英文メール強化塾 相手を動かすライティング戦略
We know it’s tiny sum but we do need to get it.
目的 |
送料の不足分を送金してもらうこと |
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状況 |
【大した額でないことは分かっていますが、それでもいただく必要があります】 AGJ社で配送業務を担当するカトウヒロシさんは、顧客の支払い状況を管理している。 通常、カトウさんから顧客へ提出する出荷物の見積書には送料が含まれている。しかし、出荷する商品の価格とは違い、送料は発送するまで正確には分からないため見積もるしかない。今回ABC社は見積送料(請求額より少ない)を送金してきたので、差額の支払いを依頼する必要がある。 |
力関係 |
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戦略 |
ABC社への出荷は初めてではないので、この見積送料/実際の送料の手順について、相手もおそらく分かっているはずです。ABC社の単なる手違いか、あるいは節約のために通常の手順を無視したのかもしれません。 |
表現の強さ |
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ポイント |
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強化メールの解説
1.相手の状況に共感を表す
- → I’m afraid I have to ask you
- Maryさんが追加送金手続きをしなければならない状況に対して、申し訳なさそうなトーンを使うことで相手への同情を表します。
2.最初の証拠書類を示す
- → our Preliminary Invoice (PI)
- カトウさんとMaryさんの間に完全な理解があれば、今回の問題は起きなかったはずです。しかし残念ながら、少なからず誤解があるので、カトウさんは段階的に議論を展開していきます。Maryさんの信頼を得るために、ここではまず、文書に言及することで状況説明に入ります。
3.状況説明のための重要証拠を示す
- → the actual transport charge
- これで、事実上、送料は見積額と、実際の支払い義務を負う実費のふたつの数字があることを立証します。
もしカトウさんが、今回の支払い状況が相手の単純なミスだと信じるなら、このような論理的説明は必要なく、シンプルに依頼すれば十分です。
4.権威ある文書を示す
- → our Service Supply Manual, 2.1
- この文書は、企業間(AGJ社とABC社)の長期的な取り決めの一部を成すもので、契約書とほぼ同じ力があり、Maryさんがカトウさんの依頼を断ることはかなり難しいはずです。
もし書き手と読み手の間に信頼関係があれば、相手を動かすことを目的とするこのような手法は必要ありません。
5.詳細な説明を加える
- → the actual transport charge is the amount in our Invoice
- この説明は細かすぎて、相手に落ち度がない場合には失礼に当たるかもしれませんが、今回のように相手が間違えた(誤解した)ケースでは、判然たる説明を加えることで、手順を十分に理解させます。
6.証拠を相手の手元に送る
- → our PI (attached)… (Invoice, attached)
- Maryさんのデスク周りに該当文書が見当たらないかもしれません。このようにメールに添付することで、時間を短縮し相手の言い訳も防ぐことができます。
また、“Please see attached” や、“I have attached the PI and the Invoice for your reference” と書くこともできますが、シンプルに “attached”だけでも十分です。
7.個人的な対立を避ける
- → The remittance we received
- もし、直接的に相手に問題を提示したければ、“your remittance” または “the remittance you sent”と表現することもできます。しかし、ここでは不要な対立を避けるために、“you”を使わずに伝えています。
8.締め切りを示す
- → by November 30
- 締め切りは、「命令」に近い力をもちます。今回のように顧客に対して締め切りを指示することは難しいので、丁寧な依頼表現 “We would appreciate it if you could . . .” を使って丁重に期限を伝えます。
“The customer is King.”(意訳:お客様は神様です)といいますが、お金の問題となれば話は別です。