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伊尾木智子氏「世界に向けて日本の魅力を発信する」

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世界に向けて日本の魅力を発信する

幼い頃に芽吹いた海外への好奇心をその後も育み続け、海外留学や海外でのインターン経験を経て、日本貿易振興機構(JETRO)に入構した伊尾木智子さん。「対日投資を促進するため、海外に向けて日本の経済情報を発信したり、さまざまな業種の中堅・中小企業などの海外進出を支援したり、民間企業でも国の機関でもない、独立行政法人であるジェトロだからこそできる仕事に大きなやりがいを感じる」と語る伊尾木さんに、海外での勤務を通して気付いたことや、世界を舞台に働くやりがいなどを語っていただいた。

プロフィール
伊尾木智子(いおき・ともこ)
神戸大学経済学部在学中、1年間ベルリンへ留学。同大学卒業後、京都大学大学院に入学し、環境経済学を専攻。デュッセルドルフにてインターン経験後、2014年にジェトロ入構。対日投資部企業誘致課で約20社の外国企業の日本進出を支援。ジェトロ・プラハ事務所での実務研修中、中央ヨーロッパへの日本酒輸出や、現地日系企業のファクトリーオートメーション推進を担当。18年より海外調査部国際経済課にてスタートアップ・エコシステムやデジタル関連ビジネスについてレポートを執筆。

目次

  • コミュニケーション力
  •      
  • 個としての軸

ジェトロのデュッセルドルフ事務所に直接インターンを申し込む

 私が日本貿易振興機構(JETRO、以下ジェトロ)に入構したのは大学院を修了した2014年4月のことですが、最初のジェトロとの接点はその1年半ほど前にさかのぼります。

 当時、私は京都大学大学院で環境経済学を学んでいました。2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因する福島第一原子力発電所事故の影響で、再生可能エネルギーへの注目が高まっていた時期でした。その先進国であるドイツの取り組みが脚光を浴びており、ドイツでインターンを経験したいという思いが強くありました。そこで、ドイツに支社や事業所を持つ企業や団体などを中心にインターンの申請を行ったのですが、その中で最も早く返事をくれたのがジェトロのデュッセルドルフ事務所だったのです。

 通常なら、まず東京にあるジェトロの本部にコンタクトを取るべきところ、インターンの募集すらしていないデュッセルドルフ事務所に直接メールを送ったことが目を引いたようです。渡独後に事務所の次長から「いきなり履歴書を送り付けてくるなんて度胸があるな」と、からかい半分に言われてしまいましたが、世間知らずな学生ならではの思い切った行動力を評価してもらえたのかもしれません。

デュッセルドルフ事務所でのインターン中、展示会場での伊尾木さん。

デュッセルドルフ事務所でのインターン中、展示会場での伊尾木さん。

 インターンの期間は、2012年9月から11月までの約3カ月間と短いものでしたが、所長や次長はじめ事務所スタッフの方々に温かく迎え入れていただき、とても充実した日々を過ごせました。

 デュッセルドルフ事務所は現地スタッフも含めて総勢15人ほどと、ドイツ有数の都市に構えるオフィスにしてはこじんまりしたものでした。ジェトロ入構後に知ったのですが、15人の事務所はジェトロの海外事務所の中では比較的大所帯のほうで、国や地域によっては所長1人と現地スタッフ2~3人というところも珍しくありません。人数がそれほど多くない分アットホームな雰囲気で、すぐに馴染むことができました。また、所長の方針でインターンである私にも色々チャレンジさせていただき、海外でのさまざまなビジネスの現場を体験できたことが大きな財産となりました。

 例えば、私が環境や自然エネルギーなどについて学んでいることを知ると、そうしたテーマの展示会やセミナーなどに参加させてもらえました。展示会では、視察に来ていた日本企業の方にいきなり通訳を依頼されたりするなどのハプニングもありましたが、それもビジネスが実際にどのように行われているかを体験する良い機会となりました。展示会やセミナーで自分が見聞きしたことや学んだこと、感じたことなどをレポートにまとめて所長に提出したこともあります。

 また、インターン期間中の印象的な出来事として、福島県の佐藤雄平知事(当時)がデュッセルドルフに視察にいらして、事務所のスタッフが地元の企業を案内したことがあります。日本の自治体と海外の企業を結び付けるような仕事もするんだと、ジェトロに対する興味を深める一つのきっかけになりました。

 短い期間ではありましたが、インターンでジェトロのさまざまな側面に触れることで、その業務の幅広さと奥深さ、そして中立の公的機関である意義などが分かってくると、やりがいや充実感もどんどん高まっていきました。大学院修了後、ジェトロを就職先に選んだのは、インターンでの経験が大きく影響しています。

幼い頃に習ったピアノを通じて、海外への思いを育む

 ところで、ビジネスの現場で通訳ができるのだから、私のドイツ語会話能力はなかなかのものだと思われたのではないでしょうか。でも、残念ながら、ネイティブとスムーズにビジネスの話ができるほどのスキルは持ち合わせてはいませんでした。

 実は、ドイツで生活をするのはインターンのときが2回目で、大学時代にベルリンに1年間留学しています。このときも、英語を話せる人が周囲に多かったこともあり、ドイツ語より英語で話す時間のほうが長く、ドイツに来たのにドイツ語はあまり上達せず、むしろ英語のほうがうまくなってしまったくらいです(笑)。

 しかし、留学やインターンの折にドイツで生活する前にも、文学部のドイツ語専門科目に潜りこんだり、ゲーテ・インスティテュート(ドイツ文化交流機関)の授業を受講したり、考えうるあらゆる手段を使って挑戦し続けました。

 ちなみに、英会話の勉強法も同じようなもので、学校の授業で知識を学び、ラジオや海外ドラマをオリジナル言語で視聴して楽しみつつ耳を鍛え、留学生との交流イベントなどに積極的に顔を出して場数を踏む、といった方法でスキルアップを図りました。

 私が外国語を勉強したいと思うようになったのは、幼い頃にピアノを習っていたことがきっかけです。クラシック音楽の本場であるヨーロッパに行きたい、そこで暮らしたい、働きたい、そんな思いが背景にあります。

 ジェトロで働くようになってからも、海外で働きたいという思いは変わることはありませんでした。そして、その思いを実現するチャンスが、入構して4年目に訪れたのです。それが、プラハ事務所での実務研修です。

 私は、入構1年目は外国企業を日本に誘致する、対日投資部という部署に配属され、そこで1年半ほど勤務し、その後、全国の自治体の外国企業誘致をサポートする業務に携わりました。通常は、海外での駐在に赴く前に、国内の事務所で経験を積むケースが多いのですが、私はなるべく早く海外でのビジネス経験を培いたいと思い、早い時期から希望を出していました。

 希望した地域はもちろんヨーロッパです。プラハのあるチェコは、学生時代に留学し大学院時代にインターンを経験したドイツの隣国なので、経済的・歴史的にもドイツと深い関係があり、また音楽の都でもあります。

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