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専業主婦が通訳を目指し、大学の英語講師になる
大学英語講師、2021年IIBC AWARD OF EXCELLENCE受賞者
中根 香代子氏
難しくて簡単にかなわない目標の方がやりがいがある
短期大学の英語科を卒業して企業の事務職に就き、結婚を機に退職して専業主婦になりました。当時それはごく一般的な生き方でした。ただ、昔から「一生に何か1つできたらいい」と両親がよく言っていたこともあって、私はこのままでいいのだろうかと心のどこかで感じていました。そこで、下の子どもが幼稚園に入って少し時間ができると、この時間だけは自分の“何か1つ”のために使おうと決めたのです。せっかく短期大学に行かせてもらったのを無駄にしたくはないですし、語学なら家族に迷惑をかけず隙間時間でできる。そう考えて、英語力の習得を目標に掲げました。そして、どうせやるなら簡単にはかなわない夢を目指そうと、私にとっての英語の頂点、通訳という道を選んだのです。このとき、私は38歳でした。
留学経験もないし、特段、英語が得意だったわけでもありません。最初は、ラジオの英語講座を聴いてディクテーションすることから始め、「今日はこの記事を30回音読する」といった課題を自分で決めて取り組みました。子育てと介護があったのでまとまった時間はなく、お風呂上りにドライヤーをかけながらテキストを読んだり、キッチンに立ったまま暗唱したり、とにかく地道にコツコツと数年間勉強しました。
そしていよいよ通訳スクールに入学したのですが、周りは帰国子女や英語を専門に勉強してきた方たちばかり。自分の英語の未熟さに嫌気がさして、何度も逃げ出したくなりました。そういうとき、私は1年後、2年後の自分の姿を想像してみます。もしここでやめたら、1年後の私は今と何も変わっていない。けれども低空飛行でも飛び続けていたら、必ず少し先まで進んでいるはず。どっちの自分がいい? そう考えると、よし、頑張って続けようという気になれるのです。
自宅学習では、シャドーイングや英語の語順通りに日本語に訳していくサイトトランスレーションといった、通訳ならではの新しいトレーニング法を取り入れつつ、原点に立ち返って『ロイヤル英文法』を一から全部やり直しました。また、TOEIC L&Rを定期的に受験して、間違った部分をしっかり復習して基礎力を上げていきました。TOEIC L&Rは、その時々の自分の実力を知る指標としてとても有効で、私の英語学習には欠かせない相棒のような存在になりました。
英語学習が新しい世界への扉を開いてくれた
スクール在学中から、少しずつ通訳の仕事をするようになりました。また、企業向けにTOEIC L&Rの講師をする機会もあり、そうなるともう少しきちんと学習したくなって、2019年に名古屋大学大学院の門をたたきました。本来、大学院へ行けるのは4年制大学卒業以上で、短期大学卒業の私には資格がないのですが、通訳などの仕事の経歴とTOEIC L&Rのスコアのおかげで出願資格審査を通していただき、筆記・口述試験を経て無事入学することができました。 専攻は人文学です。通訳の英語は非常にプラクティカルなので、改めて第二言語習得の理論を学ぶことでより深く体系的に理解できるようになりました。何より大学院では、たくさんの素晴らしい方たちとの出会いがあり、また大学の英語講師という職まで得ることができて、私にとって宝物のような2年間でした。 振り返ると、英語の勉強を始めた頃には、自分が大学院へ行くことなどは想像もしていませんでした。コツコツと地道に続けてきた英語学習が、私を全く新しい世界へと連れて行ってくれたのです。英語学習をしてきて本当に良かったと思います。 忙しい現代社会では、学習する時間がなかなか作れないのは仕方ないことだと思います。でも、例えば車の中で英語のラジオを流す。道を歩いているときに英語を口にしてみる。たった5分でも、たとえ集中していなかったとしても、やったかやらないか、1か0かでいったらそれは1です。そして毎日1を積み重ねれば、100にも1,000にもできるのです。 努力して身につけた知識は、積み重ねていけばいくほど、誰にも奪われない自分の自信になると断言できます。私の経験では、モチベーションは後からついてきます。忙しい日は5分だけでもいいから、毎日英語と向き合ってみてください。1年後に自分の頑張りを振り返ったとき、続けてきて良かったと必ず思うはずです。それが次へのモチベーションにつながるのです。
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