「英語活用実態調査」に見る企業・団体、ビジネスパーソンの英語事情

IIBCは、TOEIC Programを活用している企業・団体を対象にした英語教育・活用の実態調査と、ビジネスパーソンを対象にした英語に対する意識調査を行い、その結果を「英語活用実態調査 【企業・団体/ビジネスパーソン】2019」としてまとめました。本特集では、調査結果の一部を紹介するとともに、英語教育に積極的に取り組まれている企業と、英語力向上のために日々学習されているビジネスパーソンに伺った、具体的な教育法や学習法などを紹介します。

※Ⅰ .企業・団体における英語の位置づけ、Ⅱ.ビジネスパーソンの英語に対する意識、Ⅲ.企業・団体におけるTOEIC Programの活用、の3 部構成

2020年3月号

  • 企業
  • モチベーション

Part1「Ⅰ.企業・団体における英語の位置づけ」の調査結果
英語教育の施策と効果に隔たりが見られモチベーションの維持・向上が課題

社員・職員に対して求める英語力は英語で行われる会議で議論できるレベル

企業・団体を対象とした調査は、2017年1月から2018年8月までの期間に、TOEIC Programの公開テスト団体一括受験申込、あるいは団体特別受験制度(IP: Institutional Program、以下IPテスト)を利用した企業・団体に対して行いました。

企業・団体の82.6%が「英語」は重要なスキルで、67.0%が今後強化が必要であると考える中、まずその使用状況を見ていくと、現状では61.0%が「英語は海外との取引がある部署だけで使われる」と回答しています。一方、3年後はどうなっているかについての見通しを尋ねたところ、「英語は海外との取引がある部署だけで使われる」と答えた企業・団体は38.8%。この結果から、今後は海外との取り引きがない部署でも英語が使われるようになると、多くの企業・団体が予測していることが分かります。

では企業・団体は、社員・職員がどの水準の英語スキルを身に付けることを目標としているのでしょうか。

最も多かったのは、「英語で行われる会議(テレカンを含む)で議論できる」の19.9%。次いで「取引先/海外支店とメールでやり取りができる」「取引先/海外支店と電話でやり取りができる」が、ともに15.5%でした。

ただし企業・団体が社員・職員に対して求める英語スキルは、海外売上高比率によって異なります。海外売上高比率が20%以上の企業・団体の場合、「通訳なしでの海外出張に一人で行ける」「海外赴任できる」といったより高度な英語スキルも求めています。一方、1 ~ 19%未満の企業・団体では、「取引先/海外支店とメールでやり取りができる」が最多。0%(国内売り上げのみ)の企業・団体では、「簡単な業務連絡などができる」ことも求めています。一口に「今後は英語力が必要になってくる」といっても、求められる内容やレベルは、企業・団体が置かれているビジネス環境により異なっていることが分かります。

実施している英語教育施策と効果のある施策には隔たりがある

次に企業・団体が実施している英語教育施策とその効果について見ていきましょう。

実施している英語教育施策で最も多かったのは、「研修機関からの講師派遣による社内研修」で51.9%。次いで「通信教育」が44.9%、「eラーニング」が43.6%、「海外への研修派遣」が35.0%となっています(図1参照)。

このうち「海外への研修派遣」については、やはり海外売上高比率によって実施率が異なっています。海外売上高比率が0%の企業・団体で「海外への研修派遣」を実施している割合は13.9%。これに対して、海外売上高比率20%以上の企業・団体が実施している割合は、46.3%に達しています。

IIBC NEWSLETTER Vol.140 特集図1 実施している英語教育施策

 

では、これらの英語教育施策について、企業・団体はどの程度の効果があると実感しているのでしょうか(図2参照)。

特徴的なのは、「通信教育」と「eラーニング」についてです。この2つに関しては、実施している企業・団体は多いものの、効果については「大きな効果があった」と「一定の効果があった」を合計しても30%程度にとどまっており、必ずしも評価は高くありません。つまり、実施している英語教育施策と、効果があると考える英語教育施策の間には、隔たりがあることが分かります。

「通信教育」や「eラーニング」を活用した英語教育の場合、社員・職員の自主学習に委ねる部分が多いため、なかなか企業・団体の狙い通りには英語力を高めることができない面があるのかもしれません。

一方、企業・団体が効果があったと評価しているのは、「海外への研修派遣」(81.6%)や、「研修機関からの講師派遣による社内研修」(74.8%)、「語学レベルに応じた配属」(61.4%)などです。

「海外研修派遣」や「語学レベルに応じた配属」「社内研修」の場合、社員・職員は英語を実際に使わざるを得ない、学ばざるを得ない環境に置かれることになるため、それが大きな効果を得ることにつながっていると推察されます。

IIBC NEWSLETTER Vol.140 特集図2 実施した英語施策の効果

 

モチベーションの維持・向上が英語教育における最大の課題

今回の調査では、英語教育にまつわる課題についても企業・団体に尋ねています(図3参照)。

最も多くの企業・団体が課題として挙げていたのは「対象者のやる気や積極性を引き出せない、維持できない」で、その割合は66.3%。モチベーションの維持・向上が、英語教育における最大の課題であることが明らかになりました。

また2位は「レベルにばらつきがあり、初級者のボトムアップができていない」(41.5%)、3位は「社員・職員の業務過多のため、研修時間がとれない」(40.2%)となっています。

IIBC NEWSLETTER Vol.140 特集図3 英語教育にまつわる課題

 

同じ組織の中でも、社員・職員の英語スキルは多様です。そのためどの層を主要ターゲットに英語教育を行えばいいのか、また英語学習に苦手意識を抱いていると思われる初級者に対して、どのような教育プログラムを行えばボトムアップできるのかについて、苦慮している企業・団体が多いことが見てとれる結果となっています。更に、働き方改革の影響などもあり、研修時間の確保にも苦心していることが分かりました。

今後、ビジネスにおいて英語を使用する場面が増えていくことは、衆目の一致するところだといえます。しかし「どのレベルまで社員・職員の英語力を高めればいいのか」「求める英語力を社員・職員に身に付けさせるために、どういう施策を行うべきか」については、まだ多くの企業・団体において試行錯誤の段階であることが、今回の調査でも浮き彫りになりました。