英語でのコミュニケーション能力が様々な分野で求められる中、未来を担う中高生たちは、今後のキャリア形成を考えた場合、どのような英語力を身に付けておけばいいのでしょうか。

本企画では、NHKラジオ講座『中高生の基礎英語 in English』の監修などでも活躍されている、東京国際大学言語コミュニケーション学部教授の松本茂氏と、慶應義塾中等部で教鞭をとる英語科教諭の江波戸愼氏に話を伺いながら、中高生が身に付けておきたい英語力と外部試験の活用法について紹介いたします。

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2021年7月号

使える英語力が将来の可能性を広げる

ますます必要になる使える英語力

ひと昔前まで、学校で学ぶ教科の1つと考えられていた英語は、グローバル化の進展に伴い、現在では、コミュニケーションの重要な媒体として捉えられています。また近年の小・中・高等学校の教育改革では、4技能を統合した英語コミュニケーション力の修得を掲げています。

「国際的な企業に就職する場合だけでなく、英語力があれば、どのような分野においても、様々な可能性が広がっていきます。キャリア形成を考える上でも、中高生の段階から、使える英語力を身に付けておくことが重要です」

こう語るのは、東京国際大学言語コミュニケーション学部教授の松本茂氏です。松本氏はこれまで、文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」の委員や、全国高校英語ディベート連盟の副理事長などを歴任されています。

東京国際大学 言語コミュニケーション学部 教授松本 茂氏 東京国際大学 言語コミュニケーション学部 教授松本 茂氏

「従来の英語の授業の多くは教師主体で進められ、生徒は単語や文法を理解し、英文を日本語に訳すことが中心で、授業で取り上げた英文をそのまま定期試験に出していました。中学1年生であればそれでも良いのですが、学年が上がるに従い、インプットとアウトプットのバランスがとれた授業を行い、定期試験の内容も見直す必要があると思っています」

英語の授業と一口にいっても、担当教師の英語教育観によって指導の方法や内容が異なることがあります。

「学校としてある程度統一した指導法を確立することが大切ですが、いずれにしても高等学校を卒業するまでに、大学や実社会において必要とされる英語力の礎を築くことです。理解できない単語が出てきたときに、文脈から類推し、論理的に答えを導き出す、というような、将来役立つ使える英語力を養っていくことが重要です」と松本氏。

また、英語力の向上には、他の科目で学んだテーマに関する英文を英語の授業に取り入れることも有効な方法です。

「例えば、生徒が自分たちの地域や世界各地の社会課題を調べ英語でプレゼンしたりするなど、“英語を使い何かをする”という授業を、もっと取り入れるべきだと思います」

外部試験で、英語力の伸びを測る

しかしながら、たとえ将来役に立つ英語力を養うための授業を取り入れ、生徒が使える英語力を身に付けようとしても、先述したような定期試験では、その能力を客観的に測定することができないという問題が生じます。

「定期試験の問題は、担当している教師がそれぞれ作成したものを合体させているので、出題者によってどうしても偏りが出てしまいます。大学では、英語力を客観的に測定するため、学生にTOEIC Programを受験させるところが増えていますが、中学・高等学校でも、外部試験を取り入れることを検討されると良いと思います」

IIBCが提供している、英語学習初・中級者の英語4技能を測定するTOEIC Bridge Testsは、中学校から大学に至るまで、幅広く活用されています。

「TOEIC Bridge Testsは、どの設問も日常的なシーンが設定されています。いわゆる、ひっかけ問題もありませんし、特別な対策をしなくても、生徒が力を発揮できるテストだと思います。中学・高等学校が採用する外部試験の選択肢の1つとして評価できるでしょう」

また一方で、使える英語力を身に付けたいと思っても、日常生活で外国人と話すといった、アウトプットの機会が少ない生徒にとって、学習意欲をどのように維持させていけばいいのかという問題もあります。

「TOEIC Bridge Testsのような外部試験は、学習を振り返る材料になり、継続的に受験すれば、どれだけ力が付いてきているのかを知ることができます。客観的に自分の英語力を把握できるので、学習へのモチベーションの維持にもつながるでしょう。また、教員にとっては自分たちの授業を見直すきっかけになります。可能であれば年に2回、3学期制なら学期ごとの受験が理想的です」

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