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2026年3月号

神田外語グループ/神田外語学院 語学教育のパイオニアが考える AI時代にこそ言語がつなぐ、人と社会の未来

外国語を軸に多角的な教育機関を運営する神田外語グループ。出発点となった神田外語学院は約70年にわたり、語学教育機関のパイオニアとして多様な人材を生み出し続けています。AIの進展により翻訳ツールが充実する現在において、言語を身につけることの意義とは?そして、これからの社会に求められる人材とは? 神田外語グループを運営する学校法人佐野学園、佐野元泰理事長にお話をうかがいました。

AI時代だからこそ求められる コミュニケーションと語学の力

佐野 元泰理事長

神田外語グループ(佐野学園)
佐野 元泰 理事長

学習院大学経済学部経済学科卒業後、学校法人佐野学園に入職。語学研修施設ブリティッシュ・ヒルズの取締役副支配人を経て、アメリカ・モントレー国際大学でMBAを取得。執行役員、理事などを経て、2010年より現職。

数年前、世の中でAIが認識され始めた頃に、英語をはじめとする語学力や語学学習の必要性について懐疑的な声が上がりました。しかし私は、AI時代だからこそ語学力は重要だと感じています。

以前の語学教育のゴールは「知識を覚えて使いこなすこと」でしたが、今やそのような一連の作業はAIに置き換えられます。では今、何が求められるのかというと、“コミュニケーションするセンス”です。今後さらに本格化していく日本の多文化共生社会において、様々な課題に取り組んでいく必要が出てくると思います。その解決にはコミュニケーションが欠かせず、ベースとなるのはやはり言葉です。外国語を学ぶことは、社会的なバックグラウンドを含めて、相手の考えを汲みながら違いを理解するのに、最も優れているのではないでしょうか。

今や、たいていの外国語であれば、AIが瞬時に翻訳してくれます。しかし、AIが提案する複数の表現のなかからどれを選ぶのかは別の問題です。これはAIを使いこなすロジック、相手がどう感じるかといった感覚、バックグラウンドへの理解がないと難しいものです。さらに自分なりの思考をもって解決しなくてはならないとなると、より高度な語学力が求められるかもしれません。同じ言葉でも、国籍などによって伝わり方が変わるのであれば、相手の文化を意識した表現を選ばなくてはならないのです。このAI時代、相手との違いを知り、どう自分で考え、実行していくか——言葉、思考、行動がとても重要になってくると思います。

「3つの軸」を大切に これからの日本を担う人材を育てる

私たちの建学の理念は「言葉は世界をつなぐ平和の礎」です。戦後、これからの日本を担う若い人たちが国際的に活躍するための支援をしようと創立されました。現在、大学も含めて3つの教育機関と2つの関連企業を展開していますが、教育を通じて学生が社会に出ていく自信を育み、卒業後により良い人生を歩むための素地を整えられるよう支援していきたいと考えています。

私たちの教育の軸となるのは、先ほどお話しした、言葉、思考、行動です。

まずコミュニケーションのベースである「言葉」。特に英語力に関して、学生のモチベーションを上げるには、学びを可視化できるTOEIC Programが極めて有用なシステムだと思います。スコアが上がれば英語力に対する自信だけでなく、自己肯定感の向上にもつながるからです。神田外語学院では、卒業の必修要件としてTOEIC L&Rを定期的に受験してもらうようにしています。

そして、AI時代において、より重要になってくる「思考」。本校は国内や海外の大学への編入学が可能なコースを設けていますが、学生たちの目指す学部は様々です。そこで、進路に合わせた専門知識を教えるよりも、学び方や課題解決のプロセスに重点を置いて指導しています。知識にもとづく処理はある程度までAIでまかなえます。これからの時代に必要とされるのは、物事の成り立ちや過程を結び付けて解決策を見出す力です。すなわち、自分で考え、社会の中で活かしていくための実践的な教養です。ゴールに達するためのプロセスを学ぶことは、社会に出た際にも困難を乗り越える力になるのではないかと思います。

「行動」については、本校を例に挙げると、企業でのインターンシップや、海外の公館でサポート業務を行う外務省在外公館派遣員制度*などへの挑戦です。ありがたいことにインターンシップには多くの企業からお声がけをいただいており、学生たちはこの取り組みを通じて社会の仕組みの一端を学んでいます。また、在外公館派遣員として働くことは、語学力のみならず実務力、国際対応能力の向上につながると思います。2026年1月時点で神田外語学院および神田外語大学の在校生・卒業生の274名が在外公館派遣員の試験に合格し、世界を舞台に活躍しています。

「授業のなかだけで教育が終わってはいけない」というのが私たちの考えです。本人の選択肢になかったことにも挑戦する機会を与え、個々の可能性を広げたい。その一心で教育にあたっています。

“学び方”を知ってもらうことでどんな道にも対応し、結果を出せる人に

これからの社会は、国籍や文化の違いを超えて、多様な人々が共に生きる時代へと進んでいきます。そのなかで若い世代を日本で教育し、世界へと送り出すと同時に、日本国内における多文化共生社会の担い手となる人材を育成する——その両軸を担う教育機関となることこそが、私たちの次の使命であると考えています。社会環境の変化に応じて教育の中身を変えていくことは容易ではありませんが、言葉を軸としながら、時代に合わせ柔軟に発展していく教育を作り上げていくことが大きな目標です。

