働き方改革などを背景に、企業・団体が在宅勤務やシフト制勤務などを推進する中、TOEIC Program IPテストにおいても、より柔軟な試験運営や、団体担当者の負担軽減などが求められています。IIBCはそれらの要望に応え、インターネットを使用できる環境であれば、受験者の好きな時間・場所で受験できる「IPテスト(オンライン)」を、2020年4月よりスタートしました。また、受講者の都合がいいタイミングで利用できるeラーニングのニーズが高まる中、企業・団体・学校などに対し、「TOEIC Listening & Reading 公式eラーニング」のサービスを、2019年4月より提供しています。本特集では、時間や場所を問わずに活用できる、IIBCが提供するオンラインプログラムを紹介します。

※企業・学校などの団体単位でテストが実施できる制度

導入事例

東芝ビジネスエクスパート株式会社
株式会社日立ハイテクサポート

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2020年8月号

TOEIC® Program IPテスト(オンライン)

時代に合った新たな取り組みを開始

IIBCはこれまで、TOEIC Programを活用する企業・団体・学校などの声に耳を傾け、様々な改善を行ってきました。
例えば、2001年には「英語学習初・中級者の英語力を正確に測ることができるテストがほしい」という要望に応え、TOEIC Bridge Testを開始。07年には、「ビジネスの現場で必要とされている、話す力や書く力を測るテストがあれば……」というニーズに対応して、TOEIC S&Wをスタートさせました。

TOEIC L&Rに加え、TOEIC S&Wも実施していることは、現在、英語教育で「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能をバランスよく育成し始めている、学校教育の現場においても適応しています。

また近年、多くの企業・団体が、働き方改革などを背景とする在宅勤務やシフト制勤務を推進する中、IPテストにおいてもより柔軟に試験運営ができる仕組み作りや、業務時間内での研修時間の短縮といったことを求める声が高まっています。

IIBCはこれらのニーズに応え、TOEIC Programを制作している米国の非営利団体Educational Testing Service(以下、ETS)が新たに開発した、時間と場所を選ばずテストが実施できるIPテスト(オンライン)を、2020年4月より開始しました。

IPテスト(オンライン)は、TOEIC Programにある4つのテスト(図表1参照)において、企業・団体・学校などが、実施日時を任意に設定することができ、受験者はインターネット上で場所を選ばず、1名より受験することが可能な制度です。特にTOEIC L&Rのテスト時間に関しては、従来のマークシート方式が約2時間であるのに対し、オンラインでは約1時間に短縮しています(図表1参照)。

IIBC NEWSLETTER Vol.141 特集図表1:IPテストの新しい受験方式の追加について IIBC NEWSLETTER Vol.141 特集図表1:IPテストの新しい受験方式の追加について

 

これによって、「在宅勤務の社員が増え、社内で受験するのが難しい」「テストを実施するための会場が確保できない」「約2時間のテスト時間を確保するのが困難」といった課題を抱えている、企業・団体などのニーズに応えることができるようになりました。「生徒や学生の受験機会をもっと増やしたい」と考えている学校にとっても、オンラインがあれば、より手軽にテストを実施することが可能です。

CATの導入でテスト時間の短縮を実現

IPテスト(オンライン)の出題例 IPテスト(オンライン)の出題例

TOEIC L&R IPテスト(オンライン)におけるテスト時間の短縮は、CAT(Computer Adaptive Testing)の仕組みを導入することで実現しました。

CATとは、コンピューターを用いることで、受験者の能力に合わせて、出題する問題を変えていく、適応型テストシステムのことをいいます。

コンピューターを用いて実施するTOEIC L&R IPテスト(オンライン)では、受験者の解答の正誤をリアルタイムに把握することができ、受験者ごとに出題を変えることが可能です。

このシステムにより、多様なレベルの英語力を正確に測るため、様々な難易度の問題(リスニングセクション、リーディングセクションともに100問ずつ、計200問)を出題する従来のマークシート方式より、テスト時間を大幅に短縮することができるようになりました。

具体的な内容を見ると、TOEIC L&R IPテスト(オンライン)は、リスニングセクション、リーディングセクションともに、Unit OneとUnit Twoの2ステージに分かれており、まずUnit Oneにおいて、全受験者に同じ問題を25問出題します。Unit Twoでは、Unit Oneでの正誤度合いに応じて、受験者ごとに異なる問題を20問出題。例えば、Unit Oneで初級レベルと判定された受験者に対しては、初・中級の問題を多く出題することで、全体の問題数を大幅に減らしています(図表2・3参照)。

IIBC NEWSLETTER Vol.141 特集図表2:TOEIC L&R IPテスト(オンライン)の問題形式(約1時間での実施) IIBC NEWSLETTER Vol.141 特集図表2:TOEIC L&R IPテスト(オンライン)の問題形式(約1時間での実施)

 

IIBC NEWSLETTER Vol.141 特集図表3:TOEIC L&R IPテスト(オンライン)の出題の流れ IIBC NEWSLETTER Vol.141 特集図表3:TOEIC L&R IPテスト(オンライン)の出題の流れ

 

評価やスコアの意味合いは同じ

TOEIC L&R IPテスト(オンライン)のテスト結果(サンプル) TOEIC L&R IPテスト(オンライン)のテスト結果(サンプル)

TOEIC L&R IPテスト(オンライン)の結果は、受験終了後にパソコンの画面上ですぐに確認することができます。紙のスコアレポートは発行されませんが、後日オンライン上にPDFファイルで結果が表示されますので、ダウンロードして、パソコンに保存したり印刷したりすることが可能です。

また、評価やスコアの意味合いは、公開テストや従来のIPテストと同様で、スコアが同じであれば、英語力も同等です。ただし、公開テストの場合はIIBCが試験を運営・管理しているのに対し、IPテストでは実施団体に管理が委ねられており、加えてIPテスト(オンライン)においては利便性を重視していることから、在宅などでの受験も可能なため、試験官の管理下にない場合もあります。そのためIPテストおよびIPテスト(オンライン)では、Official Score Certifi cate(公式認定証)は発行されません。

公開テスト、IPテスト、IPテスト(オンライン)は、管理体制、試験日や受験場所、テスト結果の通知方法や公式認定証の発行の有無などに、それぞれ違いがあります。その違いを踏まえた上で、例えば、従業員や学生の皆さんの自己啓発や学習効果の測定を目的とする場合はオンラインを利用、昇進昇格や海外勤務選抜のために英語力を確認したい場合は、マークシート方式を利用するというように、それぞれの目的に応じて、効果的に活用することを推奨しています。

※TOEIC S&W IPテスト(オンライン)およびTOEIC Bridge S&W IPテスト(オンライン)は、採点官が採点するため、結果の確認は後日になる

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