英文メール強化塾 相手を動かすライティング戦略
Just a little reminder . . . please don’t ignore me.
目的 |
日本語版マニュアルを取得すること、またはこちら側で日本語版を作成する許可を得ること |
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状況 |
【念のため、いま一度連絡させていただきます……無視しないでください (ToT) 】 日本の証券会社AGJ社に勤務するカトウさんは、世界有数の海外証券取引所MOSE(仮名)に対して、MOSEへの株式上場を検討している企業向けの日本語マニュアルがあるかどうかについて、問い合わせた。特に、MOSE Listing Application Manual(MOSE上場申請マニュアル)という出版物への興味を伝えてある。 もし、そのような翻訳マニュアルがないのであれば、カトウさんは、AGJ社側で非公式の翻訳版を作成し配布する許可がほしい。すでに複数のAGJ社顧客が、そうした翻訳版があるのかどうかに関心を示している。 カトウさんは3週間前にMOSEへ問い合わせのメールを送ったが、まだ返答をもらっていない。 |
力関係 |
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戦略 |
カトウさんとしては、今度こそMOSEに無視されないフォローアップの催促メールを送りたいけれど、担当者はおそらくプライドのある専門家であると思われるので、くれぐれも無礼や侮辱的なメッセージにならないようにと考えています。 |
表現の強さ |
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ポイント |
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強化メールの解説
1.無視されにくくする
- → Purchase of
- 相手に読まれないメールに返事が来るわけありません。ですから、カトウさんはSmith氏にメールを読んでもらうために、魅力的で興味深い目的を添える工夫をしています。ただ文書をほしいというよりも購入したいと伝えるほうが、Smith氏とMOSEにカトウさんのメールをもっと読む気にさせます。
2.進捗をにおわせる
- → follow up
- 実際にはカトウさんは前回のメール内容を繰り返しているだけですが、“follow up”という表現で進捗がある雰囲気を醸し出します。
3.確認しやすくする
- → my email of August 15
- “my previous email(前回のメール)”と単に伝えることもできますが、日付を特定することで、相手にとってそのメールを見つけやすく、かつ思い出しやすくすることができます。
4.問い合わせをより魅力的にする
- → regarding purchasing
- カトウさんがSmith氏とMOSEにとっての利点を強調できれば、つまり今回のケースでは、その日本語版マニュアルを単にAGJ社へ提供するのではなく、AGJ社がMOSEから購入するということを強調すれば、相手はカトウさんの問い合わせを無視せず、むしろ返答したくなるでしょう。
5.相手に思い出させることで扇動する
- → one more time
- 近ごろは、多くの人が一日にたくさんのEメールを受信することで、そのうちの幾つかをただ単に返答し損ね、忘れてしまうことがよくあります。“one more time”というフレーズはほどよくやさしいリマインダーとして、2度目であることを相手に失礼なく伝えることができます。
- 相手が常識あるビジネスパーソンであれば、最初のメールに返答し忘れたことを思い出して、すぐに返答する気になるはずです。
6.問い合わせを売り込む
- → more than 30 Japanese clients who have asked specifically for help
- 自己紹介で相手にとって自分がいかに有益かを詳細に示すことができれば、こちらを無視することなく返答してくれるでしょう。すでに日本市場における約束された便益があるのですから、相手はすぐに返答するはずです。
7.2度目の機会としてリマインドする
- → If you don’t mind, . . . ask you once again
- このリマインダーは、Smith氏が最初のメールへ返答しなかったことを直接的に伝えており、若干のいらだちをにおわせますがカトウさんはビジネスオファーをしており、この文の冒頭に“If you don’t mind”もつけているので、Smith氏はおそらく、これを失礼だとは思わないでしょう。
8.頼みごとをしているのではないことを強調する
- → available for sale
- いま一度ですが、カトウさんはSmith氏へビジネスオファーをしているのです。
9.締め切りを設定するための締め切りを利用する
- → will be changing at the beginning of fiscal 2015
- カトウさんはただ返事がほしいのでなく、時宜にかなった返事を依頼します。Smith氏が対応すべき期限をほのめかすために、AGJ社とその顧客に迫る締め切りを伝えます。
10.相手を安心させる
- → an unofficial translation
- そのマニュアルがMOSEの知的財産であることから、財産権の侵害を危惧するかもしれません。そこで、翻訳版を“unofficial(非公式)”と呼ぶことで、MOSEとして少し緩く考えられるかもしれません。少なくとも、MOSEに条件交渉の対話を開かせやすくなります。
11.いかに容易であるかを強調する
- → just a minute
- Smith氏は、すでに1度カトウさんを無視していますので、今回は手間がかからないことを強調するやり方で、MOSEマニュアル担当スタッフの連絡先を尋ねます。