そして最終的に、私たちは生涯学習者を育てたいとも考えています。語学学習の成功体験を通じて“学び方”を習得できれば、たとえ進路を変えたとしてもそのスキルを応用できるでしょう。こう学べばきっと成功する、結果を出せる、という自信を持ち、学習を継続できることが学びの本質だからです。本校の卒業生たちにはこのスキルをもって、様々なことに挑戦し続けてもらいたいですね。

神田外語グループ×IIBC 共催セミナー

神田外語グループ×IIBC 共催セミナーを開催しました

2025年12月20日(土)に神田外語学院にて、高校や大学の英語教員を対象に「英語学習者のやる気を育む英語教育実践」と題したセミナーを開催。神田外語学院の教員によるTOEIC Programを活用した模擬授業を行い、学生のモチベーションや英語力を向上させる具体的な工夫や指導のヒントが紹介されました。

神田外語学院/神田外語大学卒業生 学校での学びと切り拓いた道

神田外語学院を経て神田外語大学で学び、英語力を活かして現在は外務省で活躍している石原芙美香さん。在学中に得られた学びや卒業後の進路選択、現在のお仕事についてお話をうかがいました。

石原 芙美香さん

外務省 大臣官房要人往来支援総括官室
主査
石原 芙美香 さん

2012年、神田外語学院 英語専攻科卒業。2015年、神田外語大学 国際コミュニケーション学科卒業、IT企業に入社。2018年より2年間、在インド日本国大使館在外公館派遣員として勤務。2020年4月より外務省勤務。

いわゆる高校の「英語科」に通っていたものの、私自身、当時はまったく英語に向き合えていませんでした。志望大学には残念ながら受からず、それでも何かしら学びを続けようと、神田外語学院に進学しました。将来のビジョンもなく、ぼんやり過ごしていたのを覚えています。

1度目の転機になったのは、学内で見かけたポスターでした。冬のイギリス短期留学です。何かを掴みたい想いで挑戦を決意。高校時代からそれなりに英語をやってきたつもりでいたのに、まったく英語が話せない自分に愕然としました。その絶望と悔しさが、初めて本気で英語と向き合うきっかけになりました。

帰国後、必死に勉強に取り組んだことで、TOEIC L&Rのスコアが500点程度から860点まで伸びるとともに学びへの意欲が高まり、姉妹校の神田外語大学への編入学へとつながりました。大学在学中に今度はアメリカの大学に1年間の“リベンジ留学”をして、ビジネスやホスピタリティを学び、現地企業でインターンも経験しました。海外で働くことへの憧れが、この頃から具体的になってきたと思います。

就職活動では海外展開している企業を中心に受けていましたが、友人が在外公館派遣員を目指しており、学内で実施している対策講座に軽い気持ちでついていったのが私の2度目の転機になりました。担当の先生の熱い想いに感化され、活躍する先輩方の話を聞いているうちに、「この仕事を絶対にしたい!」と感じました。夢中で勉強しましたが、結果は不合格。強い悔しさを抱きながらIT企業に入社しました。

会社では英語力を買われて、海外企業との協業プロジェクトに抜擢され、やりがいのある毎日でした。上司や同僚にも恵まれ充実していたのですが、心のどこかで「私の人生、本当にこのままでいいのか」という思いがくすぶっていました。そして社会人3年目に、在外公館派遣員への再挑戦を決意。当時の先生に報告した際、「必ず戻ってくると思っていた」と言われ、改めて自分の気持ちが固まりました。

半年の猛勉強の末、念願の在外公館派遣員試験に合格しましたが、内定先は約80カ国の中で唯一希望していなかったインドだったんです。意を決し赴任したものの、インドでの日々は想像以上に大変でした。日本では考えられないようなことが日常茶飯事で、キッチンが爆発したり、ハトが家にすみついたり。仕事でも、事前にしっかり担当者と調整したはずなのに、当日現場に行くと「あいつは村に帰ったよ!」と言われるような日々……。とまどいながらも「やれることをすべてやりきろう」と決め、次第に状況を受け入れられるようになりました。何が起きても動じない心と、その場で瞬時に判断して対応する力が鍛えられたと思います。

在外公館派遣員の任期は2年間でしたが、後半は積極的にいろいろな業務に挑戦させていただきました。国際会議で日本の要人をサポートしたとき、無事に終了して現地スタッフが涙を流して喜んでくれたのを見て、この仕事のおもしろさを感じました。

赴任中に外務省の採用試験を受け、現在は本省で外国賓客の訪日調整を担当しています。まさに今、学生時代に培った英語力と異文化理解が、日々の業務で活かされています。

最初は何も目標がなく、ぼんやりしていた私に、英語と真剣に向き合うきっかけを与えてくれたのが神田外語学院でした。そして大学ではさらに学びを深め、本当にやりたいことを見つけることができました。また、TOEIC L&Rのスコアは、就職や転職での私の大きな武器になりました。後輩の皆さんには、今うまくいかなくても決してあきらめないでほしいと伝えたいです。失敗も含めた経験がすべて、必ず未来の自分へとつながっていきます。

 

  • 外務省在外公館派遣員制度:語学力を活かし、海外の日本国大使館や総領事館などの公館の後方支援的業務を担う者を派遣する制度。任期は原則2年。
  • TOEIC L&RはTOEIC Listening & Reading Testの略称。

 

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