英文メール強化塾 相手を動かすライティング戦略
Nice to meet you. Now could you cut this price?
目的 |
初めてのメールで、請求内容を修正してもらうこと |
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状況 |
【初めまして。早速ですがこの料金を削ってもらえますか?】 貿易会社AGJの営業本部でアシスタントマネジャーとして勤務するカトウヒロシさんは、つい最近、米国の取引先ABC社との調整役に任命された。着任早々、ABC社からの請求書に問題が発覚したため、同社製XY機器のリースに関する請求内容について、販売担当のJohn Smithさんにメールを書かなくてはならない。AGJは、日本国内の顧客であるDEKK社の代理でABC社からXY機器を輸入した。 ABC社からの請求書には、XY機器のレンタルフィーのような形で、その使用期間が含まれる。しかし、今回の請求書には、XY機器をDEKK社へ送る前に必要な政府の検査期間も含まれていた。 |
力関係 |
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戦略 |
カトウさんは、ABC社との調整役としてこの業務を引き継いだばかりですから、まずは相手にこちらを軽視させない自己紹介をする必要があります。そして、着任後最初のタスクとして、XY機器の使用料を少なくしてもらうため、請求内容を修正するよう相手を説得しなければなりません。 |
表現の強さ |
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ポイント |
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強化メールの解説
1.非対立的な姿勢でこちらの目的を紹介する
- → Adjustment
- カトウさんが求める具体的な“adjustment”は料金の値下げですが、相手の協力を促すために、よりニュートラルな単語を選びます。
2.相手に自分との関係を大切にさせる
- → I will be the person working with you
- 協力的なトーン(working with you)を使い、SmithさんがABC社のビジネスにおける目的を実現するために、今後一緒に働かなくてはならない人物であることを示唆しながら、カトウさん自身を紹介します。
3.トピックを先行する
- → on your XY unit business
- 初めてのEメールで、自己紹介の前に仕事の用件(the XY unit invoice)から書き始めることは可能です。しかし、名乗る前から “I’m writing to ask you to reduce the amount of your invoice 12345” と、相手に要望すべてを伝えるのは少し攻撃的すぎるかもしれません。なぜなら、カトウさんはまだこのような依頼をする権利を確立していないからです。 まずは自己紹介をし、それから仕事の目的を伝えるという慣例的な順序でも、もちろん問題はありません。
4.会話的な挨拶で書く
- → I’m looking forward to working with you
- “How do you do” は会話でのみ使われますが、“looking forward to working with you” は初めて送るEメールの挨拶として利用できます。
5.相手をしのぐ力がない場合に他者の力を使う
- → On behalf of the Business Group and Mr. Sato
- このEメールを書く時点では、カトウさんには相手に対する影響力があまりないため、自身の所属グループと、そのなかでSmithさんと面識があり、かつSmithさんが敬意を払うと思われる人物(Mr. Sato)のもつ力を行使すると有効です。
6.丁寧に問題を提起する
- → I would like to make a request regarding ...
- カトウさんは、難しい問題を謙虚かつ丁寧に提示します。
7.全般的な問題から具体的な依頼へと移行する
- → In detail
- すでに問題を提起したので、この表現を使い、カトウさんが求めているアクションを具体的に伝えます。“Specifically” を使うことも可能です。
8.依頼の要件をきちんと伝え、それから説明する
- → your understanding in removing government inspection time
- 最初にビジネスの目的を伝え、次にそれを実現するための事実に限ることで、回りくどい長話になるのを避けます。今回の場合、ひとつの文章だけで、必要なすべてのことを説明しています。
9.避けられない法的要件として問題を位置づける
- → the government requires their inspection
- AGJの問題としてではなく、政府の要求事項に重点を置きます。もしカトウさんがAGJの状況を説明するために “We have to obtain government approval” と書くと、ABC社は「現地の事情はAGJが解決すべきことであり、我々ABC社の問題ではない」と返答してくるかもしれません。
10.現在の問題を今後の解決策へと広げる
- → for this invoice and in future invoices
- 今回のケースを将来のモデルケースとして提示することで、反論内容を今後の対策にも適用します。