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大塚ちづる氏「女性が学び合える場を提供し生き方を選択する希望を与える」

女性が学び合える場を提供し生き方を選択する希望を与える

日本で過ごした学生時代に、女性であることの壁を感じ、大学はアメリカで学んだ経験をもつ大塚ちづるさん。その後、ニューヨーク勤務などを通して多様な価値観に触れると同時に、日本における女性活躍の道がいまだ開かれていないことを憂慮し、ビジネスパートナーとともに女性のためのネットワーク組織を立ち上げる。ポテンシャルがありながらグローバルシーンで評価されにくい日本の女性達に研鑽し合える場を提供し、世界への扉を開く。この仕事にかける大塚さんの思いを伺った。

プロフィール
大塚ちづる(おおつか・ちづる)
大手総合商社勤務を経て、米国投資銀行ニューヨーク本社とアジアパシフィック支社にて約20年の人事経験を有する。その間、さまざまなビジネスリーダーにとって信頼できるアドバイザーとして4000人以上のグローバル人材の育成および管理に携わってきた。グローバル組織での経験を活かし、イノベーティブな働き方を追求する人材の育成に特化したコンサルタントとして、2014年に独立。多数のハイポテンシャルな女性の支援、多岐にわたる業界のシニアマネージャーのアドバイザーを務める。専門は、ダイバーシティ戦略、人材・組織開発、リーダーシップタレントマネージメント。New York University (NYU)にてOrganizational Development(組織開発)認定取得。

目次

  • 想い・情熱
  • リーダーシップ

成長するにしたがって感じた性別の「壁」

大学1年生のとき、オリエンテーションの初日にルームメートと記念撮影。打ち解けているようで内心はドキドキしていた大塚さん。

大学1年生のとき、オリエンテーションの初日にルームメートと記念撮影。打ち解けているようで内心はドキドキしていた大塚さん。

 私が女性のための会員制ネットワーク「THE CHOICE」を立ち上げたのは、いろいろな方々との出会いや学びがきっかけになっています。また、大学時代をアメリカで学び、ゴールドマンサックスのニューヨーク本社、東京支店でかけがえのない18年間を過ごし、グローバルな視点を養えたことも大きな要因だったと思います。
 幼いころから我が家では、自分の意見をきちんと伝えることが「人として大切なこと」のひとつだと教えられてきました。ですから私は、「人」としての生き方について考えることはあっても、自分の性別については全く意識せずに小学校に入学したのです。でもそこで、女の子ができること、女の子だからできないことについて、たくさんの壁と向き合うことになりました。その壁は、中学校、高校と進むにつれて、どんどん厚くなっていくようにも感じられました。それが、性別を気にしなくてもいい世界、すなわちアメリカの大学へ進むきっかけともなったのです。まさか、小・中・高時代に性別を意識して過ごしてきた経験が、私を気づきに導き、のちに大きな原動力になるとは思ってもいませんでした。

外資系金融で日本を外の視点から俯瞰


アメリカで社会貢献の大切さを学び、夫婦で参加したチャリティーイベントの主催者とともに。

 ゴールドマンサックスのニューヨーク本社で働いていたころは、パートナー陣や同僚からたくさんアドバイスをいただきました。それぞれが異なるバックグランドをもち、多様な価値観にもとづいたアドバイスや意見は、私にとって「リスク管理」になっていました。今でも、目には見えないものを与えてくれる、私の人生に欠かすことのできない貴重な存在です。
 そしてまた、大人になってもこんなに成長できるのかと思ったほど、学びの多い時期でもありました。人材にかかわる業務を担当していたため、人の特性について、多様性について、バックグラウンドの違いについて、性別について考え、組織の在り方について模索しました。どうしたら日本人の強みをグローバルチームや上司に理解してもらえるかなど、日々工夫を繰り返し、物事を戦略的に考える癖もつきました。
 さらに、インターナショナルからグローバル社会へのトランジションの難しさとその価値、チームワークと個の意識の強さの微妙なバランスから強い組織が作られることも実感しました。学生ではなく、社会人として外から日本を見ることができたのはとても貴重な経験だったと思います。
 こうした経験から、「人はそれぞれ必ず特性をもっている」という信念が生まれ、性別や人種でなく、各々のスキルに着目して人材育成ができれば組織は強くなるのではないだろうかと考え、コンサルタントとして独立することを思い立ったのです。私がゴールドマンサックスを退職したのは2014年。当時、変革の時代に多様性を取り入れることの重要性を多くの人が感じていたにもかかわらず、実際にはどのようにトランスフォームしていくのか、多くの企業が悩んでいたのも事実です。「私なんかにできるのだろうか」という不安はありましたが、たくさんの方に背中を押していただき独立に踏み切りました。応援してくださった方々には、今でも感謝しています。

女性が自信をつけられる場所を提供したい

左からガスケール杏子さん(THE CHOICE日本代表)、大塚さん、松田さん(ASG Works  Co-Founder)、守屋さん(ASG Works東京支店代表)。

左からガスケール杏子さん(THE CHOICE日本代表)、大塚さん、松田さん(ASG Works Co-Founder)、守屋さん(ASG Works東京支店代表)。

 コンサルタントという仕事以外に、私にはもうひとつ取り組みたい課題がありました。当時、世の中で女性活躍推進が叫ばれているにもかかわらず、日本には厳然としたハードルの存在がありました。それは、男性がダイバーシティを理解するには時間がかかるということです。しかし、戦略として女性活躍のスピードを速めるには、女性が自信をもつことが大切な要素だと考え、それには女性が学べる場所、自信をつけられる場所を提供しなければいけない──。
 そんなとき、現在のビジネスパートナーである松田美淑(ASG Works Global COO)に出会ったのです。私達はそれぞれの会社を設立し、個々に活動していましたが、ASG Worksをジョイントベンチャーとして立ち上げるまでに、そう時間はかかりませんでした。二人を呼び寄せたのは、これまでの経験と熱い思いだったと思います。
 私達が共感し合ったのは「日本には眠っている才能がたくさんある」という事実です。日本人の仕事に取り組む姿勢や質(特に正確性)は群を抜いています。でも、日本人女性のポテンシャルは、グローバルシーンでは分かりにくく、なかなか理解されませんし、「個」をあまりアピールしない習慣の私達には、それなりの工夫が必要です。そこで、グローバル社会で通用する女性プロフェッショナルの育成を行える場を提供しようと考えました。
 幸いにも、私達のこうした試みに対して、多くのエグゼクティブの方々からいろいろなアイディアやアドバイスをいただきました。それはすべて男性からだったのですが、そこで実感したのは男性社会のネットワークの強さです。
 また、私達が大企業の取締役との交流会に参加した際には、こうした貴重なお話はもっと多くの方とシェアするべきだと思いましたし、自己啓発の意識が高い女性を数多く知っている私達は、双方をつなげることにベネフィットがあることにも気づきました。そして、スクールでもない、セミナーだけでもない、前向きな姿勢のPioneer Womenを育成する「THE CHOICE」が生まれたのです。

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