- 英語学習
- コミュニケーション
- TOEIC S&W
スピーキング力を正確に測定しながら、実践スキルの獲得を後押しするTOEIC Speaking Test。そのスコアが多くの企業や団体から信頼され、活用される背景とは?
テストの高い品質を支える設計や、評価の信頼性を担保する採点方式について、国際ビジネスコミュニケーション協会(以下、IIBC)調査研究課の小松玲子が解説します。
TOEIC Speaking Testが測る
英語のコミュニケーション能力とは
TOEIC Speaking Test(以下、本テスト)は、英語による効果的なコミュニケーションに必要な「話す」能力を測る実践的なテストです。ビジネスや日常生活で英語を使うシーンでは、自分の意図を的確に伝えることが重要です。特に多様な相手とのやり取りが求められるグローバル環境では、ネイティブやノンネイティブの英語話者にとって、「理解しやすい(intelligible)」英語で話すことが求められます。このため、本テストはネイティブのような流暢さをゴールとするのではなく、自分の考えを自分の言葉で相手に明瞭に伝える力、つまり、しっかりと「意思疎通できる」力に重点を置いています。
本テストでは次の3つの側面から、スピーキングの総合力を測定しています。
- 英語のネイティブスピーカーや英語に堪能なノンネイティブスピーカーに理解しやすい言葉で話すことができる。
- 日常生活および業務上のやり取りにおいて、適切に言葉を選び、使うことができる(例:指示を出す・受ける、情報や説明を求める・与える、購入・挨拶・紹介することができる等)。
- 一般的な職場において、筋道の通った継続的な発話ができる。
各問題の評価基準は次のように設定されており、問題ごとにそれぞれの角度や切り口から発話を引き出すよう、精密に設計されています。
冒頭の「音読問題」で発音、イントネーションやアクセントといった「話し方」の部分を分析的かつ詳細に評価し、それ以降の問題では、話し方だけでなく、自分の考えを自分の言葉で適切に表現して伝える力を測っています。テストの後半に行くにつれ、評価観点が増えていき、より多くの側面からスピーキングのパフォーマンスを引き出すことで、総合的に評価する構成になっています。
スコアで予測できる リアルなスピーキング力
私たちは日常生活で、言葉を使って情報や思いを表現し、相手に伝えるといったコミュニケーションのタスクを絶えずこなしています。本テストでは、そんな私たちが国際的な職場や日常に身を置いた際に直面する、リアルなコミュニケーションのタスクを問題として出題し、英語を用いてどのくらい効果的に遂行できるかを評価します。
こうしたタスクを中心としたテスト設計がもたらす利点として、(1)スコアと現場での評価のギャップが生じにくい、(2)テスト対策が実践対策になる、ことが挙げられます。
まず(1)については、本テストでは受験者にリアルなコミュニケーションタスクに実際に取り組んでもらい、そのパフォーマンスを直接評価します。つまりスコアは「実際に英語を話した結果、どのくらい効果的に意思疎通できたか」を数値化したものであり、「実社会で発揮できる力」を直接予測しています。そのためスコアと現場評価とのギャップが生じにくいのです(下部「TOPICS」【リサーチ情報】参照)。
これを自転車の運転に例えると、テストで「自転車に乗ってまっすぐな道を5分間走る」という課題で高いパフォーマンスを見せた人なら、現実世界でも、直進5分の場所にある駅まで自転車で行ける可能性は高いでしょう。一方、基礎力(筋力やバランス感覚など)のみを測定するテストであれば、現実世界で自転車に乗って走れるかどうかまでは、パフォーマンスを直接評価しているわけではないので判断できない、ということです。
もちろん、タスク中心のテストが唯一の正解ではなく、基礎力の把握も潜在的な能力を予測するためには非常に有用です。テストを有効に活用するためには、どのような能力を測りたいのか、その目的に沿うことが大切です。
次に(2)ですが、本テストに向けた対策が実践力の向上に直結しています。出題されるコミュニケーションタスクを、実際に自分が英語を話すシーンに置き換えて練習してみてください。テストのための学習がリアルな場面での予行演習になり、自ずとスピーキング力が向上していくでしょう。
実際にコミュニケーションタスクに取り組んでみて、つまずいたり気づいたりしながら試行錯誤し、英語の運用力を上げていく。まさに自転車と同じですね。ぜひ安心して「テスト対策」、つまり「実践的な予行演習」に取り組んでいただきたいと思います。
独自の採点システムにより高い信頼性を実現
本テストは人による採点を採用していますが、偏見や先入観を含むヒューマンエラーを最小限にするために、独自の採点システムを開発・運用しています。採点は訓練を受けた有資格の採点者が行います。受験者1人に対して最低3人が採点しているのが特徴で、採点者は問題ごとに変わります。さらに、採点する問題を、受験者の属性を隠してランダムに採点者に振り分けることで、偏見や先入観が入った不適切な採点を防いでいます。また、採点者は毎日、採点の正確度を測るテストを受け、合格できなければその日の採点をすることができません。厳しい管理の下で採点されたスコアは世界各国の企業や団体の信頼を獲得し、就職や昇進などの重要な意思決定の指標として活用されています。
採点システムについてはこちら
TOEIC Speaking Testついてはこちら
【リサーチ情報】スコアと実社会での評価が合致
本テストのスコアが「実社会におけるスピーキング能力の評価と合致している」ことを示す調査結果が公表されています。この調査では、専門的な採点訓練を受けていない、国際的な職場で働くビジネスパーソン(アジア・欧州・中東・南米の10カ国の英語話者100人)が受験者(99人)の回答を聞き、「わかりやすさ」「タスク達成度」「一貫性」「円滑さ」という観点からコミュニケーション力を評価しました。その結果、訓練を受けた採点者によるスコアと、当該ビジネスパーソンによる評価の間に高い相関が見られ、本テストのスコアが実際の現場における評価とほぼ合致していることが示唆されました。

[ 参考文献 ]
Schmidgall, J., & Powers, D. E. (2021). Predicting communicative effectiveness in the international workplace:
Support for TOEIC® Speaking test scores from linguistic laypersons.Language Testing, 38(2), 302-325.
IIBC マーケティング部 調査研究課
小松 玲子
アウトリーチのスペシャリスト。言語教育・テスティング分野の調査報告レポートやアウトリーチ記事の執筆に携わる。英語学習者向けの教材開発にも従事。
おすすめ記事
TOEIC Speaking Test採用企業に聞く!英語でのコミュニケーション力を高める施策とは
小枝 英孝さん
アズビル・アカデミー人材育成グループ
栗原 晴美 さん
アズビル・アカデミー人材育成グループ
石井 まゆみさん
「エア会話」や「実況中継」といったアウトプットの学習を取り入れる
田中 慶子氏
英会話学習のプロに聞くスピーキング力の高め方
西牧 健太さん
合同会社DMM.com
佐藤 奈美さん
IIBC
永井 聡一郎
「完璧」ではなく「伝わる」を目指す!世界の共通語としての英語(ELF)とは?
瀧野 みゆきさん

