田中
多様性をどう解釈し、尊重するかが重要な今、高校生のうちから向き合うべきテーマだと感じました。国境を超えた交流でなくても、日常の生活を丁寧に見れば、価値観の違いによる衝突は至るところにあるため、誰もが取り組めるテーマです。実際に約250名分のエッセイを読んで、生徒一人ひとりが自分の体験を振り返り、掘り下げる貴重な機会になっていたと感じます。母語ではないからこそ、シンプルな言葉で、ストレートな想いを表現できた生徒も多かったですね。
渡邉
私は障がいを持つ従姉妹との交流で感じた学びや反省をエッセイにしました。英語のテストを運営する団体が開催するコンテストなので、海外の人との交流について書いた方が評価されると思っていたため、受賞できたことは本当に驚きでした。エッセイを書くことで「コミュニケーションを通じた響き合い」は、言語以外の方法でも可能だということを自分の中で整理でき、受賞したことで、その気付きをいろいろな方に読んでいただけたことが嬉しいです。
今後について教えてください。
田中
これからも学校として、コンテストへの参加を続けられたらと思っています。今回渡邉さんの受賞によって、海外経験がなくても評価されることが証明されたので、多くの生徒たちのモチベーションも高まると感じています。教師としても、エッセイを通して生徒それぞれの物事に対する見方や考え方を知る機会なので、楽しみたいです。
渡邉
私は医学部に進学することが決まり、小児科医を目指しています。エッセイコンテストに参加したことで自分の考えを伝えることに少し自信を持てました。これからも様々な立場の人のことを考えながら、社会に貢献できるようになりたいと思っています。