英文メール強化塾 相手を動かすライティング戦略
Are you really going to cancel what the rich customers love?
目的 |
日本の富裕層が好むことを、継続させてもらうこと |
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状況 |
【富裕層のお客さまが好むサービスを、本当にとりやめるつもりですか?】 海外化粧品ブランドの日本支社GC Japanの東京オフィスで、PR担当として勤務するカトウヒロミさんは、海外の本社スタッフであるMarie Smithさんと共に、今シーズンの日本向けPR素材についてプランニングを行っている。 GC Japanでは昨年までずっと、新シーズンのキャンペーン用に高品質紙を用いたブックレットを制作してきたが、本社が今シーズンから紙媒体をやめて、Eメールで配信するデジタルカタログに切り替えたいという。 |
力関係 |
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戦略 |
実際のところ、カトウさんがどれだけ反対しても、決定権をもっているのはMarie Smithさんです。このパワーバランスを変えることはできません。ですから、相手の地位を尊重し、真に敬意ある態度で、ビジネス的観点から説得力のある理由を提示してみましょう。 |
表現の強さ |
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ポイント |
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強化メールの解説
1.敬意を表しながらお願いする
- → I wonder if you would allow me to . . .
- 相手に話しかける許可を求めるこの表現で、カトウさんが相手の地位を認識していることを伝えます。「これほど丁重に言わなくてもいいのではないか?」という見方もあるでしょうが、この表現で依頼されたMarieさんは、カトウさんの話に耳を傾けざるを得ないことに留意しましょう。
2.反対をにおわせない
- → share some thoughts with you
- カトウさんはキャンペーン素材の問題に関する言及を控えていますが、実際には、Marieさんもこの時点で状況を理解しはじめているかもしれません。
3.自分をグループの一員にする
- → from the staff here
- 意思決定者であるMarieさんと比べると、カトウさんの力関係はどうしても弱くなります。そこでその弱さを補うために、日本チームのスポークスパーソンとしての立場を利用して、自身の信頼性を高めます。もしカトウさんとMarieさんが業務上長い間緊密な関係であれば、すでに相手から十分な信頼を得ているでしょうから、これは必要ありません。
4.最初の議題に対して極めて好意的な姿勢を見せる
- → excited about approaching our customers
- デジタルカタログというコンセプトへの熱烈な歓迎を示すことから始め、続けて、このコンセプトを支持する詳細な理由を加えています。その後で、この見通しについての不安を説明していきます。
5.問題点の最初のヒントをほのめかす
- → Secondly, however. . .
- これから論点や異議が出ることを、相手に直感的に予測させるシグナルになります。
6.妥協案で意思の相違を緩和する
- → at least for a while
- 文の前半部分で、カトウさんはMarieさんのスタンスに反する提案をしますが、すぐにこの提案が期間限定であることを知らせます。そうすることで、Marieさんにとっても、反論されている気が和らぎます。
7.信頼性を増す
- → our Sales department reports that
- カトウさんの見解を後押しするために、営業部門からのデータを報告します。信頼性のあるデータソースは、Marieさんの決断に影響を与えるはずです。
8.信頼性のあるほかのデータソースを示す
- → our most important customers
- もちろん、富裕層の顧客による購買が売り上げの大きなシェアを占めているということを意味しています。Marieさんとしても、この大切なお客さまの声を無視できないだろうと想定しています。
9.最後にもう一度、相手のことを支持する
- → build the digital platform, including our email database, as quickly as we can
- このカトウさんの発言はMarieさんの提案に対する強力な支持を約束しています。ただし、現時点における日本国内のEメール登録数が不十分であることを含んで伝えています。
10.相手の提案を第一に考えていると含意する
- → while supplementing it
- この表現によって、補助的な位置づけで紙媒体によるPRを維持しつつ、デジタルカタログを使ったプランが今後の主要なPR戦略となることを受け入れます。これも、しばらくの間、紙媒体のPR継続を受け入れてもらうための策です。