English Frontline

2019年7月号

グローバル化する社会のニーズに備え、学びの輪を広げ医療英語のスキルを高める

医療英語を学び続けたいという声が高まりMELSAを結成

異国の地での病気やケガは最も困ることの1つです。立場を変えて考えると、日本語をあまり話すことができない外国人が日本の医療機関を訪れた時の不安や戸惑いを、理解することができると思います。
そのような中、特定非営利活動法人医療英語学習支援協会(Medical English Learning Support Association:以下、MELSA)では、参加者を募り医療英語・英会話について学んでいます。結成されたのは2013年のこと。きっかけは、厚生労働省の求職者支援制度を利用して、民間の教育訓練機関で医療英語を学んでいた受講者の間で、「受講期間修了後も引き続き学び続けたい」という声が高まったことにありました。その時、同教育訓練機関で講師を務め、医療について博士(保健学)の学位を有する大森厚子さんも、有志の方々と一緒にMELSAの活動を始めることになりました。
現在MELSAでは、飯田橋(東京都)、横浜・湘南藤沢(神奈川県)、札幌(北海道)の4会場で講座を開講しています。

参加者の学習経験に合わせて演習を行うレッスンスタイル

MELSAの主な活動は、各会場で毎月開講している「医療英語・英会話」ミニレッスンです。2018年は、医療機関を受診する際の様々な場面、例えば受付や会計、診察・検査・手術・入院・救急外来などで必要な英会話と、解剖学・生理学・病理学分野の基礎知識や専門用語の英語表現を学習しました。また2019年は、内科系や外科系の様々な疾患に関する医療英語を学んでいます。講師は代表の大森さんご自身が務めています。
「レッスン中は、ペアワークを含め参加者の発話量を多くするようにしています。医療英語の学習経験が長い方は、英語の会話文を日本語に、日本語の会話文を英語に訳す演習をされますし、初回参加や学習経験の浅い方は、英文の読み合わせでロールプレイ演習をするなど、臨機応変に皆さんが楽しんで学習しています」と、大森さんは話します。
レッスンには医療関係者はもちろんのこと、医療業界以外の方も多く参加しています。中には、自治体の予防接種の会場で通訳を担当するなど、勉強した成果を医療通訳ボランティアに生かしている方もいます。また外国人向けの不動産会社で働いている方は、契約者から病気や病院に関する相談を受けた時にきちんと対応できるように、MELSAで勉強しているそうです。

講師として、整形外科の医師である尾崎大也さんを招き行った、スペシャルセミナーの様子

招へい講師によるスペシャルセミナーを開催

セミナーの締めくくりとして、英文をネイティブスピーカーが読み上げ、受講者が復唱しました

MELSAでは、ミニレッスンのほか第一線で活躍している医師や薬剤師、医療通訳者などを講師に招いたスペシャルセミナーも、月に1回程度開催しています。これは、講師ご自身の専門分野を中心としたテーマを自由に設定していただき、講演やグループワークなどを行ってもらうというものです。講師陣とのネットワークは、大森さんが学会やシンポジウム、セミナーなどに足を運び、MELSAの活動にご理解・ご協力をいただけそうな方に直接お声掛けをすることで、築き上げています。
医療英語や医療通訳の重要性が、今後もますます高まっていくことが予想される中、大森さんは、スタッフや参加者の協力の下、MELSA設立当初の有志の方々の志と取り組みが実を結び、日本社会の中で医療英語・英会話の学習の輪が大きく広がっていくことを願い、日々活動に取り組まれています。