エーザイ株式会社 エーザイ・デマンド・チェーン・システムズ 戦略企画部 日本・アジアタレントマネジメントグループ

グループ長 松永 浩史 氏 / 中西 拓也 氏

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2018年7月号

英語研修と業務を結びつけることで相乗効果を生み出す

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工場のグローバル化に伴い海外とのやり取りが増加

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松永氏

私たちが所属するエーザイ・デマンド・チェーン・システムズ(EDCS)は製薬企業であるエーザイにおいて生産を担う部門です。当社は1970年にインドネシアに製造会社を設立したのを皮切りに海外への工場展開を進め、現在ではアメリカ、イギリス、中国、インド、インドネシアで工場を稼動しています。進出当初はそのエリア向けの医薬品供給が中心でしたが、今では海外から日本へ、日本から海外へ、そして海外から海外へと製品などを供給する体制を敷いています。積極的に海外展開を進めた結果、今では部門の従業員の半数以上を外国人が占めるようになりました。また、日本の工場で働いていても海外工場との情報交換や海外当局との協議など英語を使う場面が増えており、工場従業員のうち2〜3割は英語を使う環境に置かれています。海外志向のある生産技術・管理者にはまさにうってつけの環境です。最近では学生もそれをよく知っていて、EDCSを志望するグローバル志向の学生が増加しています。

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日本と海外の社員を交流させる「グローバルモビリティ」

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中西氏

EDCSでは研修で学んだことをアウトプットできる仕組みを大切にしています。中長期的な視点でグローバルビジネスリーダーを育成することを目標とし、2つの研修を展開しています。
その1つが、2000年に開始した「グローバルモビリティ」というプログラムです。グローバルモビリティは国を超えて社員を短期間派遣するプログラムで、例えば「日本からアメリカへ」「インドから日本へ」、といったさまざまなパターンがあります。日本から海外の工場へ派遣する期間は1ヵ月~6ヵ月で、最近は毎年3名程度を派遣しています。毎年応募者が定員を上回るため、面接を通じて目的やキャリア像がより明確で、その実現に向けた強い意志を持つ社員を選抜しています。また、面接後、応募者1人1人にフィードバックをすることも大切にしています。仮に面接で不合格になったとしても、彼らに気づきを与えることができ、その後のモチベーションの維持・向上に直結するためです。

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松永氏

単に海外で過ごす、というだけでは効果が不十分であるため、業務と研修を交えたプログラムにしています。業務を通じて現地の人とコミュニケーションを図った結果、技術面での成長のみならず、お互いの文化の理解が深まることもメリットの1つだと感じています。実際、過去に日本から派遣した社員の多くが現在もグローバルな役割を担っています。
一方、海外工場から日本へ来るケースにおいて、ほとんどの派遣者は日本語を話せないため、日本で受け入れる社員は英語でコミュニケーションしなければなりません。現状ではまだコミュニケーションに苦労するケースもみられますが、今後スムーズに受け入れられるよう各組織をレベルアップしていくことが私たちの目標です。

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英語を使って異文化理解を深める「英語研修」

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松永氏

日本国内のみで実施しているもう1つの研修が、3年前から導入した「英語研修」です。入社2年目の若手、昇格直後の中堅社員、および登用直後の管理職を対象としてます。
世界中で英語を教えた経験があり高いスキルを持つ外国人講師を招き、2日間×2回、計4日間で構成される研修です。研修中は一切日本語禁止のため、参加者は四苦八苦しながら学んでいます。本研修での学びをアウトプットするため、受講者に対してはグローバルモビリティで来日した海外社員のアテンド役をお願いしています。
この英語研修はグローバルモビリティ同様、「英語で異文化とのコミュニケーションをとること」を根幹に置き、とにかく手と口を動かす実践的なスタイルになっています。講師と綿密な打ち合わせを重ねて当社独自のプログラムを策定しており、さらに毎年改善を加えています。

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TOEIC® Testsは研修成果のベンチマーク

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中西氏

英語研修の前後にはTOEIC Testsを研修参加者に受験してもらい、研修成果のベンチマークとして活用しています。特に、昨年からは従来のTOEIC Listening & Reading Testのみならず、TOEIC Speaking & Writing Tests(以下、TOEIC S&W)を導入しました。積極的なコミュニケーションを実践するためには話すことと書くことが特に重要です。TOEIC S&Wは日々の業務で経験するような実践的な問題が多くあり、研修の成果を確実に測定する指標として役に立っています。研修後は、スコアが上昇している社員が多く、結果のフィードバックを通じて社員の英語に対するモチベーションにもなっているという声をよく聞きます。

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研修はあくまでも1つの手段

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松永氏

私たちは英語研修を単体で独立させるのではなく、業務と連携させることで、より効果のあるものにしたいと考えています。したがって受講者には、実際に業務で英語を使う機会をどんどん与えていくようにしています。
今後は研修を行うだけでなく、どういう職場を経験させるかなど、計画的なキャリア形成が重要になると考えています。研修はあくまでも1つの手段ですので、研修に限らず英語に触れる機会を増やし、グローバルビジネスリーダーを育成するという目的を達成できるようさまざまな工夫をしていくつもりです。

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