“無理のない英語”で最優秀賞
「沈黙」に耳を傾け
クラスメイトを理解
~第17回(2025年度)最優秀賞受賞~

圡屋遼人さん

PROFILE

圡屋遼人さん

Haruto Tsuchiya

仙台育英学園高等学校2年。中学から同校の国際バカロレア認定コースで学び、世界に視野を広げる。小学生時代は空手で全国大会優勝経験もあり。「取り組むからには最大のリターンを狙う」が信条

 

「ありがとう」と言ってもらえなかった
障がいのある友人との記憶

圡屋さんは、小学生のときに体験した障がいのあるクラスメイトとのコミュニケーションを振り返り、「沈黙」に耳を傾けることの大切さをエッセイにしました。

「募集テーマが『つながる心、広がる世界 〜コミュニケーションを通じた響きあい~』であることを確認したとき、まず自分の人生のいろいろな記憶を呼び起こしました。中学時代にカナダへ2週間滞在したことがあり、TOEIC Programを運営するIIBCのコンテストですし、国境を越えたコミュニケーションについて書こうかと迷いもしました。でも、僕が一番書きたかったのは、日本の小学校で経験した『障がい』を持つクラスメイトとのコミュニケーションについてでした。会話でのやりとりが難しく、自分の中で消化しきれていない部分が残った出来事だったので、これを機に言語化して、僕なりに納得したい。それをこのエッセイを執筆する目的にしようと思いました」

「自分の英語」で書くと
自分を整理できる

英語でエッセイを書く上でこだわったことは?

「僕、英語が得意ではないんです。だからこそ、“自分の英語力の範囲で書いていこう”と決めていました。難しい単語や構文を使わずに、シンプルでいいから、確実な表現を積み重ねていこうと。完璧主義でミスをしたくない性格ゆえなのですが、そのおかげで、自分の中で複雑に絡まり合っていた感情を、丁寧に紐解いていくことができたと感じます。もし日本語のエッセイだったら、できなかった経験だと思います」

全体の読みやすさがありつつも、圡屋さんの重要な気づきを表す「Silence is not an absence, but an invitation to listen more deeply.」など、読者を引き込むフレーズが散りばめられていました。

「難しい表現は使わないけれど、読む人のために印象的な伝え方にはしたい。だから、最初に書き上げたエッセイをベースにしながら、強調したい部分は比喩表現に変えるなど、細かい調整を重ねました。夏休み期間をフルに使って、提出のギリギリまで粘りました。最初に比べたら、メッセージに強弱のある立体的なエッセイになったと自分でも手応えがありました」

タイトル『Thank you without saying』は、どのように決まりましたか?

「実は、最初に先生に提出したとき、タイトルをつけ忘れていたんです(笑)。指摘を受けて、慌ててつけました。ただ『自分の価値観が大きな影響を受けた瞬間を端的に表そう』という考え方だったので、すぐに決まりました」

結果、433作品の中で最優秀賞を獲得。

「素直に嬉しかったし、驚きました。エッセイを書き上げた時点で『違和感のあった体験を言葉にして解消する』という目的は達成でき満足していましたし、そこまでスケールの大きいトピックのエッセイではないので、コンテストの結果にはあまり期待していませんでした。受賞したことで地元の地域広報誌でも取材してもらったりして『まさかこんなことになるとは!』という気持ちです」

今後の展望を教えてください。

「大学で勉強したいのは『社会工学』という領域。世の中のコミュニケーションにまつわる様々な問題に数学的アプローチで迫っていくことに興味があります。今回のエッセイ執筆で自信をもらえたので、大学・大学院のうちに英語で論文を書いて、海外でも活躍できるような社会人になっていけたらと想像しています」

※本記事の取材は2026年4月に行いました。

 
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